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2017年07月30日

アダン バレエ音楽「ジゼル」 カラヤン/ウィーンpoとマルティノン/パリ音楽院管弦楽団の演奏で


バレエ音楽は最近録音される機会が少ないように感じます。チャイコフスキーやストラヴィンスキー以外だと、探してもアンセルメやボニングの指揮したものしか出てきません。例えばドリーブの「コッペリア」「シルヴィア」などLP時代には人気がありましたが、今では演奏される機会も少ない。コンサートではという話になりますが。

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題名のアダンの「ジゼル」もその一つ。作曲年代は1800年前半なのでバレエ音楽としたチャイコフスキーよりも一昔古い作品ですが、非常に洗練されたいい作品です。オーケストレーションもいいですし、コンサートプログラムに上げられてもいいのに。この曲を知ったのはLPのマルティノンの演奏でした。それが素晴らしかったのがこの曲を好きになった理由です。強い個性を放つ1曲というものはないですが、チャイコフスキーの作品をギュッと凝縮したような佳曲が詰まった作品。しかしマルティノンの演奏を超えるものがない・・・

アダン バレエ音楽「ジゼル」
指揮;ヘルベルト・フォン・カラヤン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1961年 ゾフィエンザールでの録音
録音  4.25点  演奏 4.00点



今回はこの曲と言えばまず挙げられるDECCAのカラヤン盤。DECCAは1958年にマルティノンで録音したにもかかわらず3年後にカラヤンで再びカタログに載せました。当時の録音事情を考えればそれほどポピュラーな曲でもないのに不思議な現象ですが、この豪華な布陣で録音したのはカラヤンの強い希望ではないかと推測します。マルティノン盤の評価も悪くなかったと思うので。


カラヤン盤はオリジナル版となっており、マルティノンのビュッセル版と楽譜が違います。オリジナル版はいかにもグランド・バレエという感じがします。原典版がもてはやされる昨今ですが、私は刷り込みもあるのでしょうがビュッセル版の方が無駄がなくコンサートやレコード鑑賞向き。

カラヤンとウィーンpoの演奏は、まだ颯爽としていたカラヤンのスタイリッシュな解釈と当時のウィーンpoの美質がミックスされた演奏ですが、私には版の問題も含め物足りなく感じます。録音は優秀ですが、この曲の愉しさがあまり感じられない。もっとフランスの香りがプンプンと漂って欲しいのですが、グランドマナーな演奏で恰幅が良すぎる。よくも悪くもドイツ的な演奏。バレエ上演するならばこういう演奏でもいいのかもしれませんが、繰り返し聴くレコード芸術としては物足りない。


全曲だと1時間半くらいかかります。たまには映像付のバレエも悪くない。

アダン バレエ音楽「ジゼル」(ビュッセル短縮版)
指揮:ジャン・マルティノン
パリ音楽院管弦楽団
1958年 パリでの録音
録音  4.35点  演奏 4.60点



一方マルティノン盤はカラヤン盤の3年前にもかかわらず録音がもっと優秀。演奏も響きがふくよかでありながらシャープ。そしてオーケストラがパリ音楽院管弦楽団というのがミソ。アンサンブルなど少し雑な部分もありますが、それ以上にカラヤン盤に足りなかったシャネルの香りのようなものがLPの音から漂ってきます。



この演奏に限っては私はCDではなく初期LP盤でしか聴きません。残念ながら英DECCAのSXL盤ではなくアメリカ仕様の米LONDONのCS盤(ワイドバンド)です。アメリカ盤ですが、当時は英DECCAがプレスして輸出していたので実質SXL盤と同じ(これについては論争があるみたいですが)。CDだとリマスターがあまり良くなく(と言っても初期盤と比較しての話です)、弦楽器の艶が薄れている。

パリ音楽院管弦楽団はEMIにクリュイタンスとともに多くの録音を残しましたが、録音がほわんとしているもどかしさがあります。マルティノンとDECCAに残した録音は少ないですが、パリ音楽院管弦楽団がパリ管弦楽団となる際に失われたローカルな魅力がしっかりと記録されています。コンサートではこんなに各パートが明瞭に聴こえないでしょうが、これこそレコード芸術と呼べる逸品。

カラヤン/ウィーンpoというビッグネームをもってしても、このマルティノン盤の演奏には遠く及ばない。残念ながらマルティノン盤はCDでも入手難な状態。おかしい・・・どちらも古き良き時代のオーケストラの香りとレコード芸術に賭ける矜持が感じられる録音ですが、よりローカルな味わいのマルティノン盤に軍配が上がります。

マイケル・ティルソン・トーマスもロンドン交響楽団と録音していますが、録音も含めてこの2盤に劣ります。

トーマスの演奏。録音がちょっと不満。

こんなに愉しく聴ける曲なのにあまり知られていないのは残念です。このダウンロード時代に1曲1曲の個性が強くないというのも原因かもしれません。しかし小1時間愉しく聴き通せるこの曲の魅力はもっと多くの方に知って頂きたいです。

ラベル:優秀録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 管弦楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月29日

イベール 交響組曲「寄港地」 パレー/デトロイト交響楽団 1962年録音


マーキュリーの録音は、DECCAよりリアルな録音で現在の耳にも新鮮に響きます。多くの録音を残したマーキュリー・レーベルですが、その中で一番よく耳にするのはフランスの名匠 ポール・パレーの録音群です。フランクの交響曲やこのフレンチアルバムは特に好きです。

イベール 交響組曲「寄港地」
指揮:ポール・パレー
デトロイト交響楽団
1962年 ステレオ録音
録音 4.40点  演奏 4.55点


タワーレコードさんは、パレーのフランス楽曲を集めたCDを発売。シャブリエが多いですが。パレー復権にも力を入れてますねぇ。
ポール・パレーの芸術 Vol.5 -19世紀フランス名曲集: ショーソン, ラロ, サン=サーンス, シャブリエ<タワーレコード限定>


工業地帯のオーケストラからよくこんな薫り高い響きを引き出したなと吃驚すること間違いなしです。デトロイト交響楽団は、パレーと一時代を築いた後、ドラティが常任指揮者になるまで低迷してしまいました。ドラティ時代はいいCDをこれまた優秀録音で残しました。その後また低迷。

今は音楽監督がレナード・スラトキン。ラフマニノフの交響曲第3番を聴きましたが、かなり復活しています。録音も素晴らしい。ナクソスから発売なので財布にも優しい1000円少しでハイレゾ音源が聴けますからお得です。前に放送されたパーヴォとN響の演奏よりも数段素晴らしい。

e-onnkyoで入手できます。SACDでは発売はされていないみたい。naxos意外と未だに元気。
スラトキン ラフマニノフ ハイレゾ

ヘルヴィヒ、ネーメ・ヤルヴィと渋い指揮者を経て、今のスラトキンに落ち着いたみたいです。スラトキンと言えばセントルイス交響楽団をアメリカメジャーにした立役者です。(実際にはビッグ5が凋落して一時的に目立っただけですが・・・)しかし、デトロイト交響楽団は、渋い指揮者というか人気者を呼ばず、しっかりとしたオーケストラビルダーを指揮者に据えるいい人選をしているように思います。

話は「寄港地」に戻ります。こちらはミュンシュの演奏。




曲は前回紹介したディベルティスマンのように、短く洒落っ気の効いた小品の佳曲です。このCD以外は別に買う気はありません。曲に深みが無いのもありますが、この演奏を聴けばもう十分満足できるからです。録音も含めて。第1曲「ローマーパレルモ」での甘い弦楽器の合奏、第2曲ではオーボエが終始エキゾチックな雰囲気を巧みに醸し出し、一転第3曲の「バレンシア」では明るい管楽器の瞬きと聴いていて楽しくなります。パレーとデトロイト交響楽団が楽しそうに(実際は厳しかったでしょうが)演奏しています。

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息抜きの時には丁度いい曲です。イベールの曲は下手に残響がかかった豊かな録音よりも、デットで楽譜が見えるような録音の方が向いているような気がします。

パレーという指揮者はこのような色彩豊かな音を紡ぎ出すのが得意ですが、鳴らすべきところは剛毅に鳴らすフランスとドイツのいいとこ取りをしたような名指揮者です。フランクの交響曲では、その剛毅な部分が良く出ています。また取り上げたいと思います。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 21:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 管弦楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月28日

マーラー 交響曲「大地の歌」 バーンスタイン/ウィーン・フィル他 1966年録音


DECCAの名録音とバーンスタインの若い頃の勢いが相乗効果となっている名盤。キングのストレートに伸びる歌唱と巧すぎるディースカウの歌唱が耳に残り、今でも愛聴するマーラーの大地の歌。個人的には名盤の誉れ高いワルター/ウィーン盤(スタジオ録音とライブ録音とも素晴らしい)同等に好きです。M・T・トーマスやインバルはちょっと淡白で、後はベルティーニかな、聴くのは。

マーラー 交響曲「大地の歌」
テノール:ジェームズ・キング
バリトン:D・F・ディースカウ
指揮:レナード・バーンスタイン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1966年 ウィーンでのスタジオ録音
録音 4.45点  演奏 4.55点




テノールとアルトで歌うのが普通ですが、この盤ではアルトのパートをバリトンが歌っています。マーラーもそれでもいいと指定してます。バーンスタイン、キング、ディースカウ。3人とも若いですね。バーンスタインは当時ニューヨーク・フィルとマーラー全集を録音中でしたが、大地の歌だけはDECCAでウィーン・フィルと録音しました。(SONYには後にイスラエル・フィルと録音)

再録音はあまり評判が良くないですね。私も聴かない派。

今、CDで聴かずスピーカーからは英DECCAの初期アナログレコードの音が流れています。久しぶりですね、アナログで聴くのは。当時の名録音の一つです。第一楽章最後の「ダンッ!」というところは非常にリアルにマイクが捉えていて、生々しい。バーンスタインは、まだウィーンと蜜月な関係になる前ですが、少し強引気味にドライブしています。トランペットがジャージーになるところはご愛嬌。勢いだけになるかと思いきや、ウィーン・フィルも艶(あで)で対抗しているのが面白いところ。チェロなど低音楽器もしっかりと美しく収録されているし、所々ウィーン訛りもしっかり刻印されています。
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かっこいいですね。このジャケットの裏表紙。レニーが若々しい。


ルネ・コロとの第1楽章。懐かしい。





キングのテノールは非常に伸びやかで好感が持てる声。評価が分かれるのは、ディースカウの方でしょうか。ただでさえアルト版に慣れた耳には違和感がありますし、また巧すぎる(笑)でもアルト版より歌詞が明確に聞こえます。第4楽章中間部の早いパッセージのところは、唖然とするほど早口ですが明確。それで表情もつけて歌っているのは凄い。

今でも名演で名唱とされているワルター/ウィーン・フィルでのフェリアーの正規録音より私は好きです。しかしさすがのディースカウも第6楽章は、ウィーン・フィルの美感に押され気味。LPなので、この楽章だと流石にバチバチノイズが目立つ。でも極楽浄土の響き・・・・

バーンスタインは後に再録音をしますが、この盤は超えられなかったですね。再録音ではアルト版に宗旨替えしてます。バリトン盤にしたのは契約の加減もあったのでしょうか?でもディースカウは、当時EMIからグラモフォン専属ではなかったのでは?謎です。

弟子であるM・T・トーマスはバリトン版(ハンプソン)で録音してますね。理由は別のところにあるような気もしますが(笑)SACDで優れた録音と演奏ですが、ちょっとさらっとし過ぎかなと。告別もやはりアルトの方がいいと思ってしまう。


定番はワルターのDECCA盤。当時の録音としては最上。ただ、フェリアーの少しこもり気味の声がちょっと私は苦手。それはCDのリマスタリングのせいでもあるみたいですが。


このyoutubeの演奏は、戦前の録音の方ですね。パツァークの声ではないですね。
posted by 悩めるクラヲタ人 at 23:09| Comment(0) | マーラーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする