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2017年08月30日

ラフマニノフ 「パガニーニの主題による狂詩曲」 ユジャ・ワン、マツーエフ、アシュケナージ他


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ラフマニノフの「パガニーニの主題による変奏曲」。


これはアシュケナージとプレヴィンとの演奏。楽譜がついいてていい動画ですね。DECCA録音。アシュケナージはDECCAだけでラフマニノフの協奏曲を3回も録音しているのも驚きの事実です。

ということで、家にあるCDを少しまとめてみましょうと。絶対的エースは以前にも紹介したアシュケナージとハイティンクのコンビによる録音です。

ラフマニノフ 「パガニーニ主題による変奏曲」
        + ピアノ協奏曲第3番ニ短調
ピアノ:ウラディーミル・アシュケナージ
指揮:ベルナルド・ハイティンク
フィルハーモニア管弦楽団
1986年録音
録音 4.50点  演奏  4.65点



演奏の特徴としてはこのお二人の特徴の端正で真面目な演奏なのですが、永遠のスタンダードというべき演奏。アシュケナージは好きなピアニストではありませんが、ことこの曲に関しては彼の特徴である美音が本当に生きている。冷静に演奏家の好き嫌いは忘れて虚心坦懐になって聴いていると、いつもの二人には感じられない熱気がスタジオ録音にもかかわらずこもっています。録音されてからはや30年も経っていますが、録音も素晴らしいバランスで申し分ない。

パガニーニ・ラプソディに関していえば、何度耳にしても飽きない。ガツンとは来ない演奏ですが、録音含めてやっぱり帰るべきCDはここなんだなということで戻ってきてしまうのです。何度も売っては買い戻す羽目になる不思議な演奏でCDです。カップリングの協奏曲第3番も録音含めて美しい。作品についての詳細も過去記事からどうぞ↓
・ラフマニノフ 「パガニーニの主題による狂詩曲」 アシュケナージ&ハイティンク/フィルハーモニアo

少しそれでは物足りない、ロシア的などろどろっとした感じが欲しい、ドンガシャンと演奏効果を派手に聴きたいという時にはハイブリッドSACDで音も良いマツーエフ/とゲルギエフのCDを手に取ります。
ラフマニノフ 「パガニーニ主題による変奏曲」
        + ピアノ協奏曲第3番ニ短調
ピアノ:デニス・マツーエフ
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ
マリインスキー劇場管弦楽団
2009年録音
録音 4.65点  演奏  4.60点



録音が通常CD層でも十分などよく、マツーエフの指が良く回っているのがわかります。ゲルギエフの伴奏はそこまで土俗的ではありませんが、しっかり鳴らすところは鳴らしSACDのメリットが活きるように低音から高音までレンジが広い。
不満があるとすればこのお二方にしては少し冷静だなーというところでしょうか。あとアシュケナージの演奏にある繊細さ(特に有名な18変奏の部分)に欠ける。ただ迫力に関してはこちらが圧倒的に上。第3番も同じような傾向です。

映像で見て「この人が録音したら真っ先に買おう!」と待望していたCDがユジャ・ワン。デュトワとNHK交響楽団の伴奏で演奏した際の印象は、アシュケナージの演奏よりも良かった。デュトワも慣れたもので、見事な伴奏であの演奏が後々CD化されないものかと願っています。彼女はアバドとコンビを組んで録音しました。
ラフマニノフ 「パガニーニ主題による変奏曲」
        + ピアノ協奏曲第2番ニ短調
ピアノ:ユジャ・ワン
指揮:クラウディオ・アバド
マーラー室内管弦楽団
2010年 ライブ録音
録音 4.40点  演奏  4.50点



ちょっと期待が高かったせいか、彼女にしては少しもの足りない演奏に聴こえます。ただ彼女特有の妖しいピアニッシモなどは所々で聴くことができますし、技巧も安定しています。ただライブ録音にもかかわらず、N響定期の時の鍵盤に指が吸い付くような攻めが少し薄い。アバドに合わせたのでしょうか。

アバドの伴奏も決して煽らないけれども、血の通った演奏です。多分このCDの最大の弱点は録音。少しマイクとの距離が感じられ、全体的に少し靄がかかった印象が残る。余韻よりも直接音で勝負するユジャ・ワンにとっては痛い。とはいえN響定期の時の18変奏のピアノは、空調で揺れる髪すらも絵になる演奏姿と共に絶美の音でした。ちなみにカップリングの協奏曲第2番に関しても同じ印象。

はぁぁぁ〜

期待外れの一枚はラン・ランとゲルギエフの演奏。外面的で効果を狙ってもこの曲ならば大丈夫そうですが、駄目でしたね。
ラフマニノフ 「パガニーニ主題による変奏曲」
        + ピアノ協奏曲第2番ニ短調
ピアノ:ラン・ラン
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ
マリインスキー劇場管弦楽団
2010年 ライブ録音
録音 4.30点  演奏  3.50点



あまり書きたくないので・・・過去記事をどうぞ↓
・ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番 ラン・ラン&ゲルギエフ

どのCDがいいかなーとお悩みの方、ご参考に読んでいただければ幸いです。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 18:47| Comment(0) | 協奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月29日

ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 クナッパーツブッシュ/バイロイト祝祭o 1960年


ワーグナーの歌劇・楽劇のLP・CDは、昔から購入リスクが高い(演奏時間が長いため枚数が多く、録音がダメだったり駄演だと痛い)ためあまり購入していませんでした。実際に今も棚に多くはありません。とはいえカイルベルトのバイロイトの「指環」、クナッパーツブッシュの1956-58年のバイロイトの「指環」と朝比奈の「指環」がありそれだけでもかなりのボリューム(ショルティは無し)。しかし購入したのは廉価になったここ数年のことです。

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そんな中でこのクナッパーツブッシュの1960年バイロイト音楽祭の「マイスタージンガー」は、ずっと前から手元にありました。そもそもワーグナーを聴き始めが大体「タンホイザー」序曲か「マイスタージンガー」前奏曲と相場が決まっていますからね。でもその中で何故単体では一番長い「マイスタージンガー」でしかも1960年のクナのライブかと言いますと・・・

ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲
ヨゼフ・グラインドル(ザックス)
ヴォルフガング・ヴィントガッセン(ワルター)
カール・シュミット=ワルター(ベックメッサー)
テオ・アダム(ポーグナー)
ゲルハルト・シュトルツェ(ダヴィッド)
エリーザベト・グリュンマー(エヴァ)
指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
1960年 バイロイト音楽祭ライブ
録音 3.70点  演奏  4.70点



しかし、凄い豪華な布陣。25年前に高価だし危険性もあるにも関わらずなけなしの金でこの演奏をLPで手に入れようと、輸入盤屋(LP)に注文しましたが3か月待っても入荷しなかった。ネットも無いし海外で廃盤なのかもわからずうやむやにされてしまいました。

約15年前にレコード芸術の店舗広告で見つけて伊メロドラムのCDで手に入れ、その後ゴールデン・メロドラム盤に買い替えて最近まで聴いていました。メロドラム両盤は1960年という録音年としては少しこもり気味の音ですが、低音が豊かなので演奏の重厚感と歌手の豪華な饗宴に文句も言えずまず満足していました。

何故に聴く前にこの演奏に魅かれていたのかというと、「マイスタージンガー」前奏曲のポケットスコア(全音)を買ったのですが、その解説(高木卓氏)の中に「実演に接した1960年のバイロイト音楽祭でのクナッパーツブッシュの舞台は実に見事なものだった」という一文があったから。

今でも変わっていないみたいですね。通常、ポケットスコアの解説には淡々と楽曲説明をするだけなのに、この一文をぶっこんでくるとはよほど凄い演奏だったのだろうと思ったわけです。

その時にはまだ前奏曲しか知らなかった。でも聴いてみたかった。その頃NHKでスウィトナーとベルリン国立歌劇場来日公演「マイスタージンガー」全曲が放送され見たのですが長い、4時間超える。間延びする部分もある訳ですが、ワーグナーの中では時間を除けばストーリーも音楽も聴き易いとも思いました。1幕の最後のドタバタと第3幕が印象に残り、やはりクナの演奏を聴いてみたいと思ったものです。


あるんだ・・・調子が良かったスウィトナー。

で、演奏ですが期待に違わぬ素晴らしい演奏。クナッパーツブッシュは前奏曲から調子がいい。通常遅いテンポで演奏するのがクナ流ですが、何故かマイスタージンガーに関してだけはいつも中間テンポを採用。前奏曲も早めのテンポで前進性があり気迫漲る。このまま4時間持つのか?と思う程ですが、持つんですよね。

第3幕の前奏曲での一転悲劇的な響き、楽劇全体も祝祭的でありながらワーグナーの重みもしっかりと感じさせる演奏。歌手もヴィントガッセン、グラインドルの全盛期ですから文句なし。当然ライブならではの傷はありますが、全体としてみればそんな些末なことは気にならない。


ヴィントガッセンと言えばジークフリート。

グラインドルとヴィントガッセンの映像。バイロイトの映像ですが、指揮は忘れ去られた指揮者トマス・シッパース。

録音に関してはメロドラム盤も低音が豊かでそこまで悪くなかったです。今回買い直すのは正直ORFEOなので躊躇していましたが、クナの音源に関しては信頼できるHPで「買い直す価値ありの音質」ということでしたので。

ORFEO盤はメロドラム盤に比べ全体的に明瞭で、声に関しては非常に伸びやかになっています。聴衆ノイズ・舞台上のノイズもそのままなので臨場感があります。これは良リマスタリングです。アイヒンガー&クラウスは引退したのか、やっと評判が悪いとの声が届いたのかこのCDの担当ではなく、スティッケルという方が担当しています。耳が良い人らしい。(前に酷評した新発見のローエングリンも同じ担当者なので、やはりあれはマスターの問題か)

声が明瞭になった分、オーケストラが少し引っ込んだような印象に感じになってしまいましたが、恐らくバイロイト祝祭劇場のバランスはこのようなものと推察されます。今まで霞がかかっていたような音から靄がとれ、クナが如何に上手く歌手とのバランスをとり楽譜の細部にまで気を遣って演奏していたかがわかるようにもなりました。1960年の録音、モノラル最終期の録音としては最上の部類に入ると思います。


カラヤンの第3幕への前奏曲。悪くないですが・・・

「マイスタージンガー」の著名な録音ではヨッフム盤やカラヤン盤がありますが、上記の思いれが強すぎて聴く気も起らない。聴こうと思ったのはティーレマン/ウィーン国立歌劇場のライブDVDのみ。

評判がよく、腰の据わった響きはいいのですが、序曲からちょっとティーレマンの悪い癖(特にダッ・ダダダーという旋律に対する意味不明なピアノからのクレッシェンド)が出ているような気がします。全体的に弛緩した部分と勇み足も見える。何より歌手が全盛期のバイロイト常連に比べてしまうと見劣りが・・・こればかりはどうしようもない。


ホルスト・シュタインのバイロイト音楽祭でのマイスタージンガー終曲部。

作品に合わせ長い記事ですが、それだけ積年の想いが詰まっている演奏記録です。こんな演奏が繰り広げられていたバイロイト音楽祭が本当にうらやましく思います。この音質で1958年のクナの「指環」が出てくれれば・・・・と欲が出てしまう逸品です。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 07:56| Comment(1) | TrackBack(0) | オペラ・声楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月28日

ヤナーチェク 「シンフォニエッタ」 マッケラス/ウィーンpo 1981年録音


1980年代には結構人気があり、録音も多数行われていたヤナーチェクの「シンフォニエッタ」。当時はアバド盤の評価が高かったと記憶してます。コンサートでも2000年位まではよく取り上げられていました。

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マッケラスがいなければ、ヤナーチェクのオペラはかなり埋もれてしまっていたのではないでしょうか?

じっくり聴き込むまで何故そんなに名曲と言われるのかよくわかりませんでした。コンサートでは演奏効果が高いのだろうなと思うくらい。実際、2000年代になってから少し人気が陰っていたようにも。しかし最近、ベストセラーになった小説「IQ84」の中で取り上げられ、再び脚光を浴びることに。そのおかげでかなりCDは売れたようで。それを読んだ訳ではないのですが、歌劇「死者の家から」を聴いて聴かず嫌いを直そうと(笑)

ヤナーチェク 「シンフォニエッタ」
指揮:サー・チャールズ・マッケラス
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1981年 録音
録音 4.50点  演奏 4.70点


主要オペラを含んだヤナーチェクBOX。単品では廃盤みたいで。

昔はシンフォニエッタの名盤というと下記アバド盤。

私にはあまりですが・・・単品ならセルの演奏かこれで。

「シンフォニエッタ」という題名は小交響曲というようなニュアンスですが、実際のこの曲は交響曲っぽくなく管弦楽曲です。セル/クリーブランド管弦楽団のCDではバルトークの「管弦楽のための協奏曲」とカップリングですが、確かに似たような趣を感じます。内容は全く違いますが。両曲ともオーケストラの技量が問われる曲ですが、ヤナーチェクの方が作りが精巧でエッセンスが凝縮されていると思います。なにより壮大なバンダが特徴の曲です。

第1曲のブラスとティンパニによるファンファーレが華麗。「ダダダーダーダダ!」というティンパニのリズムも印象的。第1曲から金管楽器の技量と指揮者の手腕がかなり問われます。力づくで鳴らすとうるさいだけ。昔この曲がもてはやされたのはその華麗なオーケストレーションでよく鳴るからでしょうが、旋律や構成などは決して耳に優しい音楽ではないので玄人受けするが一般的なポピュラリティを得られなかったのでしょう。

恐らく「IQ84」でこの曲に興味を持った方は多いでしょうが、クラシックに慣れていない人には第1曲以外は「??」だったことでしょう。

ヤナーチェクの音楽は他の作曲家と似ておらず、その凝縮された音楽は慣れると非常に面白い。耳馴染みのいい旋律は特にないのですが、その音響の作り方やオペラの情景・心情描写は見事で「死者の家から」は難解で暗いオペラですが一気に引き込まれる音楽です。

この「シンフォニエッタ」は第2〜4曲はオーケストラの様々な音色を引き出しながら、様々なエピソードを織り込み決して飽きさせない音楽です。うっとり聴かせるかと思いきや舞曲的に変化したり、ファンファーレで打ち消されたりと変転するのですが、不思議とバルトークのような諧謔性や唐突感がない。マッケラスの演奏で聴くとの話ですが。


クーベリックもこの曲得意にしていました。

この曲は確かにオーケストラの機能性を打ち出せる曲ではあるのですが、それを誇示するように演奏するとこの曲の良さは一気に失われると思います。何度もマッケラス盤を耳にして気づいたことは、この曲に必要なのはオーケストラの音色感だと気づきました。ウィーンpoの革張りのティンパニの音や土臭い木管楽器などの響きがあってこそこの曲は活きる。

金管楽器やピッコロもそうでなければただ耳につくだけ。そういった音色感がこの曲に艶や寂寥感をもたらす。個々の奏者の技量がいかに優れていてもその香りのようなものが無ければいい演奏にはならないし、終曲の第5曲も混濁して賑やかな曲だなというだけで終わってしまう。



マッケラス盤はその点で盤石。マッケラスのヤナーチェク理解が深いこともあり、力づくで鳴らしていない。微妙な楽器の重なり合いを見事に表出し、この曲の真の面白さを教えてくれる。そこにウィーン・フィルの音色が加わる。第3曲の弦楽器の入りの優しい響きは特に印象的。

そしてまた録音が見事。コンサートでは聴けないようなバランスですべての音をマイクに拾い切る録音ですが、当時のDECCAの録音哲学が息づいています。プロデューサー・エンジニアがスコアを知り尽くし、指揮者と打ち合わせをして結実した成果物なのだと思います。

このような作品の真価を炙り出す演奏はそうは無いかと思います。今のアンサンブルの精度基準からみれば第3曲の後半にあぶなかっしい部分もありますがそれすらも味になってしまうような名曲の名演・名録音だと思います。が、他のこの曲の演奏を聴けなくもなってしまいましたが。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 14:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 管弦楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする