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2017年08月01日

マーラー 交響曲 第7番「夜の歌」 クレンペラー/ニューフィルーモニアo 1967年録音


クラシックを聴く楽しみの一つに迷盤に出くわすというものがあります。所謂アンサンブル糞喰らえみたいな爆演とか、指揮者とピアニストが全くそりが合わない協奏曲等。
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クレンペラーのマーラーの演奏は、通常の彼の演奏通り基本的に遅いテンポですが、この「夜の歌」は常軌を逸した遅さです。昔から迷盤・珍盤・奇盤、いや超名盤だと賛否両論ある演奏です。長きに渡って廃盤でしたが、最近は話題作と広まったためか安定して入手可能な状態です。

マーラー 交響曲第7番「夜の歌」
指揮:オットー・クレンペラー
ニューフィルーモニア管弦楽団
1967年 スタジオ録音
録音 4.30点  演奏 −


国内盤もありますが、輸入盤だと同じ値段でクレンペラーの正規マーラー録音全てが入手出来ます。音質も変わらないか上。私は評判のいい仏EMIのBOXで所有。



第1楽章冒頭ホルンの旋律から尋常ではない遅さですが、まぁいつものクレンペラーだなという感じです。ただ各楽器があまり歌わないため楽譜を顕微鏡で覗いたかのような演奏で、細部が良く見える見える。特にクレンペラーは木管楽器を重要視していますから、通常弦楽器や金管楽器にマスクされてしまう音も明瞭に聴こえます。そして古典配置(第1ヴァイオリン左、第2ヴァイオリン右と分かれている)による演奏なので、第2ヴァイオリンもはっきりとハーモニクスがわかる。

全楽章通じて一番普通のテンポなのは第3楽章スケルツォでしょうか。トーマス盤で10:03に対しクレンペラーは10:27。ちなみに第1楽章はトーマス盤 20:43に対し、クレンペラー27:43。第3楽章と第4楽章【夜の歌U】は全楽章通じても優れた出来です。第3楽章は分離の良さが生き各楽器の滑稽さ・諧謔さが浮き出てきますし、第4楽章がマンドリンが活躍し夜の歌っぽく雰囲気を醸し出しています。別にタイトルに縛られた演奏ではないのですが。


第3楽章。緻密ですね。少し緩慢なところもありますが。

さて愛川欽也さんに敬意を表して「おまっとさんでした」と言うべき問題の第5楽章。ティンパニのソロから始まるのですが、通常「ダンダラ ドンドン・ダンダラ ドンドン・ダダダダドドドド・ダダダダドドドド〜」と軽快に叩かれるところ・・・LP時代の昔は「回転数の設定を間違えたかとプレーヤーを確かめに行った」と言われるように滑稽を通り越した超スローテンポ。

その為、先のティンパニが「ダ ダ ダ ドン ダン・ダン ダ ダ ドン ダン・ダ ラ ラ ラ ド ロ ロ ロ・ダ ラ ラ ラ ド ロ ロ ロ〜」と一打毎にはっきりと聴こえます。その後のホルンもスピードを上げるどころか同じように咆哮します。アマチュアオケがミスなく演奏するためのリハーサルかと思うような始まり。嘘でしょと思う方聴いてみてください(笑)

まずは普通の演奏。バーンスタインで。

ではクレンペラーです。

むふふふふふ。

通常スピードを上げて行く指揮者が多いのでトーマス盤で18:06なのが24:15。冗談みたいな演奏ですが本人たちは大真面目に生真面目に演奏していますので笑いが止まりません。これでは全く楽器が歌えません。

最近の指揮者でマキシミリアン・コブラがいますが、彼もチェリビダッケ真っ青の遅いテンポでCDを出していますが彼の演奏が音楽が破綻しているのに対し、クレンペラーは流石というかニューフィルハーモニア(フィルハーモニア管弦楽団がEMIの後ろ盾を無くした後の名将)の巨匠への愛情が凄いのか音楽が成り立っているのが不思議。音楽が全く進まないというか音符が一つ一つが分解されてスピーカーから流れてくる感じです。

コブラのベートーヴェン 第9の演奏。なんじゃこりゃ?プレティッシモの通常聴こえないヴァイオリンのハーモニクスが聴こえるのは面白い。約2時間もかけてます。よくオーケストラは納得したな。無表情で弾いてますが。

このクレンペラーの演奏は聴いた後に、マーラーを果たして聴いたのだろうか?と思いますが、面白い事この上ない。音楽を聴いたなぁという満足感は浸れる。クレンペラーの音楽なのかもしれない。これだからクラシック音楽は面白いと言えます。その好例の1枚です。いつか怒り新党ではないですが、新3大世界が誇るべきクラシック迷盤の記事を作りたい。その際にはまず間違いなく取り上げることでしょう。


この演奏かなり有名でしたが、あまりにクラシックマニア向け過ぎ廃盤時代が長かったですが、最近は国内メーカーも継続して販売中。しかし音は輸入盤の方がよいでしょう。この仏EMI盤はかなり明瞭で50年以上前の録音とは思えない。悪名高きEMI録音の靄を振り払ったかのようなリマスタリング。好き嫌いあるでしょうが、私は好き。レビューも概ね高評価。演奏については私は「面白い」けど、この曲の名演かというとそうは思えず、トーマスかバーンスタインの新盤を薦めます。


安いバーンスタインの旧全集、初心者はまずバーンスタインの旧盤やベルティーニを薦めます。

トーマス盤についてはこちらの過去記事↓
マーラー 交響曲第7番 M・T・トーマス/サンフランシスコSO

posted by 悩めるクラヲタ人 at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | マーラーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ショルティのR・シュトラウスとシェーンベルク バイエルン放送soとシカゴso 1974&79年録音


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タイトルを見て食指も動かないし、「ショルティがR・シュトラウスを得意にしていたのは周知の事実では?」を思われる方も多いと思います。シカゴ響との録音は「ツァラトゥストラはかく語りき」などでレコードアカデミー大賞などもとっていますので。

以前にショルティの「ツァラ」に関しては、私は晩年のベルリンpoとの録音の方が好きで過去にも記事を書いています。過去記事↓
・R・シュトラウス 「ツァラトゥストラはかく語りき」 ショルティ/ベルリンpo 1996年ライブ

今回のR・シュトラウスは「アルプス交響曲」でバイエルン放送交響楽団との録音。珍しい組み合わせです。他に録音したのはハイドンの「天地創造」位のようです。ある程度良好な関係にはあったのでしょうが、録音は本妻 シカゴ響との関係もあり少ないようですが、こちらのコンビとの相性の方が良かったのでは?と思う名演と言うか名録音。実はカップリングの本妻とのシェーンベルクの「管弦楽のための変奏曲」が目当てだったのですが・・・これは隠れ名盤です。

R・シュトラウス 「アルプス交響曲」
シェーンベルク 「管弦楽のための変奏曲」
指揮:サー・ゲオルク・ショルティ
バイエルン放送交響楽団(R・シュトラウス)
シカゴ交響楽団(シェーンベルク)
1974年、1979年録音
録音 4.55点  演奏  4.55点


オリジナルマスターからの24bit/96kHzハイビット・ハイサンプリングでリマスターした音源をルビジウムカッティングという手の凝った廉価CD。HMV見ると6月に復活するみたいですが。
ショルティ アルプス交響曲+管弦楽のための変奏曲<限定盤>


両曲ともしっかりとスタジオで練られて録音されたもの。まずR・シュトラウスですが、録音が素晴らしいのとバイエルン放送交響楽団全盛期の音が素晴らしいです。ショルティの指揮はその次に優れています(笑)全体的に早めのテンポで駆け抜けるアルプス交響曲の演奏でカラヤンやティーレマンのような重厚さを求める方には少し物足りないかもしれません。如何にもショルティらしく「カラヤンとかが標高6000m位に対し標高4,000m級の山ですかね?」という感じ。
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こんなイメージ。運悪く下りに雨降りましたがみたいな。

ですが、バイエルン放送交響楽団がそのテンポの中で巧く躍っています。いつも力づくのショルティの指揮をいなす余裕のある感じで、録音場所のヘラクレスザールの影響もあるのでしょうが、ヴァイオリンの高音が良く伸び、トランペットも余裕を感じさせるいつものショルティ節と違う。今はもう失われたオーケストラ固有の音色でこの華美絢爛な音楽にコクを与えてくれています。ショルティも早めと中庸のテンポでうまくそれを引き出したと思います。

今の指揮者ならビシュコフの演奏も合いそうですね。

最初の登山口の弱音部から意外にもコクがあり、スルリスルリ・ひょいひょいと登山を進めていくので山頂部では「登った〜」というよりも「ふぅ、いい景色・眺め。天気が良くてよかった」という爽快感があります。帰りの「嵐」でもこれ見よがしな力技では無く各楽器のバランス調整で明快に描き切っています。分離が良い名録音がこれを後押しします。アナログ録音の極め技というか、DECCA録音のポリシーの頂点が感じられる名録音。最後の終結と「夜」でも明快・明晰でありながら、通常のショルティには感じない寂寥感が漂う音に


アンセルメ録音よりもDECCAマジックが光っているような(笑)ではなく、これは間違いなくひとえにベルリンpoと肩を並べる存在だったバイエルン放送交響楽団の技量によるところが多いでしょう。当時は懐かしいこちらも全盛期のコリン・ディヴィス時代でした。

さて本命のシェーンベルクの管弦楽のための変奏曲。こちらはこの作品を良い録音で聴きたいという気持ちでこのCDに手を伸ばしたのですが、録音は1974年。同時期に有名なカラヤンのウィーン楽派シリーズでも録音されています。陰に隠れたというか、当初はマーラー交響曲第9番とのカップリングだったみたいで埋め草的に録音されたみたいな扱い。

カラヤンとベルリンpoのウィーン楽派録音集に含まれる演奏は録音が少しオフマイクで焦点が甘い。「浄夜」ではいいかも知れませんが、各楽器の分離が明確に聴こえて欲しいこの作品ではかなり物足りないし、カラヤンの指揮もロマン派寄りすぎ。12音技法で作曲された刺々しさと明快な音列分析に欠ける。

正直少し期待せずに得意かつ話題のBOOKOFFで購入して聴いたのですが、これは演奏・録音共に理想的でした。こちらは本妻 シカゴ交響楽団との演奏ですがそれもこの作品ではソロイスティックな演奏が求められるのでプラスでしょう。また録音会場がデットないつものシンフォニーホールではなくメディナ・テンプル、そしてエンジニアがケネス・ウィルキンソンなので往年のDECCAイズム。「コンサートの音を理想とするのではなく、楽譜にかかれた全ての音をレコード芸術として録る」。この作品・録音に相応しい。当時カラヤン録音はかなり話題となったので、隠れた形になっていますがこちらの方が圧倒的に優れています。

バレンボイムとシカゴ響との演奏。あの振り方では・・・肉付きが良すぎるしちょっと違う。

現代音楽が得意なケーゲルも録音を遺してくれています録音と意外と洗練さ不足、ブーレーズは分析的に過ぎ、カラヤンは録音と解釈に不満が。と言って伝説のミトロプーロスとベルリンpoの鋭利で理想的な超絶演奏はよりによってORFEOモノラル・ライブだし・・・その記念碑的なライブ録音の過去記事は↓
・シェーンベルク「管弦楽のための変奏曲」+ドビュッシー「海」 ミトロプーロス/ベルリンpo 1960年ライブ

このショルティ盤はその不満点を全て満足させてくれる理想的かつ模範的な演奏。まぁシカゴ響の技量とケネス・ウィルキンソンの名録音に支えられている部分が大きいですが。


このCDは通常のクラシック通でもスルーしそうな曲目と演奏者ですが、上記のように意外にも名演・名盤でアルプス交響曲と共に大きな音量でオーディオで聴きたい!!と思わせる逸品CDです。是非ご一聴でのほど。ご意見も伺ってみたいと思うCDでした。


ラベル:優秀録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 07:44| Comment(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする