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2017年05月01日

ブルックナー 交響曲第7番 シューリヒト/ハーグpoおよびベルリンpo 1964年録音


長らく書きたいと思っていたシューリヒトのブルックナーの交響曲第7番について。当時、会員制だったコンサート・ホール・ソサイエティへのハーグpo(正式名称としてはハーグ・レジデンティ管弦楽団)との録音は、評論家 宇野氏によって長らくこの曲の名盤として君臨していました。
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が・・・ステレオ録音としては貧弱でセンスの悪い録音とハーグpoの拙さが有名な録音でもありました。「これが第8番や第9番のようにウィーンpoとの録音だったら、さぞかし・・・」と誰もが思い続けいた。私もシューリヒトのブルックナーなら第7がスタイル的にも一番合っていると思うので。20世紀後半に同系統のヴァントの名盤が発売されてからは影が薄くなったなぁと思っていたら、同年ザルツブルク音楽祭でのベルリンpoとのライブ録音が残っていて、それとともに再び陽の当たるCDになりました。

ブルックナー 交響曲第7番ホ長調
指揮:カール・シューリヒト
ハーグ・フィルハーモニー管弦楽団
(ハーグ・レジデンティ管弦楽団)
1964年9月 スタジオ録音
録音  3.90点  演奏  4.50点


DENONやタワーから出ている通常CDよりかは、このBOXのリマスタリングの方が私は好き。

録音に関してはしっかりとしたステレオ録音ですが、ダイナミックレンジは狭く強奏時に混濁する・マイクセッティングが悪く弦楽器と管楽器のバランスが悪いなど問題が多い。何度もリマスタリングされていますが、リマスタリングされ昔に比べかなり改善され明晰になったものの、ハーグpoの拙さと録音のバランスの悪さが余計に露呈する結果に・・・タワーレコードからSACDで発売されていますが、私は流石に食指が動きません。


ヨッフムとウィーンpoの7番の演奏記録。珍しいコンビですね。





演奏に関しては素晴らしい演奏だけど「未だに録音とオーケストラに不満が残るが、シューリヒトとハーグpoの録音を超えるものはない」と言われるほどまでではないかとずっと思っていました。統率された弦楽器の歌心は優れた演奏ですが、良くも悪くもローカルな音色の残る金管・木管楽器は肝心のところでパワーとスタミナ不足で荒れ気味すし、この曲でダイナミックレンジが狭い録音(どんなマイクのセッティングだったのかわからぬ・・)なのは致命的。しかしながら、管楽器が控えめな第2楽章(クライマックスではへなーとなりますが)と優れた造型の第3楽章には強く魅かれます。如何せん、第1楽章と第4楽章が録音のせいで神々しさが物足りない。

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ハーグpo名誉のために言っておけば、この頃のハーグpoはそこまで悪いローカル・オーケストラではないはずだったということ。恐らくこの録音当時のコンサートマスターは後にアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団のコンサートマスターとなったテオ・オロフが務めていました。この録音で彼が弾いていたかまではわかりませんが。1960年まではこれまたACOにヨッフムの直談判によって引き抜かれた名コンサートマスターのヘルマン・クレッバースとダブル・コンマスでした。まだパリ・オペラ座管弦楽団と録音されていなくて良かったと思うべきです。なのでよく弦楽器に耳を欹てると、そこまで悪くはない。

この録音の1か月前にシューリヒトはベルリンpoとザルツブルク音楽祭に出演し、モーツァルトの「プラハ」とともにこの曲を演奏しており、幸いにも録音が残っていました。不幸にもモノラル録音ですが・・・
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1964年8月 ライブ録音
録音  3.65点  演奏  4.60点


プラハについては、過去記事を↓
モーツァルト 交響曲第38番「プラハ」 シューリヒト/ベルリンpo 1964年ライブ

流石にベルリンpo。演奏に関してはごりっとした低音と優れたストリングスで、ハーグpoとの演奏で不満だった点がだいぶ解消されています。第1楽章、第2楽章の厳粛な響きは圧倒的です。ぐっと心を惹きつけられます。突き抜けるような弦楽器群の音色とアンサンブルも素晴らしい。基本的な解釈は当然変わりありませんが、意外にもライブの方が少しテンポが抑えられている気がします。録音に関しては、良質なモノラル録音ですがもう少し響きが残っていた方がなぁという不満が残ります。その代りにオンマイク気味の録音で各セクションの分離は良いのでここは良し悪し。


このコンビはSP時代にスタジオ録音しています。基本的な解釈が変わらないのは凄い。チリパチノイズさえなければ一番いい記録かも。

第3楽章と第4楽章もこれがステレオ録音であればさぞかしと本当に思う程、修羅の如く暴れ狂いそうなベルリンpoと上手く統率しています。ベートーヴェンの録音でもそうですが、シューリヒトのスケルツォ楽章には本当に外れがない。キビキビしている中に木管楽器の浮き立たせなどの名人芸が光ります。そこにベルリンpoの分厚い響きが加われば鬼に金棒。「ゴリラッタ・ゴリラッタ」と始まる第3楽章の常にごりっとした感じは理想的。明と暗の切り替えの妙と言ったら。また総奏の時に混濁しない。第4楽章は少し響きがデットなのでタイト過ぎるかなとも思いますが、この記録が残っていたことには本当に感謝。

1950年代後半にパリ音楽院管弦楽団とベートーヴェン交響曲全集を残していますが、ベルリンpoとだったらどのような演奏になっただろうと思わせる名演です。今でもクリュイタンスとシューリヒトと指揮者は反対だろうと論争の消えることの無いEMIの2種のベートーヴェン交響曲全集。

一時は私もそう思いましたが、ベルリンpoではあのようにシューリヒトも好きなように振れなかっただろうと肯定派です。録音にかんしては残念感が残ります。ステレオでクリュイタンス音質だったらというたらればが。

しかし、シューリヒトに関してもクナッパーツブッシュにしてもブルックナーの第7番に関しては録音運が良くない。昔はブルックナーの第7番はクナッパーツブッシュの十八番という記述がありましたが、今となっては第8番の方が十八番で第7はそんなに振って無かったことが判明。これはやはり吉田秀和さんの有名な評論の影響が長く尾を引いたデマでしたね。


ブルックナーの交響曲第7番は不思議と名盤に恵まれないなぁと思っていた曲ですが、当分は総合点でヴァントとベルリンpoの録音を超えるものは出ないと思われます。
posted by 悩めるクラヲタ人 at 19:48| Comment(0) | ブルックナーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

モーツァルト 交響曲第38番「プラハ」 シューリヒト/ベルリンpo 1964年ライブ


モーツァルトの交響曲を以外に取り上げていないブログですが、聴いていないわけではありません。聴く演奏に偏りが結構あります。意外に後期3大交響曲はあまり聴かず、短調の2曲や長調では「プラハ」「リンツ」の方が聴く機会が多いです。
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モーツァルト 交響曲第38番ニ長調「プラハ]」
指揮:カール・シューリヒト
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1964年 ザルツブルク音楽祭でのライブ録音
録音  3.65点  演奏  4.60点

※カップリングは、当日演奏されたブルックナーの交響曲第7番!


短くてもモーツァルトの魅力を凝縮した傑作ですね。「プラハ」と言えばシューリヒトの演奏か、ペーター・マーク/都響のライブ録音しか聴きません。

マーク盤はオケに少し重みをつけてこの交響曲に風格を与えていますが、シューリヒトは軽妙でふわりとした感じでモーツァルトの愉悦感を表出しています。

シューリヒトとシュトゥットガルト放送交響楽団との演奏。録音とオケが少し落ちます。


疾風怒濤で進む両端楽章に挟まれた第2楽章は、逆に深い味わいを感じます。特にこのベルリンpo盤ではオーケストラが上手く、木管楽器を強く吹かせているので余計にそう感じます。シューリヒトの「プラハ」は、何種類も録音が残っていますが、私はベルリンpoとの録音を一番評価します。第2楽章の哀切感が他の盤より魅力的に感じます。録音と演奏のバランスも一番整っていると思います。

正直、最初「プラハ」を取り上げる際に、シューリヒト/ウィーン・フィルとのライブ録音を出そうと思ったのですが、マスタリングが悪名高いアイヒンガー&クラウスで、低音がやはり気に入らない。演奏は素晴らしいのですが・・・

リマスタリングし直してほしい・・・ジュピターは古楽器演奏顔負けの猛スピードの快演です。故岩城氏が「ジュピターは振り間違えで猛スピードになってしまい、楽章が終わったら指揮者とオーケストラが苦笑いしていた」という勘違い文章で有名。シューリヒトにとっては基本的スピード。

一番有名なのはパリ・オペラ座管弦楽団との録音。シューリヒトの名前を一躍有名にした演奏でもあります。しかしウィーン・フィル盤やこのベルリン・フィル盤を聴いてしまうと、録音のバランスの悪さとオーケストラの非力さがたまに瑕。

これはパリ・オペラ座管弦楽団とのCD。だいぶ音はよくなったもののの。
この曲は彼の十八番で数多くの記録が残っています。


しかし、シューリヒトの「プラハ」の解釈にはブレがありません。オケがいかに非力であろうとも、第3楽章の突っ込んでいくようなスピードは妥協しません。この演奏に慣れると他の演奏が緩く聴こえて駄目ですね。


それ以外のモーツァルトの曲についてはこちらでまとめていますのでどうぞ↓
・モーツァルトのCDレビューまとめ
posted by 悩めるクラヲタ人 at 19:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

プロコフィエフ チェロと管弦楽のための交響的協奏曲 ロストロポーヴィチ&小澤征爾/LSO 1987年録音


ムスティスラフ・ロストロポーヴィチが20世紀を代表するチェリストであることは間違いありません。現代作曲家が彼のために書いた作品も数多い。晩年までチェリストでありながら指揮者としても活躍していました。録音も非常に多く残されている。ドヴォルザークのチェロ協奏曲だけでも何回録音したことか。

ではロストロポーヴィチのドヴォルザークのチェロ協奏曲のCDをファーストチョイスとして持っているかと言えば否。彼の代表的な録音は?と訊かれたら皆さんは何を想像されるのでしょう。「今後二度とこの協奏曲を録音しない」と断言した小澤とのドヴォルザーク、指揮者としてはショスタコーヴィチの交響曲全集、パリ管との「シェヘラザード」とかでしょうか?
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私は結構ロストロポーヴィチのCDはクラシック聴きたての頃はよく聴いたし棚にあったのですが、今は2枚しかない。リヒテルとのベートーヴェンのチェロソナタと表題のCDのみ。後は全て売却。それを超える演奏が多くあるからという理由。このプロコフィエフに関しては彼に献呈されているし作曲家の相談にも応じて出来た作品ということもあり自家薬籠中。他の追随を許さない。

プロコフィエフ
交響的協奏曲 ホ短調−チェロとオーケストラのための
ショスタコーヴィチ
チェロ協奏曲 第1番 変ホ長調
チェロ:ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ
指揮:小澤征爾
ロンドン交響楽団
1987年録音
録音 4.30点  演奏  4.60点



曲は渋いですが、小澤とのドヴォルザークよりも断然こちらの方が愉しめる。プロコフィエフの曲は実質チェロ協奏曲第2番ですが、不評だった第1番をロストロポーヴィチに相談し改作したもので交響的協奏曲と名付けられました。チェロの技巧の限りを尽くした曲です。チェロの音色とロストロポーヴィチの技巧を堪能するのにこれほどいい曲はありません。分厚い大音量の低音から超高音のキレまでチェロがこれほど豊かで多彩になり、少し現代的なスパイスの効いたオーケストラが伴奏する佳曲です。

晩年の録音だけに少し音が細身にはなっていますが、凡百のチェリストよりはまだまだチェロを鳴らすという点では負けていません。良くも悪くもロストロポーヴィチというチェリストの特徴を表している。どんな曲でもロストロポーヴィチの演奏は技巧も音量も凄いなと思わせるのですが、どこか楽天的で芸術に必要な厳しさとか寂しさに欠ける。人間性からくるものなのでしょうか。リヒテルもそうですがソビエト時代の方が神経が研ぎ澄まされていたかのようなピリピリとして緊張感があった時の方がよく、録音技術が上がり彼らが政治的(経済的?)にも余裕が出た後年の演奏にはそれさえかけてしまったようで、大きな音圧と技巧だけが残ったといったら言い過ぎでしょうか。


フルネ伴奏の第3楽章。懐かしいですね。

このCDの2曲に関しては、流石に最後の録音になるだろうという想い、そして作品に対する矜持を持っていることを感じる演奏です。当初はショスタコーヴィチの協奏曲(面白い曲ですよね)聴きたさに図書館で何度もCDを借りて聴いていたのですが、プロコフィエフを後々聴いてこちらの方が凄いなと。ヨー・ヨーマがマゼールと録音した同曲も購入して聴いたことがありますが、この演奏に比べると全然。指揮はマゼールで小澤より面白かったですが。

録音はこちらの方が優れていた記憶があります。ティンパニ・大太鼓がズンッとくる。

小澤の指揮はロストロポーヴィチに合わせた見事なもの。もうちょっと攻めてオーケストラもぐっとドライブして欲しいものですが、それは無いものねだりというもので・・・でもプロコフィエフの第2楽章最後の追い込みとトロンボーンの音を潰した深い響かせ方、ショスタコーヴィチの第3楽章は明晰で見通しの良い伴奏。ユーモアには欠け、少し録音がオフ気味なのが物足りないですが。不思議とロンドン交響楽団が演奏している思えない無国籍な感じがします。両曲ともロストロポーヴィチと蜜月関係にあった通りピタリと呼吸のあった演奏です。

こちらはその弱点が両者とも出てしまった感じで、カラヤンとギシギシやっている旧録音の方が圧倒的に面白い。

もう少し早い時期に録音されていたら暗さとキレがあっただろうなと思うものの、晩年のロストロポーヴィチが到達した境地と技巧が曲と見事に共鳴した名曲発掘の良いCDだと、私の棚にの残り続けるでしょう。
posted by 悩めるクラヲタ人 at 08:00| Comment(0) | 協奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする