中高年の健康管理には「サントリー健康食品オンラインショップ」

2017年05月30日

マーラー 交響曲第9番 ワルター/ウィーン・フィル 1938年ライブ録音


ワルターとウィーンpoの戦前のマーラー「第9」は未だに語り継がれている名演です。1938年のライブ録音としては驚異的な録音(と言ってもモノラルですが)ですし、戦前のウィーンpoの弦楽器特有の響きが加工無く感じられる貴重な音源です。

250px-Bruno_Walter_Wien_1912.jpg
20世紀中盤からバーンスタインなどのようにゆっくりで厭世観たっぷりの演奏に慣らされた耳には、モノラルながら新鮮に聴こえるスッと流れる演奏です。晩年のワルターとも違います。全体的に早いテンポで進みますが、切迫感を感じるのは時代背景が裏にあるからでしょうか。ワルターが若いということもあるのですが。

マーラー 交響曲第9番ニ短調
指揮:ブルーノ・ワルター
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1938年 ライブ録音
録音 3.00点  演奏  4.60点


この第9に関してはいろいろ買い替えましたが、このメモリーズはノイズは多いが悪くないと思います。その他にも貴重なマーラーのライブが含まれていますし。手に入りやすいのは下記CD。

一番優れた復刻と言われているのはダットン盤。私は未聴。


この演奏会が始まる前には、ナチスによる足音や叫び声による妨害があったなどという話などを知る人ももう少ないことでしょう。ユダヤ人であるワルターがウィーンでも窮地に追い込まれた状態でのライブでした。この公演後すぐに命の危険を感じワルターはアメリカに亡命することになります。家族はナチスにより命を奪われ、ワルターの最悪な時期が大戦が終わるまで続きます。


第1楽章のSP起こしでしょうか。生々しい音。

そんな心の葛藤が表れているような演奏。荒れ狂う心情を吐露しているような激しい斬り込むような演奏です。まだまだマーラーの交響曲に拒否反応を示していたウィーンpoの面々が必死にワルターの棒に応えています。しばしの別れを察知していたかのような暗くて深いトロンボーンの呻きと甘美な音色で奏でつつ時に切先鋭く切り込むヴァイオリンの音。第1楽章だけでも十分な位の聴きごたえがあります。音の悪さは途中で忘れてしまいます。そんな壮絶な響きの中で木管楽器の哀切な訴え。

第2楽章の愛らしいく朴訥な木管楽器に分厚い弦楽器群がコントラストを描いて進みます。第3楽章はワルターが激情に駆られて演奏しています。コーダのアッチェレランドは録音がさすがに物足りなく感じますが、激しい追い込みです。この後の第4楽章を聴くのが辛い。

荒れ狂う第3楽章コーダは圧巻。

第4楽章は早い。20分かからず通り過ぎてしまいます。しかしながら、それ程早いと感じさせず、マーラーの死への恐怖と演奏時にワルターの命への危機感が同期したような音。それをウィーンpoが昇華するように音にしています。鼻にかけたようなヴァイオリンの響きとポルタメントが、曲の重さを美しさへ転換してくれています。

木管楽器に懐かしい音、しかし寂しさ・侘しさがここかしこに聴こえる。それにしても聴衆のノイズがそれほど聴こえないのは不思議です。固唾を飲んで耳を傾けていたのでしょうか。

世界文化遺産に登録されてもいいような戦前のウィーンpoの響きが堪能できる第4楽章。

ユダヤ系奏者がこの後にウィーンpoからも去ることになり、オーケストラの音は微妙に変わっていきます。この演奏会の記録はワルター自身が破棄したいという程、嫌な思い出があったそうです。しかし皮肉なもので、後年のコロンビア交響楽団の演奏よりも評価が高く後世に残るのはこちらの演奏でしょう。上のyoutubeの方の復刻は見事ですね。どこにマイクを置いていたのかと思う程、当時としてはシンバルもグランカッサ・低弦もしっかり押さえている。

80年前の録音ですが、スピーカーの前で聴いているとそんな時間の経過を忘れてしまう演奏。しかし、戦争・悲劇は繰り返してはいけないという思い、そして大戦によって失われてしまったものを思い出させてくれる演奏です。

録音もよくバーンスタインのような粘着力のないMTTの優れた演奏。純度が高い!

日本製ではコバケンでしょうか。世界の小澤より日本のコバケンの方がいい。

ともにハイブリッドSACDです。コバケンはハイレゾ配信もされてます。


posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:28| Comment(0) | TrackBack(0) | マーラーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲第1番 ハーン&ヤンソンス/ベルリンpo 2000年ライブ


女性ヴァイオリニストの中で一番好きなヒラリー・ハーンも気づけば中堅に。youtubeで見る限り、その技巧と頭脳のキレは相変わらずで、その他台頭してきている女性ヴァイオリニスト、男性ヴァイオリニストと比較しても一頭抜きんでていると思い続けています。

しかしながら・・・彼女の演奏のCDは所持していない。昔はソニー・クラシカルの専属で今はユニバーサル(グラモフォン)の専属でそれなりにCDは発売されており有名曲もほぼ網羅しているにも関わらず、バックを務める指揮者とオーケストラの選定が残念でハーンは聴きたいのだけれどと躊躇してしまう。例えそれが連かCDになったとしても。

マリナーやジンマンとか。
その時期の演奏記録で「これは凄いわ・・」と何度も見てしまうのおが、2000年にベルリンpoと来日した際のDVDでヤンソンスとショスタコーヴィチを演奏したもの。

ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調
ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン
指揮:マリス・ヤンソンス
ベルリン・フィルハーモニア管弦楽団
2000年 サントリーホールでのライブ
録音  4.45点   演奏  4.65点



この演奏会では
ウェーバー 「オベロン」序曲
ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲第1番
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番よりプレスト
ドヴォルザーク:交響曲 第8番 ト長調
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 ハ長調
が演奏されました。この日のヤンソンスはかなり気合が入っていますが、ショスタコーヴィチのハーンの1曲のために購入。そしてこの日ベルリンpoを一番追い詰めたのは間違いなくハーンのヴァイオリン。演奏している姿を見ても指揮者も見つつ、バックのオーケストラの団員の演奏姿を見て弾きこなすハーンが確認できます。恐らく総譜が頭に全て入っているのでしょう。団員もヤンソンスに合わせるのでは無く「この子すげぇ」と顔をしながらバックをサポートしてます。


ハーンのヴァイオリンは技巧的には勿論、頭脳明晰で過去の演奏にも精通しており楽譜を研究もしていますが、先人の演奏を研究していろいろなものから自分の音を得ようとしているヴァイオリンだと思っています。インタビューでも過去の演奏について語っている姿を見ましたが良く知っているし分析も適格。

風貌とそのテクニックから冷たい音を出す演奏家だと思われがちですが、決してそうではない。細い音から太い音まで、早いパッセージから歌うパッセージまで全て完璧、かといって頭脳的で考えた演奏になっているかと言えばそうはならない。演奏する曲に合わせて、また演奏している時の感興に合わせて肉付けがされているので決して冷たくない。この日のショスタコーヴィチもそう。ヤンソンスが伴奏だからかもしれませんが。

第1楽章から第3楽章までも見事ですが、何より第4楽章。キレてます。弾くので精いっぱいなヴァイオリニストの中、管楽器の音を確認品が弾きこなす姿は余裕と風格すら感じる。ピチカートの音も強めにそして効果的に聴こえる。コーダはヤンソンスの存在を忘れハーンvsベルリンpoといった趣。恐れ入りましたの一言。

ハイフェッツと一緒でと言ったら語弊があるかもしれませんが、いいオーケストラと指揮者とでは解釈でぶつかるから演奏したくの無いのでしょう?未だに下のビシュコフとのグラズノフのような録音をして欲しいのですが、今のところ聴いてみたいCDはサロネンとのシェーンベルクとシベリウス位か。


未だに出ないかなぁと鶴首しているグラズノフのコンチェルト。

有名曲もしっかりと彼女をサポートしてくれる指揮者とオーケストラで再録音をして欲しいと思うのですが。この来日した時からはや17年です。もっと凄い演奏をしてくれると思うのですが。ヤンセン、ユリア・フィッシャーなどとはものが違いますから。恐らく彼女達は時の人で終わるのでは?バティアシヴィリはそうはならないと思いますが。

それにしても男性ヴァイオリニストの寂しいこと・・・

posted by 悩めるクラヲタ人 at 07:42| Comment(0) | 協奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月29日

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 ルービンシュタイン&メータ/イスラエルpo 1976年録音


ブラームスのピアノ協奏曲は2曲ありますが、渋く暗い2番よりも若気の至りがこめられた1番のほうが好きです。以前にクン・ウー・パイクによるCDを紹介しましたが、録音・演奏ともに好きなのは晩年のルービンシュタイン盤。ハイティンクとの演奏映像も同時期に残していますが、伴奏が残念・・・
過去記事→ブラームス ピアノ協奏曲第1番 クン=ウー・パイク&インバル/チェコpo

dc8a90e4de.jpg
こちらのメータとの競演盤はまだメータの調子のいい時であり、オーケストラの鳴りっぷりがこの協奏曲にぴったり。そしてそこにルービンシュタインの枯淡の境地が絶妙に絡み合うのです。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番ニ短調
ピアノ:アルトゥール・ルービンシュタイン
指揮:ズビン・メータ
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
1976年録音
録音  4.35点  演奏  4.70点



第1楽章冒頭のオーケストラの地響きのような始まりからメータの気迫が伝わってきます。非常にシンフォニックなこの冒頭部をかくあるべしと立体的に演奏しています。ちょっと力瘤はいりすぎでは?と前奏が終わったときに、すっとルービンシュタインの語るように、しかしブリリアントな響きのピアノが入ってきます。

録音がピアノの音を克明に捉えているので気持ちがいい。この録音全体的に言える事ですが、ピアノとオーケストラの分離がよく、少し力の入ったメータと力が抜け達観の境地のルービンシュタインのバランスをうまく均衡させていると思います。少しオンで乾いた録音ではありますが。


相棒がハイティンクですが・・・

しかし90歳近いピアニストのピアノとは思えないようなしっかりした技巧です。ほとんど目が見えていない状態での演奏とはにわかに信じ難い・・・指が音を覚えているのでしょう。パワフルなメータの指揮に決して物怖じせずくっきりと音が明確に浮き上がってきます。第1楽章コーダでも凛としたまま。ピアニストにも体力がかなり要求される曲ですがそれを感じさせない。この年で余裕と風格がまだまだ有り余っているような気配すら漂う様には脱帽です。


カプリチオ。なんともするめのような噛めば味が出るような音楽。

この演奏でのルービンシュタインの特徴は、ピアノ指定でも少し強めに弾くことですべての音符が明確に見える演奏です。逆にフォルテも昔と違い強引に叩かないようにしています。極端に言えばmpからmfの範囲内で弾いているような感じ。そしてゆとりを持ったテンポで進めるので、味わい深い響きを堪能できます。

この特徴は第2楽章の静かな楽章で特に印象的です。同じ弾き方を2番でやったらうまくいかなかったでしょう。2番はバックハウスのような少しごつごつとした無骨な響きのほうがあっています。

技巧が一番求められる第3楽章になってもルービンシュタインはバリバリ。難解なパッセージを解きほぐして教えてくれるような演奏。トリルや早いパッセージで少し指が覚束ない所もありますが、それすら芸になっている。録音によるものなのか定かではないのですが、第3楽章コーダ等ピアノがオーケストラの音に埋没する場合が多いのですが、常にルービンシュタインの音は輪郭がしっかりと聞こえてきます。




コーダでのピアノ独奏部分も決してテクニックを見せつける訳でなく、ブラームスの青春を感じさせるような情熱と明るい音色で楽しませてくれます。このブラームスに暗さは無い。だから駄目という方も多いかもしれません。


ライナーとの第3楽章。軽い演奏に聞こえます・・・

晩年のルービンシュタインの演奏の中でも一番好きな演奏です。バレンボイムとの「皇帝」は、ピアノは見事ですが伴奏があまり好きになれない。以前紹介したプレヴィンとのピアノ協奏曲集もそうですが、指揮者がルービンシュタインと合わせながら自己主張しないと面白くない演奏になってしまうのかもしれません。

それを余裕で受けるルービンシュタインとの妙が演奏を面白くする。だからハイティンクとかバレンボイムとかだと・・・
プレヴィンとの過去記事→サンサーンス ピアノ協奏曲第2番ほか ルービンシュタイン&プレヴィン/ロンドンso

しかし、このCDは一度プレーヤーに乗るとなかなか離れてくれない1枚です。第3楽章は何度も聞き入って「どこが素晴らしいのだろう?」と考えるのですが、その素晴らしさの秘密がなかなかわからない、巨匠の指の魔力・呼吸間は長年の演奏活動によって培われたもので、私たちには到底及びもつかない境地なのだなと思い知らせてくれるCDです。


posted by 悩めるクラヲタ人 at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 協奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする