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2017年05月31日

ブラームス ピアノ四重奏曲第1番 アルゲリッチ・クレーメル他 2002年録音


ピアニストのCDとしては、アルゲリッチのCDが一番多く棚にあります。(コルトー、イヴ・ナット、フランソワ、ホロヴィッツの激安セットもの含めても!)若い独奏曲を弾いていた時代のものは少なく、ほとんどが協奏曲やデュオのCDです。
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「その中で一番は?」と言われると、曲として地味ですがこのCDを絶対に薦めます。

ブラームス ピアノ四重奏曲第1番 ト短調
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
ヴァイオリン:ギドン・クレーメル
ヴィオラ:ユーリ・バシュメット
チェロ:ミッシャ・マイスキー
2002年 ベルリンでのスタジオ録音

録音 4.55点 演奏 4.75点

e-onkyoでもこの名盤がハイレゾ音源で入手できます。より細部が鮮明になり、特にバシュメットのヴィオラとマイスキーのチェロの音に厚みとリアリティが増すように感じられました。


この曲はシェーンベルクによりオーケストラに編曲もされていますが、それほど有名ではないのではないかと思います。ピアノ協奏曲第1番と同時期に作曲したもので、ブラームスの情熱的な傑作です。

いつもながら開始は暗いピアノの音から始まりますが、その後は各楽章明暗のコントラストが上手くつけられており、晩年のように地を這うような暗さはありません。

第4楽章は哀愁を湛えながらも情熱的なジプシー風な主題が特徴的で、フィナーレに向かって熱狂を増して終曲します。まずは第4楽章からでもいいので耳を傾けて頂きたいと思います。

録音は悪いながらも、ブッシュ弦楽四重奏団(第2ヴァイオリン抜き)とルドルフ・ゼルキンの名盤です。
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この曲を現代を代表するソリスト達が結集し録音したのがこのCDです。しかも皆全盛期だった時の演奏で奇蹟のようなCD。基本的にアルゲリッチのピアノが引っ張っています。最初のピアノの導入部から空気を作り出し、強い打鍵でブラームスの若書きを描くかと思いきや、第3楽章では艶めかしい音色を出したり、第4楽章のコーダでは一気呵成のアッチェレランドの仕掛人となります。時折出す左手の強調とスッと身を引くタイミング良さが光ります。

しかしクレーメル・バシュメットも負けていません。常に冷たく乾いた音で刺すような響きをぶつけるクレーメル、埋もれがちなヴィオラを人間の声のように操り語り掛けるようなバシュメット。

特に、第1楽章第2主題が展開していく際にソロで奏でる部分は、「ほらヴィオラの響きは素敵でしょ」というかのように柔かく強い音で弾く部分は印象的です。マイスキーはこの中では逆に埋もれがちですが、うまく支えています。



4人の個性派が個性を潰すことなくうまくブレンドされているこの録音・演奏は、何度聴いても呆気にとられます。ライブ録音のように挑発的で刺激的な名演です。アルゲリッチの良いところが全て詰まっており、なおかつ曲の価値も高めています。録音も素晴らしい。

このピアニストの独創性と協調性が見事に融合したこの演奏は、アルゲリッチを知るために格好の一枚だと思います。
この曲の録音でこれを越すような名盤は今後現れないだろうなぁ、もう他のCDは要らないと確信する1枚です。こんな豪華な布陣は考えられない。

盟友アバドとの演奏。衰え知らず・・・・


ラベル:アルゲリッチ
posted by 悩めるクラヲタ人 at 19:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 室内楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ドビュッシー 「子供の領分」 アルフレッド・コルトー 1953年録音

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愛らしいピアノの小曲集、ドビュッシーの「子供の領分」です。私も少しピアノをかじりましたので、弾いてみようと思ったのですが、ちょっと無理でした。愉しいだけでなく、詩情豊かな曲です。似たような曲にシューマンの「子供の情景」がありますが、こちらの方が曲としては素晴らしいです。

さて、まずはこの曲の歴史的かつ良く残されたと奇跡的な映像を・・・

コルトーの全盛期の映像です。演奏風景だけでなく、かわいいイメージ映像がついていますが、それがまた曲と演奏に合っている。作成した人のセンスがいい!プレイエルのピアノですねー。

ドビュッシー 「子供の領分」
ピアノ:アルフレッド・コルトー
1953年 録音
録音 3.50点  演奏 4.60点


単品では廃盤。上記のBOXセットは価格とリマスタリングも含めて〇。コルトーの晩年のベートーヴェンが聴ける!!抜粋ですが。

曲についてはドビュッシーが娘のために書いた優しいピアノ小曲集。先の映像の通り、かわいい情景を描いたウィットに富んだ曲です。第1曲の「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」から、流れるようなピアノの旋律で始まります。印象派的な美しい曲を間に挟んで、最後は茶目っ気たっぷりな「ゴリウォーグのケークウォーク」で終わります。ドビュッシー後期の作風よりもメロディアスで非常に聴き易い曲です。

これは1947年のコルトーの全曲演奏です。1953年に比べ指は回っていますが、音質が劣ります。それでも終曲にはミスタッチが見られます。

コルトーの晩年の録音なので、テクニック的には厳しい部分が少し見えますが、フレンチ・ピアニズムの粋が感じられる名演奏です。単純な単音にも意味が感じられます。プレイエルの高音の響きが貧しい音からも美しく聴こえます。テンポ・ルバートも激しいですが、得意曲で弾きこなしていることもあって違和感がありません。真似してもこうは弾くことは出来ません。
3回この曲をコルトーは録音していますが、音質と表現が熟成されている点から1953年の録音が一番優れています。先に紹介したコルトーBOXには、すべての録音が入っていて、聴き比べができます。

コルトーの演奏に比肩できるのは、弟子のフランソワの演奏でしょうか?ミケランジェリの演奏も評判がいいですが、私にはクリスタルに響きすぎて、この曲の粋というか遊び心と詩情が足りず金属的に聴こえます。凡百の演奏に比べれば素晴らしい演奏ですが。


やはり録音が古いので次はフランソワ盤で紹介できればと思います。しかし、コルトーの演奏を忘れて欲しくないので、まずはと取り上げました。最新録音で期待できるのは、ルイサダでしょうか?録音してくれないかな。
ラベル:ヒストリカル
posted by 悩めるクラヲタ人 at 08:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 器楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月30日

マーラー 交響曲第9番 ワルター/ウィーン・フィル 1938年ライブ録音


ワルターとウィーンpoの戦前のマーラー「第9」は未だに語り継がれている名演です。1938年のライブ録音としては驚異的な録音(と言ってもモノラルですが)ですし、戦前のウィーンpoの弦楽器特有の響きが加工無く感じられる貴重な音源です。

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20世紀中盤からバーンスタインなどのようにゆっくりで厭世観たっぷりの演奏に慣らされた耳には、モノラルながら新鮮に聴こえるスッと流れる演奏です。晩年のワルターとも違います。全体的に早いテンポで進みますが、切迫感を感じるのは時代背景が裏にあるからでしょうか。ワルターが若いということもあるのですが。

マーラー 交響曲第9番ニ短調
指揮:ブルーノ・ワルター
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1938年 ライブ録音
録音 3.00点  演奏  4.60点


この第9に関してはいろいろ買い替えましたが、このメモリーズはノイズは多いが悪くないと思います。その他にも貴重なマーラーのライブが含まれていますし。手に入りやすいのは下記CD。

一番優れた復刻と言われているのはダットン盤。私は未聴。


この演奏会が始まる前には、ナチスによる足音や叫び声による妨害があったなどという話などを知る人ももう少ないことでしょう。ユダヤ人であるワルターがウィーンでも窮地に追い込まれた状態でのライブでした。この公演後すぐに命の危険を感じワルターはアメリカに亡命することになります。家族はナチスにより命を奪われ、ワルターの最悪な時期が大戦が終わるまで続きます。


第1楽章のSP起こしでしょうか。生々しい音。

そんな心の葛藤が表れているような演奏。荒れ狂う心情を吐露しているような激しい斬り込むような演奏です。まだまだマーラーの交響曲に拒否反応を示していたウィーンpoの面々が必死にワルターの棒に応えています。しばしの別れを察知していたかのような暗くて深いトロンボーンの呻きと甘美な音色で奏でつつ時に切先鋭く切り込むヴァイオリンの音。第1楽章だけでも十分な位の聴きごたえがあります。音の悪さは途中で忘れてしまいます。そんな壮絶な響きの中で木管楽器の哀切な訴え。

第2楽章の愛らしいく朴訥な木管楽器に分厚い弦楽器群がコントラストを描いて進みます。第3楽章はワルターが激情に駆られて演奏しています。コーダのアッチェレランドは録音がさすがに物足りなく感じますが、激しい追い込みです。この後の第4楽章を聴くのが辛い。

荒れ狂う第3楽章コーダは圧巻。

第4楽章は早い。20分かからず通り過ぎてしまいます。しかしながら、それ程早いと感じさせず、マーラーの死への恐怖と演奏時にワルターの命への危機感が同期したような音。それをウィーンpoが昇華するように音にしています。鼻にかけたようなヴァイオリンの響きとポルタメントが、曲の重さを美しさへ転換してくれています。

木管楽器に懐かしい音、しかし寂しさ・侘しさがここかしこに聴こえる。それにしても聴衆のノイズがそれほど聴こえないのは不思議です。固唾を飲んで耳を傾けていたのでしょうか。

世界文化遺産に登録されてもいいような戦前のウィーンpoの響きが堪能できる第4楽章。

ユダヤ系奏者がこの後にウィーンpoからも去ることになり、オーケストラの音は微妙に変わっていきます。この演奏会の記録はワルター自身が破棄したいという程、嫌な思い出があったそうです。しかし皮肉なもので、後年のコロンビア交響楽団の演奏よりも評価が高く後世に残るのはこちらの演奏でしょう。上のyoutubeの方の復刻は見事ですね。どこにマイクを置いていたのかと思う程、当時としてはシンバルもグランカッサ・低弦もしっかり押さえている。

80年前の録音ですが、スピーカーの前で聴いているとそんな時間の経過を忘れてしまう演奏。しかし、戦争・悲劇は繰り返してはいけないという思い、そして大戦によって失われてしまったものを思い出させてくれる演奏です。

録音もよくバーンスタインのような粘着力のないMTTの優れた演奏。純度が高い!

日本製ではコバケンでしょうか。世界の小澤より日本のコバケンの方がいい。

ともにハイブリッドSACDです。コバケンはハイレゾ配信もされてます。


posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | マーラーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする