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2017年05月05日

ヴェルディ 歌劇「オテロ」 ドミンゴ&C・クライバーとムーティ/ミラノ・スカラ座 1981年・2001年


ムーティの全盛期はミラノ・スカラ座での1990年代だったののではと思う今日この頃。そしてプラシド・ドミンゴの全盛期は3大テノールとして活躍した1990年代前後10年くらいかなと。ドミンゴは丁度40代から60代。声は断然40代の方がいいのですが、達者な人ですから声の衰えを演技と表現力でカバーしていきました。
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家にはオテロのCDがそれなりにありますが、聴くのはドミンゴが表題役の2枚。指揮はカルロス・クライバーとリッカルド・ムーティで、ともにミラノ・スカラ座でのライブ録音。ムーティは所持している2001年DVD以降にもオテロを録音してますが、歌手の出来も含めてこの時が最高かと。

ヴェルディ 歌劇「オテロ」 全曲
オテロ:プラシド・ドミンゴ
イヤーゴ:レオ・ヌッチ
デズデーモナ:バルバラ・フリットリ他
指揮:リッカルド・ムーティ
ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
2001年 ライブDVD
録音  4.40点   演奏  4.60点



最近のムーティとは違い、まだ斬れ味が残っていながらどっしりと構える伴奏ぶりと長きにわたってピットを守った矜持を感じさせる演奏。後段のクライバーに比べればもっと勢いが・・・という贅沢はありますが、これだけイタリア・オペラに精通している、セラフィン以後の伝統を守る演奏は無いでしょう。気を衒わずスコアをしっかりと鳴らしきる。最初の雷雨からどっしりとした迫力があります。ドミンゴは齢60歳。調子が良くなくキャンセルした公演もあったそうですが、出演して収録されたのは調子がいい日。

最初の登場からやはり他のテノールと存在感が違います。デル・モナコ以後のオテロではドミンゴ以外でははまる人がいない。フリットリと比べて年増と揶揄されましたが、60歳でもまだダンディであり、その分猜疑心と嫉妬の強さをドミンゴが表現しており、声の苦しさもその表現の一つとしており巧み。

このDVDで素晴らしいのはイヤーゴを演じるレオ・ヌッチ。顔が悪人顔ですから、こちらもはまっています。第2幕・3幕はドミンゴを凌ぐほどの存在感。謀略を図り実行する際の厭らしさを顔と声で見事に表現し、「嫌な奴」と素直に思ってしまいます。第2幕最後のドミンゴとの2重唱も圧巻。2重唱に入る前のムーティの握りこぶしを強く握っていただろう長く伸ばすトゥッティ(通常はジャン!ジャン!と鳴らすところを、ジャン!ジャーーンッ!と演奏)も効果的。

第4幕最後の幕切れもオテロ・デズデーモナ・オーケストラともにぐっときます。ムーティも低弦の刻みを強く弾かせてどろどろした悲劇的な最後に。最後の和音では低弦の刻みがすっと消え、管楽器とヴァイオリンがスーーッと終わるところは聴後感が素晴らしい。


ムーティとシカゴsoの最新盤。私はちょっと手が伸びません。

もうこの時点で期待外れだったので。




さてドミンゴには、その20年前に東京来日公演でカルロス・クライバーと演奏した記録も残っています。正規ではありませんが、いずれ出てこないかと期待している記録。NHKにあるはずなんですが。ドミンゴ40歳。
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ヴェルディ 歌劇「オテロ」全曲
オテロ:プラシド・ドミンゴ
イヤーゴ:シルバーノ・カロッリ
デズデーモナ:アンナ・トモワ・シントウ
指揮:カルロス・クライバー
ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団
1981年 日本来日公演ライブ(ステレオ)
録音  4.20点   演奏  4.70点

※一番いい音質は 米ECLOGUEから1997年に発売されたCD。たまにヤフオクでしか見ません。ステレオで出ているのは記憶するなかでは唯一。NHKの放送用録音だと思われる。同時期に演奏されたボエームもECLOGUE盤が一番音がいい。
モノラル盤は結構出回ってましたが最近はそれも。AMAZONでは今無いですね。1976年のDVDしか出てこない。


音は劣りますが、良好なステレオ。何よりドミンゴの声が若いのと、トモワ=シントウのデズデーモナも巧い。両者円熟期。イヤーゴは劣ります。この当時クライバーはオテロをドミンゴ・フレーニ・カプッチッリの3本柱で演奏するのを好んでいた時期ですが、来日では珍しい組み合わせです。

この演奏ではやはりクライバーの硬軟織り交ぜドラマの限りを変転自在に操る棒捌き、とそのテンションに見事に応えるドミンゴとシントウが聴きどころ。第1幕の冒頭部は当時「オーケストラピットから音が噴き出てくるような・・・」と言われたように、跳ねるような音の粒子が勢いよく、気づけば第1幕最後のオテロとデズデーモナの愛の2重奏に。


全盛期の月9ドラマのようなジェットコースター的展開というか、引き込まれてしまいます。



第4幕での叙情性も見事。イヤーゴの謀略がばれる際の急アクセル、急ブレーキをかけドミンゴに締めくくらせる見事さ。ミラノの観客は最後の和音途中でフライング拍手し始めるが「シィィーーー」と静める良質な観客の多さにも関心。東京の観客はブラヴォーまではフライングしませんが、拍手は普通にしてしまいます。残念。

しかし最近いいオテロ歌手がいないですねぇ。
posted by 悩めるクラヲタ人 at 14:56| Comment(0) | オペラ・声楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする