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2017年04月30日

シューベルト 弦楽四重奏曲「死と乙女」 タカーチ弦楽四重奏団(新盤)


3000枚近くもCDが棚にあるのに、弦楽四重奏のCDは正直あまり多くありません。当然、詳しくもないのが本音です。でもポピュラーなものはしっかりと持っています。で、シューベルトから入るのは渋いのかもしれませんね。

シューベルト 弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」
       弦楽四重奏曲第13番「ロザムンデ」
タカーチ弦楽四重奏団 2006年 ハイペリオンへの再録音
録音  4.75点   演奏  4.60点
(EMIへの旧録音とお間違いなく)



シューベルトの弦楽四重奏曲「死と乙女」はブッシュ弦楽四重奏団に興味をもったきっかけで好きになりました。そもそも室内楽で初めて「凄い!」と感嘆したのは、たまたま手に入れたブッシュQとルドルフ・ゼルキンのブラームスの「ピアノ四重奏曲第1番」です。録音で残されたこの「死と乙女」は、ブッシュQの伝説的名演。

音は悪いですが、4人に鬼神が憑りついたかのような演奏。この時代はスタジオ録音でも一発録音だったというのもあるでしょうが、最初の和音から最後の音まで途切れない集中力。



良い音でこの曲の演奏をと探していた時に出会ったのがこのCDです。タカーチQを知ったのは、バルトークの弦楽四重奏曲全集。

入手し易くなったみたいで喜ばしい名盤。高いアンサンブルと緊張感を保ちつつ、よく練られた解釈に久しぶりに室内楽で感動。と同時に曲が曲だけに疲れましたが・・・(因みにこのバルトーク全集も、世評が高いにも関わらず廃盤ですが、タワーレコードが独自企画で復活中。今のうちに入手されんことを)このカルテットなら、「死の乙女」もブッシュ級の演奏をしてくれるに違いない。そして期待は裏切られませんでした。

最初の楽句(ンタータタタタ!)から、非常に音楽的。威圧的に鳴らす演奏が多い中、音に緊張感と力はあるがどこか陰のある草書体な始まり。草書体ながら前のめりの音づくりで緊張感を醸し出す。2楽章もアンダンテも練られていて、フレーズごとに主役となる楽器がよく鳴る。第3楽章のリズムをクッキリ刻むのも絶妙。最後の4楽章はプレストですが、静かめに始まりフィナーレに向けて音量とスピードが上がっていき、感動的に終わります。最後の和音の切れば血が出るような響き!ブッシュQの演奏を現代風に洗練させたような演奏です。


タカーチQのブラームスの演奏です。ハイペリオンは録音がいい。
タカーチQのいいところは、アンサンブルが優れているだけでなく、各楽器の表情が豊か。必要とあらば、時には汚い音も使います。揃っているだけの演奏をしよう、綺麗な演奏をしようとしていない。アルバン・ベルクQとはちょっと違います。


アルバン・ベルクQの演奏でこの曲の良さをまず知ってもらえれば、演奏は中の上です。



併録の「ロザムンデ」は、曲もそうですが少し肩の力を抜いて聴ける佳演です。録音は、鮮度も高く定位もしっかりわかり、オンマイク気味なのも◎。

ショスタコーヴィチ、バルトークの弦楽四重奏曲全集は棚にあるのですが、不思議とベートーヴェンは無い。というか、まだそれを聴くまでの耳に私が育っていないだけです。渋いですよね、弦楽四重奏って。

私にはまだ云々書ける耳がない。
posted by 悩めるクラヲタ人 at 23:46| Comment(0) | 室内楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」から終幕のアリア ロンドン&クナッパーツブッシュ/ウィーンpo


ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」第1夜「ワルキューレ」はワルキューレの騎行だけが有名ですが、名アリアを豊富に含み第1幕だけをとってもプログラムとなるし、第3幕終結部のヴォータンのアリアも優れていて聴きどころが多い。第3夜「神々の黄昏」が愛と憎悪にまみれた劇であるならば、「ワルキューレ」は純粋に愛に満ちた劇だと私は思います。親子愛も含め。
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「ワルキューレ」終幕のヴォ―タンがブリュンヒルデを思うが故に、炎の壁に閉じ込め惜別の想いを歌う「ヴォ―タンの告別と魔の炎の音楽」。壮大な劇を締めくくるに相応しい壮大な前奏から雄大な音楽の流れに乗って娘への愛と葛藤・別れを歌う素晴らしく壮大で素晴らしいアリアと音楽です。それをクナッパーツブッシュの指揮で。

ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」から
     「ヴォ―タンの告別と魔の炎の音楽」
バリトン:ジョージ・ロンドン
指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1958年録音
録音 4.40点  演奏 4.60点


・『神々の黄昏』から
夜明けとジークフリートのラインへの旅とジークフリートの葬送行進曲、
・『パルシファル』から
幼子のあなたが母の胸に S:フラグスタート
・『トリスタンとイゾルデ』から
第1幕への前奏曲と愛の死 S:ニルソン 
とワーグナーの楽劇、またクナッパーツブッシュのワーグナーのステレオ録音での名演が丸ごと収まったいいところ取りのCDです。

前奏から全オーケストラによるスケールと呼吸感が圧倒的な始まり。スタジオではどのように響いていたのだろうかと想像すると身震いしていまう位に呑みこまれる音楽の雄大な流れ。トロンボーンの強奏と録音の鮮明さ。60年以上前の録音とは思えない生々しい録音でもあります。ヴォ―タンが「さらば勇ある輝かしい子よ」とひとしきり歌った後、愛が膨れ上がるかのようなオーケストラだけによる音楽が挟まるのですが、その徐々に膨れ上がっていく音楽の流れと頂点のフォルティティシモの圧倒的な音塊はクナッパーツブッシュの真骨頂。そのオーケストラコントロールの巧みさには頭を垂れるのみです。その後の寂しいヴァイオリンの歌がより引き立つ。

1956年バイロイトでのホッターの名唱。

ジョージ・ロンドンによる歌唱は少し物足りない部分もありますが、それは当時の名ヴォ―タン ハンス・ホッターと比べてしまえばという贅沢な不満。あと後年の名演「パルジファル」での名歌唱に比べれば調子が悪いというクラス。

1962年伝説のパルジファル。この時の名唱部比べ、ちょっと声の出が悪く、一本調子かなと。クナッパーツブッシュの名伴奏に少し気後れしてしまっている感じがします。歌唱よりも伴奏が素晴らし過ぎる。この慈愛に満ちた伴奏に拮抗できたのは当時ならホッターしかいない。

クナッパーツブッシュの伴奏は歌の内容に合わせ時に壮大かつ雄大、ヴォ―タンの心象の移り変わり・揺れ動きを見事に音で表現しています。表情・音色・空気の多彩さ、その変化にすっと応えるウィーンpoも凄いですが。どのような棒の振り方をすればこんなの音が引き出せるのだろうかと思ってしまう。物凄い音圧でありながら決して耳障りにならない金管楽器から繊細なヴァイオリン、ぐっと斬り込んでくるチェロの深い音色。

最後のヴォ―タンがブリュンヒルデを悲し気に見つめた後に去っていく風景を、大きな輪を描くような深いチェロの歌、弦楽器が支える中フルートとトライアングルを生かし後ろ髪引かれる静かな終末部分といい、どこまでも人間味のある含蓄と包容力豊かな響き。素晴らしいの一言。控えめな金管とアクセントの効いた意味深いアクセントをつけるティンパニ・・・そしてスタジオに響く音・空気感を余すことなく捉えた録音。

これがホッターだったらなぁ・・・と無いものねだりしても仕方ない。そもそもは日本語でいうなら「ジョージ・ロンドン ワーグナーを歌う」というLPからの1曲なのですから。タワーレコードがそのLP通りで名復刻しています。オリジナルマスターからのリマスターをルビジウムカッティング、そして歌詞付で廉価という丁寧な仕事。
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ロンドン・シングス・ワーグナー〜クナッパーツブッシュ<タワーレコード限定>



ティーレマンに期待していましたが、この境地には到底及びそうもないです。

安!!なんだ最新録音にも関わらずこの価格。抜粋じゃないですよ。
そもそもワーグナー歌手がいないですねぇ。ジョン・トムリンソンでも不満でしたが往年の名歌手と比べてしまったからで、今思えばまだ優れた名ヴォ―タンだったなぁと思う。




posted by 悩めるクラヲタ人 at 07:53| Comment(0) | オペラ・声楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月29日

コンセルトヘボウ・ピアノリサイタル ライヴ 1978-79 マルタ・アルゲリッチ


現代の名ピアニスト マルタ・アルゲリッチが今はもうソロピアノ・リサイタルをしないことは周知の事実。1980年代以降は協奏曲か室内楽曲の演奏会や録音しか行っていません。ごく稀にチャリティーコンサートや他のソリストとの演奏会の途中でシューマンの「子供の情景」を弾く位。その為、このアムステルダム・コンセルトヘボウで行われた録音記録が発売された時には結構大きく取り上げられた記憶があります。
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ただ初版の時には音質があまり芳しくない、あと値段が高いなどの意見などもあり、かなり購入を控えていました。グラモフォンに録音したソロの楽曲に関しては、録音した曲にあまり興味が無く聴いていないこと多し。なので、下記廉価BOXで購入して聴いた時の衝撃はかなりのものでした。アルゲリッチ無双時代のリサイタル記録でここまでいいのは他には無いと思います。危惧していた録音状態もその後リマスタリングし直されたのか不満はありません。(そもそもコンセルトヘボウでソロ・リサイタルって話でもあります)

この2年のリサイタルで演奏された楽曲が以下の通りです。
アルゲリッチ/コンセルトヘボウ・ライヴ 1978-79
DISC1
・J.S.バッハ:パルティータ第2番ハ短調
・ショパン:夜想曲第13番ハ短調
・ショパン:スケルツォ第3番嬰ハ短調
・バルトーク:ピアノ・ソナタ
・ヒナステラ:アルゼンチン舞曲集
・プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番変ロ長「戦争ソナタ」
・D.スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.141
・J.S.バッハ:イギリス組曲第2番よりブレー
DISC2
・シューマン:幻想小曲集
・ラヴェル:ソナチネ
・ラヴェル:夜のガスパール
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
1978-79年 コンセルトヘボウでのライヴ録音
録音  4.35点  演奏 無双


※5CD BOXでデュトワとのプロコフィエフ・ショパン・バルトークの協奏曲、ラビノヴィッチとのシューマンのコンチェルトなどはおまけでついてくるみたいなもの。

この両年はアムステルダムで活発に演奏会をしていたようで、協奏曲のライヴ記録も残っています。それぞれに曲に対して感想を述べるには文才が無さすぎる。筆舌に代えがたい演奏の数々。コンセルトヘボウの観客が咳払いするのも忘れ、固唾をのんで「何だ・・この演奏は」と本当にクラシック音楽の演奏会なのだろうかと口をあんぐりしていたでしょう。スピーカーの前ですらそうですから。

バッハからアルゲリッチ流で「伝統?糞くらえ!」とでもいうべき、赤き血潮を感じる生きたパルティータ。グールドよりもエキセントリックに感じる。ぐっと攻めるかと思いきや、すっと心臓を射抜くかのようなピアニッシモ。それでいて形式は重んじている。でも音楽はバッハのものではなくアルゲリッチ。

次のショパンではノクターンで「さっきのバッハを弾いた同じ人?」と思うように哀感漂わす音。一転、スケルツォで叩きつけるかのような音。アクセルとブレーキの繰り返しで耳と心が彼女の虜に。しかしどこかショパンのネクラさを根底に感じさせるところは流石。バルトークについては、これが同じピアノの音だろうかという打楽器的扱いと繊細な音使い。そしてヒナステラのアルゼンチン舞曲集では絶妙なテンポと轟音でぐぅの音も出ない。ジャジーで崩れそうで崩れない絶妙なバランス、左手の刻むリズム感が何とも言えない。

そして私の好きなプロコフィエフ「戦争ソナタ」。フランソワの演奏が頭に刷り込まれていますが、この演奏を聴いている間はそれを忘れる。後年にこちらはアルゲリッチの録音が残っていますが、この日のライブに比べるとアルゲリッチでも大人になるんだなぁと感慨一入。

録音もしっかりしているし、もっと話題になっていいと思う。演奏もそれぞれ素晴らしいし、東北震災への寄付もされるアルゲリッチの気持ちもこもっているCD。このライブと曲がかなりダブりますが年輪が加わっています。


燃えて鍵盤に喰らいつく一辺倒ではなく、すっと後ろに音を引いたり出し入れが巧い。第3楽章でもフランソワはライヴだとぐちゃとなっていた部分もアルゲリッチは全く崩れない。凄いテクニック(ただ完璧に楽譜をさらえるという指だけの問題でなく、ぺダリング・タッチも含め)が多用されているのですが、聴いている間はそんなことを全く感じさせたない。ただ目の前に凄い音楽があるのみ。これがやはり彼女の凄いところだなと。この音は必要という音をしっかりとアクセントをつけて教えてもくれる。こんな難曲でも。

アンコールと思しきスカルラッティのソナタでの早い連打と繊細極まりないタッチ。聴衆の騒めき残る中、そんなのに委細構わず弾き始めるバッハ イギリス組曲からのブレ―。短い小品の中に語り歌い慰め躍る多彩な表情をこれでもかと詰め込んでくる。

2枚目に関しては曲が曲だけに1枚目に比べ衝撃度は少ないですが、やはりアルゲリッチでなければ成し得なることができ無い演奏。シューマンの幻想小曲集は意外と録音されていない曲で、シューマンが得意で有名なイヴ・ナットのBOX位にしかない。


コルトーBOXには無いかなと思って探したのですが無い。「あのね、自由奔放に弾いているようでしっかりと構成力とかも考えて弾いてるの」といった風情。序奏こそ嘆息するように歌心に溢れた美音・テンポで始まりますが、ただシューマンは叙情的に弾けばいいのでは無いと曲が変わるごとに表情付けを変える。それが曲想にピタッとまたはまる。もっと演奏されてもいい名曲です。


ラヴェルに関してはもうお手のもの。シューマンからなので一気に世界観が変わる。これはリサイタルの演奏順では無くCDのせいです。ただ弾き始めたら、会場の空気が一気に明るく軽くなっただろうことがわかる。フランソワなどとは緯線を画す彼女ならではのラヴェル。早い早い目まぐるしく指が回るソナチネ終曲は圧巻で洒落っ気も忘れない。


夜のガスパールは憂い漂う。高音のトリルから耳を根こそぎ奪われる・・・そしてなんといってもスカルボ。神妙で血の奥底から響くよ様な低音の世界から一気に吹き上がるように高音域に音域がシフトする。楽節はあるのかないのか、ジャジーな演奏。でもしっかりとしたラヴェルの世界観を提示してくれる。

本当にアルゲリッチは全音域に過不足なく強い。しかもこれだけ情熱的で熱くにも関わらず、エキセントリック臭を感じさせない。アルゲリッチってピアニストは凄い、また曲も良い曲だと堪能させてくれる稀有なピアニストです。アルゲリッチの前にアルゲリッチ無し、アルゲリッチの後にアルゲリッチ無しと思わせるリサイタルの奇跡の記録です。


posted by 悩めるクラヲタ人 at 21:26| Comment(0) | 器楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする