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2017年05月06日

ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」 ヤンソンス/RCO 2007年ライブ録音SACD


ストラヴィンスキーの「春の祭典」。いわずと知れた20世紀の名曲です。複雑なリズム、不協和音の連続で初演時にはブーイングの嵐が吹き荒れるスキャンダルとなりました。今聴いても「頭の中がどうなったら、こんな曲が書けるのか?」と興奮させられます。アインシュタインの相対性理論は、彼が発見しなくても20世紀中には誰かが発見しただろうといわれますが、この曲についてはそれは当てはまらないでしょう。
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しかし・・・非推薦盤です。録音の優秀さを除いては。推薦盤ばかり出しててもなぁと。

ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」
指揮:マリス・ヤンソンス
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
2007年 ライブ録音 SACDハイブリッド盤
※カップリングは、「火の鳥」組曲(1919年盤)



私がヤンソンスのCDを持っているのはこれだけ。あとはDVDでベルリン・フィルと来日したときのものがあるだけです。このSACD、発売された時には「最新録音でSACD。「火の鳥」組曲を優秀な録音で聴ける!」とかなり期待をして購入したのですが、このCDをかけるのはオーディオ装置を変えた時と「やはりいい演奏じゃなかったかな」と聴き直してみようと思う時位です。何度聴いても、優秀な録音だなというだけで終わってしまうのです。

私の感覚がおかしいのか。ヤンソンスのCDは、結構期待して購入したのですが、ほとんど中古屋行き。オイゲン・ヨッフムが歴任した名オーケストラの音楽監督であり、ウィーン・フィルともニューイヤーコンサートを指揮する等、ヨーロッパでは引っ張りだこの人気指揮者です。


来日も多く、2012年はベートーヴェン交響曲全曲を演奏して好評でした。

来日直前に交響曲全集が発売されているのに、またすぐ来日公演のライブ録音を全集として映像化させるというのは驚きました。

この公演を私もテレビで視聴しましたが、「オーケストラとの共同作業がうまくいっていて、良好な関係だな」という印象で、演奏そのものの印象は残っていません。話題盤にはなりましたが、定番にはなっていないですよね。

このSACDの感想も同じです。ストラヴィンスキーの音楽が20世紀の古典として演奏されています。刺戟的(あえてこの字)なところが皆無。入念なリハーサルで仕上げたこの曲を、演奏会で俎上にあげましたという感じに聴こえる。録音がホールトーンも含め優秀なSACDが故に余計にそう思える。傷ひとつなく、オーケストラとも呼吸がピッタリ過ぎて予定調和で、「春の祭典」が持っている脳髄を刺戟する音になっていない。レビューを見ると、みなさん高評価なのでちょっと戸惑います。

「火の鳥」組曲も同じです。鳴らすべきところを鳴らし、美しいところをこの上なく美しく演奏しています。

これはたぶん若い頃の演奏かと。

ブーレーズのような分析的な「春の祭典」を高く評価するほうではありませんが、レコードに記録を残すならばそのほうがよほど意味がある。面白いし、「そんな音が隠れていたか」という驚きもあります。とはいえ、ヤンソンスのDVDはあります。ハーンとのショスタコーヴィチの協奏曲もいいし、ドヴォルザークの交響曲第8番も燃えています。


時にタクトを止めてオーケストラに任せています。この頃のヤンソンスのほうがよかったかな。ほとんどの識者が「病後のヤンソンスは円熟味を増した」と批評されていますが、逆に面白くなくなったと私は思います。自主レーベルから数多くのCDしかもSACDで出してくれていますが、記憶に残るものがあったかは不明。聴いている間は特に不満は無いのですが・・・


オーケストラと指揮者の関係性には、適度な緊張感というものが無いといけないのではないかと。バイエルンの重責と兼任だったRCOはダニエレ・ガッティに席を譲り、今はバイエルン放送交響楽団に専念するみたいです。果たしてヤンソンスは、小澤もそうですが、名オーケストラに長きに渡り君臨し名声もあるが歴史に残る名盤を残してくれるのでしょうか?






ラベル:SACD 名録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 12:04| Comment(2) | TrackBack(0) | 管弦楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」第1幕 クナッパーツブッシュ/ウィーンpo 1957年録音


ハイレゾでこの名演・名録音を聴いて「こんなにいい音と演奏だったか!」と再認識。というか、やっとシステムがついてこれるようになったというべきか。

e-onkyoでこの名盤がハイレゾ音源でセール中。明後日の5/9まで!「神々の黄昏」からの2曲つき。ということでダウンロードしましたが、音の生々しさが半端ない。
e-onkyo クナ/VPO ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」第1幕


192kHz/24bitで1,725円なら安い。(セール時以外の時は3,680円と高い・・・)
至福の一時…

さて何度も手を変え素材を変え再発売されている演奏です。私がCDで所持しているのは、1996年にオリジナルに遡ってリマスタリング発売された「栄光のロンドン・サウンド・シリーズ」の1枚です。正式には栄光のDECCAサウンドですね。
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このデザインは今も色褪せない。

最初にKINGレコード(どこか死語に近い印象が・・・)からCD化された時にはフラグスタートの声が潰れ気味で、全盛期を超えた歌唱だなぁと思っていたのですが、このCDのリマスタリングやハイレゾ配信ですっかり解消されました。靄がかかった音質もクリアになり、今のシステムでも十分聴ける音質です。
逆にシステムが試されるほど。この当時のワイドレンジと生々しさ・空気間をいかに再現出来るか?社を挙げたプロジェクトの前録りですから、Deccaの本気度が伝わって来ます。

ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」第1幕
ジークリンデ:キルステン・フラグスタート
ジークムント:セット・スヴァンホルム
フンディング:アルノルト・ヴァン・ミル
指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1957年 スタジオ録音
録音 4.40点  演奏 4.75点



オリジナルマスターに再び遡って最新リマスタリング、そしてSACDシングルレイヤーで限定発売。もう私は買いません。

ご存じの方が多いと思いますが、この録音はDeccaが「ニーベルングの指環」全曲を録音するための練習的録音でした。プロデューサー カルショーは、クナッパーツブッシュでやりたかったが、肝心のクナッパーツブッシュが非協力的かつ興味がないのと年齢的に無理があり頓挫。で、指揮者はショルティになりましたが、完成されたプロジェクトは大きな反響と未だに大きな影響を与え続けています。


このクナッパーツブッシュの演奏・歌唱にもどりますが、もう言わずもがな。これ以上何を求めましょうという演奏と録音です。ワーグナー入門にも適しているし、ワーグナー崇拝者にも崇められる名演です。ティーレマンが大成したとしてもここまでの境地には辿りつくとも思えないし、これだけの歌手も出てこないでしょう。ミルのフンディングは特に印象に強く残る。

ここでのクナッパーツブッシュの指揮は特に遅いとは思いません。ティーレマンのバイロイト音楽祭の映像をBSで見た時には、部分的にクナより引っ張り気味に遅い部分もありました。幕切れではティーレマンは走ってしまいますが。

何よりウィーン・フィルの木管楽器(特にクラリネットのプリンツやオーボエのマイヤーホーファー)の濡れたような艶、弦楽器の香り、温もりのあるブラヴェッツのチェロ独奏など失われたものが大きすぎます。恐らくコンマスはバリリではないでしょうか。横にはボスコフスキーが座っていたことでしょう。ホルンの響き、トランペットの柔かさなどなど伴奏の魅力は尽きず、「あの時代は云々・・・」というしかないですね。


1957年バイロイト音楽祭での「ワルキューレ」第1幕。コーダのテンポが特に違います。やはりウィーンpoのような色気は無いですが、祝祭歌劇場独特な響きは魅力です。

クナッパーツブッシュの自然な流れ。呼吸感に乗っかるように旧知の歌手たちも好調。フラグスタートはヴァルナイやニルソンより一時代前のワーグナーソプラノの代表格でしたが、この録音は舞台引退後で絶頂期ではありません。しかし時間と手間をかけて作られている録音では休憩などもあったことでしょうし、ベストとはいえないまでも彼女の名に恥じない名唱。スヴァンホルムも当時絶頂のヴィントガッセンの一世代前のワーグナーテノールです。ミルは最盛期の歌唱ですね。

楽劇「ニーベルングの指環」第1夜にあたる「ワルキューレ」ですが、この第1幕は単独で演奏されることが多い。筋がそれだけで起承転結で完結する、序奏とコーダがしっかりしている、何よりワーグナーの魅力が詰め込まれており冗長な部分が皆無。そして演奏会形式であれば一晩のプログラムとして、ちょうどいい演奏時間になるというのが大きい。

実際にクナッパーツブッシュは1963年にウィーン芸術週間で演奏会形式で上演し、映像でも残っているのはご存知の通り。その際にはジークフリート牧歌を演奏してからというプログラムでした。

こちらもブルーレイ化される。前年の演奏記録とセットでお得。しかし映像が劣るジークフリート牧歌は含まれない様子で残念。

こちらの演奏も見事。クナッパーツブッシュの指揮姿が見れる映像としても貴重は非常に貴重。しかし音質はモノラルですし、総合的に考えるとやはりスタジオ録音に軍配を上がります。1963年の録音ではテンポが遅くなって、幕切れなどより壮大で押し寄せる音に包み込まれるよう。これがステレオだったらと本当に口惜しい気持ちになります。

映像が何故かクナッパーツブッシュの指揮姿をあまり捉えていないのが残念ですが、歌手の右側から見える彼の左手を見ると、流石歌劇場叩き上げの指揮者で歌手への配慮が非常に細やかなのが伺い知れます。

DeccaのCDに話を戻しますが、録音陣の耳の良さも称えるべきです。今このように録音してみなさいと言っても出来ないでしょう。ダイナミックレンジやSN比は当然今よりも落ちますが、当時の限られた条件の中で必要なもの・音は何かをしっかりと選別しテープに収めています。レコード芸術という言葉を考えるときに立ち戻るべき録音でもあると思います。



おまけ・・・この録音についてはアナログでも持っています。流石に高価な英DECCAのSXL盤(良品ならば100,000円は下らない!)では無く米LONDONのOS盤(カッティング・プレスは英DECCAで行われパッケージだけが違う)です。いわゆる外溝・厚盤・ブルーバック。CDと聞き比べると低音の厚みとフラグスタートの声の質感がやはり違うなとちょっと思います。

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これは厚盤外溝フラット、別名パンケーキカットと言ってLPの周囲が直角に切られています。
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これは内溝盤。カットも普通に絞るようなカットに。外溝の後のプレスです。

日本の初版はSLXというややこしい型番で発売されていました。こちらはカッティング・プレスとも日本製。しかし材質は良品と思われノイズが少なく遜色ない音質です。スーパーアナログシリーズでも発売されオークションで結構な高値取引されていますが、それを買う位ならば日本初版を廉価で見つけたほうがいいです。
でもハイレゾ音源があれば、音質的にはもう十分かと。

しかし久しぶりに痺れました。いい時代でしたね。せめてルネ・コロのような魅力的なワーグナーテノール歌手が出てきてほしいものです。
e-onkyo クナ/VPO ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」第1幕+「神々の黄昏」から抜粋

posted by 悩めるクラヲタ人 at 03:37| Comment(2) | オペラ・声楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする