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2017年05月15日

ドビュッシー 「ベルガマスク組曲」 フランソワ 1968年録音


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昼とうって変わって涼しい夜に、古のフレンチ・ピアニズムに静かに音に身体を委ねたいなと。
ワインは傾けませんが。

ドビュッシー 「ベルガマスク組曲」(全4曲)
ピアノ:サンソン・フランソワ
1968年 スタジオ録音
録音 4.25点  演奏 4.80点



フランソワの変化と粋を堪能したい方には。

ドイツ系で好きなピアニストはバックハウス、フランス系ではフランソワを挙げます。フランソワに魅かれたのは最近です。同時にドビュッシーの良さに気付けました。きっかけは、クラヲタの嗅覚が働いたこのBOXです。5,000円で入手。

フランソワの魅力は、バックハウスとは全く真逆。洗練されていて洒脱で粋。伝統とは無縁で、デカダンスという言葉がぴったりな演奏家で、どこか背徳的な音色。そのため故か、曲との相性もそうですが、個性的で出来不出来が非常に激しい。その危うさすら魅力になるピアニストです。

コルトーの後継者とみなされていましたが、酒とたばこを愛しすぎ若くして急逝。フランス・ピアニズムの色香を引き継いだ最後のピアニストかもしれません。(後継者と言えるのは今のピアニストでは、ルイサダ位でしょうか)


このフランソワの特徴と特質が生きた演奏・曲が、ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」で、フランソワ晩年は特に出来不出来が激しかったですが、ドビュッシーに関しては良い方向に作用しています。3曲目の「月の光」も絶美の名演で、眩い月の光が降り注ぎは儚く消えていくような、光が壊れてしまうのではないかと感じる演奏。

ですが、「月の光」以上に最後の「パスピエ」が華やかに20世紀中盤を駆け抜けていったフランソワにぴったり。闊歩していくような演奏で、他の誰にも真似できない音色とニュアンス。なぜこの曲が名曲と評されるのか、この演奏を聴いて初めてわかりました。

ドビュッシー初期の作品のため、後年の作品に比べ旋律的で聴きやすいのも特徴です。

「月の光」・・・


こちらも彼の得意としたドビュッシーの「喜びの島」の演奏映像。美しい・・・

このブログでフランソワの演奏もっと聞いてみたいなという方には、枚数は少ないですがveniasレーベルが廉価BOXを出していますので、今はこちらのほうがいいかと。ショパン・ラヴェルがメインで、ベルガマスクは含まれていませんが。


注意事項:フランソワのCDは、できればフランスEMIのCDで購入されんことを。vaniusはおそらくそれを音源にしているので大丈夫。国内盤は全くフランソワの美質があまり堪能できない音質。EMIの録音は、フランスEMIの復刻盤が一番音が良い。クリュイタンス/ベルリン・フィルのベートーヴェン交響曲全集、クレンペラー/フィルハーモニアのマーラー交響曲選集でも実証済み。クレンペラーは特に凄い音で復活しています。

最後にフランソワの超名盤クリュイタンス/パリ音楽院管弦楽団とのラヴェルの「左手のための協奏曲」を・・・

これはe-onkyoのハイレゾ音源がお薦めです。フランソワのピアノが弾け、今は聴くことの出来ないパリ音楽院管弦楽団の洒脱な音が堪能できます。



ラベル:フランソワ
posted by 悩めるクラヲタ人 at 23:04| Comment(0) | 器楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ショスタコーヴィチ 交響曲第10番 スクロヴァチェフスキ/ベルリン・ドイツso 2003年ライブ


昨日のパーヴォとN響の演奏も、珍しく快演だったショスタコーヴィチの交響曲第10番。

今年は、愛すべき「ミスターS」こと指揮者 スタニスワフ・スクロヴァチェフスキさんがお亡くなりになりました。日本にも所縁が深い指揮者で昨年の最後の来日でも、読売日響とブルックナー 第8番を演奏、NHKで放送されました。

ご高齢にもかかわらず立ったままの指揮で、しかも矍鑠とした指揮ぶり・音楽を聴かせ、聴衆だけでなく一緒に演奏していた楽団員も涙を浮かべていた素敵な演奏でした。CDでも発売され、e-onkyoサイトでもハイレゾ配信されています。

最後の来日公演 ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 (24bit/96kHz)
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そんな中、私は棚に唯一遺っているショスタコーヴィチを取り上げます。スクロヴァチェフスキと言えばブルックナー指揮者のイメージが強いですが、私としてはショスタコーヴィチ向きの指揮者だったと思います。オーケストラがドイツ・ベルリン交響楽団という優秀なオーケストラとの録音でもあり、彼の創りたかった音楽がわかるような演奏でもあります。何故か有名・巧いオーケストラとの録音が少ない指揮者でもありました。

ショスタコーヴィチ 交響曲第10番ホ短調
指揮;スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ
ベルリン・ドイツ交響楽団
2003年 ライブ録音
録音 4.45点  演奏  4.65点





全楽章に渡って全てにおいて過不足の無い名演です。ムラヴィンスキーやカラヤン、バルシャイと比較してもこの曲のベスト演奏に挙げていい演奏です。だから結構買い漁ったスクロヴァチェフスキのCDでも唯一棚に残っているのです。

演奏の傾向としては、作曲家でもあったスクロヴァチェフスキの楽譜の読み込みが深く、全ての音を聴こえるように演奏していて、ショスタコーヴィチ特有の渾身の迫力が求められる部分でもただの大音量でなく作曲家のもがき・喘ぎを感じさせてくれる。流石にムラヴィンスキーのような阿鼻叫喚の響きではないですが、シンフォニックで耳に適度な刺激を与えてくれる。

スクロヴァチェフスキの演奏の特徴は、作曲家視点で楽譜をしっかりと読み込み、細部にまでこだわった演奏をするところ。これは彼の名前が日本でも知られ始めた1980年代以降、というか終始一貫変わらぬ姿勢・スタンスで良くも悪くも演奏が老成・成熟していくということが無かった指揮者だと思います。変わっていったのは一緒に音楽をするオーケストラの尊敬の眼差しと、スクロヴァチェフスキの1音1音への「慈しみ」が強くなっていったところでしょうか。最後までフレッシュな音楽づくりが持ち味でしたが、これに先ほどの部分が加わることで演奏の質は上がっていきました。

ただ練習は厳しかった指揮者だったそう。だからメジャーなオーケストラからは晩年になっても呼ばれなかったのでは?2011年に小澤の代演でベルリンpoを指揮して好評を博しましたが、その後呼ばれた?ヴァントとの違いは??

恐らくセクション単位へのこだわり、「こういう音が欲しい」というのが強い指揮者だったからでしょう。マスで音楽を創るというよりは、細部細部の本当に細かいニュアンスの積み重ねがスクロヴァチェフスキの魅力であると私は思っています。

一つ間違えればブーレーズ的ですが、彼にはリズムと生きた音楽を創りたいという欲望があります。だからマスの響きが求められるベートーヴェン・ブラームス・ブルックナーといういわゆるドイツ三大Bの録音も多いですが、そういう点が不満で何度も聴こうと手に取らなかった。だから棚を去る・・・一度聴くには愉しいし、感心するのですが。

だからオーケストラがその音楽を理解し、この人のいうことについていこうと思わなければ「リハーサル面倒くさい・・・」とオーケストラから嫌がられる。逆に読響みたいについていきたいというオーケストラからは「俺らにもこんな音が出せるんだ、こんな演奏が出来るんだ」と好かれたのでしょうし、最後の共演での涙の意味もそういう部分が強かったと思いました。当然「これが最後かも・・・」という気持ちもあったでしょうが。


私はスクロヴァチェフスキのブルックナーの演奏は聴いた時には「いい演奏だ。あぁ面白いいい音楽を聴けたなぁ」と思う一方、心に強く長く響きが残るし演奏ではないかなというのが正直な印象。痒いところまで目の行き届いた演奏なのですが、それが良くも悪くも響きがブルックナー的なオルガン質の音として広がらない要因の一つだと分析しています。

シューリヒト的な演奏ですが、身を委ねたい部分で「えっそんなテンポとるの?」とか「その音を強調しますか!」とフレッシュを通り過ぎてブルックナーの音楽よりもスクロヴァチェフスキの存在が出てきてしまうのですよね。それが愛される要因の一つでもあるのですが(笑)

で、ショスタコーヴィチに話を戻すとそれが逆にマッチする。そもそも音の広がりをそれほど求める音楽ではないし、個々の楽器の妙技が求められる、そして何よりスクロヴァチェフスキの先ほどの「えっ!」と思わすところまで求められる曲だから。そしてそれがベルリン・ドイツ交響楽団の深い音が加わり名演になっています。これがザールブリュッケンや読売日響などだと多少不満が残ったでしょう。自分と同時代を生きた作曲家として尊敬の眼差しすら感じる深い楽譜の読み。

感動的な映像・・・
そのこだわりに見事に応えるベルリン・ドイツ交響楽団の各セクションの面々の積み重ねがこの名演に繋がった。ベルリンpoよりも指揮者の求める音に素直に応え、それに底深い低音を加えて返すという点でベルリンpoよりもいいオーケストラなのではないかと、プレートルなどとの演奏も聴いたりすると思う名オーケストラです。(但し、つまらない指揮者が演奏するとそれなりの音楽にしかならない点でベルリンpoと違いますが(笑))

ショスタコーヴィチの第10番はムラヴィンスキーの録音はステレオでも残っていますが録音が甘く、同時期のライブの方が名演だけどモノラル・・・と演奏は優れているが録音に難点が。


バルシャイの演奏が今のところよく聴く演奏ですが、今回スクロヴァチェフスキの演奏を改めて聴いてこちらのほうが少し燃焼度が高く、人間味があるという点で少し上かなと思います。

ベームやヴァントみたいに晩年にブレイクみたいな現象も起きなかったのが、なんか常に愛すべき巨匠スクロヴァチェフスキの身近な存在感が好きでした。

ラベル:優秀録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 05:27| Comment(4) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする