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2017年08月04日

ベートーヴェン 交響曲第8番 クナッパーツブッシュ/北ドイツ放送so 1960年ライブ


クナッパーツブッシュとベートーヴェンは必ずしも相性がよかったとはいえません。第5番「運命」に2種の録音があり面白い演奏ですが、ベストか?といわれるとちょっと遅すぎてもたれるのでたまに聴くくらいです。クナッパーツブッシュもそこの辺はわきまえてみたみたいで、「やれっていうから振ってやってる」という演奏が散見します。
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「シャイセ!(糞っ!」などリハーサルなどで暴言を吐いていたなど逸話の多い人ですが、芯は心優しい人だった人です。歌手や団員への指揮するときの配慮を見るとそう思います。

しかし第8番だけは十八番として自ら好んで指揮していました。この交響曲にふさわしい演奏ではないかもしれませんが、彼が作品を自家薬籠中のものとした時の例としてまず一番に挙げられます。ワインガルトナーや古楽器演奏に慣れた耳には奇異に聴こえることでしょう。でもこういうところがクラシック音楽の愉しみ。

ベートーヴェン 交響曲第8番ヘ長調
指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
北ドイツ放送交響楽団
1960年のライブ録音
録音 3.50点  演奏  採点不能

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タワーレコード クナッパーツブッシュ コレクション2(70CD)
今ではこのクナッパーツブッシュ・コレクションでしか手に入らない。

単品なら1956年のミュンヘン・フィルとのライブの方がカップリング含めお得。


メンゲルベルクやワインガルトナーの録音が1930〜1940年ですからその20年後の演奏。トスカニーニはせかせかした演奏だし、フルトヴェングラーも中途半端で前2者の録音に及ばない。これはクナッパーツブッシュの名を日本に広めた某評論家べた褒めの演奏です。

豪放磊落で衝撃的です。第7番と第9番の間の小曲とは思えない演奏です。第4楽章は雪崩れ打つという表現がぴったり。コーダでは素っ頓狂にテンポを落としホルンが「タ・タ・タ・ターラッタ」と吹くくだりはウィットの度を越えています。だから、名演奏ではありますが、この曲の定番・ベストとは言えないかと・・
第4楽章です。
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明るい交響曲のはずが、第5番「運命」並みの壮大さで演奏されています。ティンパニ協奏曲のようにもなってます。デフォルメここに極まる。第2・3楽章もこのテンポですからかなり長閑ですが、この曲のイメージとはかけ離れた雄大さがあります。低弦のうねりがものすごい。他の指揮者からは得ることのできない感動(衝撃の方がやはり正しいか)があります。

同じ曲なのにこんなに違う側面が見れるのかというのがクラシック音楽の楽しみです。同じ人でも時と場所が変われば多少表現も変わります。
1956年のミュンヘン・フィルとの第4楽章です。多少スマート。


クナッパーツブッシュは異端な怪物的指揮者だと印象付けたという点では、前回紹介したブラームスの第3番と双璧の演奏記録です。でもこれらの演奏で誤解されたのも事実。

ただ豪快に遅いテンポでデモーニッシュな演奏をする指揮者だけではありません。ワーグナーなどを聴けばわかります。楽譜をしっかり読み取り、それを呼吸深く豊かにオーケストラを歌わせ、響かせることのできる指揮者でもあります。

一切の無駄がない指揮姿。この指揮ぶりでどうやってこの第8を演奏したのか是非見たい。

しかしこの演奏が入手難とは・・・ワルター協会のLPで私は所持していますが、CDよりもいい音です。どこかのレーベルが放送用音源からちゃんとリマスタリングして出してくれないものか。まぁvenias盤も悪くないリマスタリングですが。


・作曲家別の過去記事を探すにはこちらが便利
→ クラシックの名曲・名盤 作曲家別記事まとめ
posted by 悩めるクラヲタ人 at 12:59| Comment(0) | ベートーヴェンの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調 マタチッチ/NHK交響楽団 1984年ライブ


宇野氏の評論を昔から目を通している方ならば、必ずは目に耳にしている伝説的マタチッチの最後の来日公演ライブです。当初DENONからCD化されましたが、籠った音質が不評で「あの日の真価を捉えられていない」と多くのファンから不評でした。日本に残したマタチッチ最大の遺産というか、未だに語り草になっている演奏。
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時は過ぎDVD、XRCD、SACDとリマスタリングが繰り返され、音質は見事に一新。さらに評価が高まると思いきや、不思議と語られることが少なくなった演奏。この演奏が行われた後、朝比奈隆、ギュンター・ヴァントのCDが発売されて語られる目線が変わったということもあるのかもしれませんが・・・

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調
指揮:ロヴロ・フォン・マタチッチ
NHK交響楽団
1984年 ライブ録音
録音  4.30点  演奏  4.35点


こちらはDVD。下記XRCD買うなら、映像付の方がやはり感動度は高い。



DENONのCDは、お金の無い中学生時代に父親から誕生日プレゼントとしてお金をもらい買ってもらいました。N響アワーでも見て聴いて、興奮していたので全曲をいい音質で聴きたい(当時はまだCDラジカセでしたが)という気持ちが高ぶっていた。買って聴いた時にはその音が悪いと言われていたCDでもかなり興奮したものです。まだ優れたブルックナーのCDが少なった時代ですからなおさら。

しかし、その後家のシステムもミニコンポ(死語ばかりで申し訳ない)になり、朝比奈やヴァント、クナッパーツブッシュの演奏を聴くにつれ、手に取る回数は減ったというか棚にはあるが聴かないCDになりました。そこはやはりライブで1発かぎりの演奏だと思えば凄い演奏だけれど、当時のNHK交響楽団の音は音が固くアンサンブルも甘く、音質も含め何回も聴くには辛いという印象が拭えなかったからです。


時は過ぎDVDで発売され、XRCDでも出る、SACDでも出ると音質は目覚ましく良くなりました。私はSACDは持っていませんが前二者は所持しています。確かに目が覚めるように音は良くなりました。しかし聴く状況は変わりません。買って聴きなおした時には、「いや、やはり凄い演奏だったんだな」と思ったけど、何度も手には取らない。宇野氏も昔からこの演奏については大絶賛していましたが、徐々にトーンダウンしていましたね。

素晴らしいか素晴らしくないかと言ったら素晴らしい演奏ですが、素晴らしい記録と言ったほうが適切なのかもしれないというのが最終結論。朝比奈、ヴァント、ハイティンクなどアンサンブルも録音もより優秀な名演奏、シューリヒトやクナッパーツブッシュの復刻も進み、それらの名盤に比肩するかと言えばちょっと風合いが違う。




第1楽章からマタチッチとN響の集中力は高く、ぐっと耳を惹きつけます。マタチッチ特有の豪放磊落なフォルティッシモ、急激にかかるアッチェレランドなどブルックナーに浸るというよりかは、団員ともども徐々にマタチッチの音楽に引きずり込まれ気づけば圧倒的なコーダ「ダ・ダ・ダー」の和音。

第3楽章など当時のN響からこんな音が出るんだと驚くような深い響き。トゥッティもトランペットの音の固さが耳につきますが、これだけこのオーケストラを鳴らせる指揮者は当時いなかった。ボクシングで例えるならば、復活してからのジョージ・フォアマンのようなズドンと一発一発が重く響くような演奏。若い方は知らないでしょうが。


音質が良くなるにつれて演奏の凄さはより伝わるようになったが、当時のN響のアンサンブルの瑕が目立つようにもなり、1990年代の名CDを聴きなれた耳には古い演奏になってしまった感があります。多くのレビューを見ていると概ね一緒の感想の様で素敵な思い出は素敵な思い出のままが良かった。会いたいなぁと思っていた初恋の相手と何十年ぶりに同窓会であったらちょっとがっかりみたいな(笑)

しかしたまにDVDで見ると途中では止めれなくなる演奏に変わりはありません。最後の来日公演でしたし、楽員もそう感じていた様子が伝わり目頭が熱くなってきます。ただその時にもう一度最初からとはならない。素晴らしい演奏だけれでも、久しぶりに見て1発勝負の演奏だからこそ感動できる記録なのだと。

音質がこれだけ良くなり、映像付で発売されたにも関わらず語り草の草に元気が無くなった不思議な演奏です。今まで紹介したフィルハーモニア管弦楽団との第3番、フランス国立管弦楽団との第5番に比べてしまうといろんな意味で分が悪い。第3は傾向は一緒ですけど、もう一回とは思う。


死後、NHK交響楽団との演奏記録が多くCD化され結構買いましたが、何故か手元に長いしない。1970年代の演奏はさらにN響の頑張りは認めるけど、ホールと録音のせいもあり音が固い。残っているのはワーグナー・アーベントのCD位です。

こちらの方が後世に残してほしいけど。

しかし日本を愛してくれた、また鳴らないオーケストラから豪快な音楽を引きだし、また多彩な音楽を創りだした名匠マタチッチを忘れないためにカタログに残り続けて欲しい名演です。

点数は上記の理由もあり低いですが。今後これだけ個性的なブルックナーで納得・屈服させてしまう指揮者は現れないでしょう。逆にヨッフムはライブCDが出てさらに名声が高まって、マタチッチのそれと反比例するようになったのは不思議ですね。

最近はスウィトナーのほうが、再評価されるべきと思いはじめているところです。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 08:12| Comment(1) | ブルックナーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする