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2017年08月10日

バルトーク ピアノ協奏曲全集 ツィメルマン、アンスネス、グリモー/ブーレーズ 2001-4年録音


バルトークという作曲家の音楽には何か不思議な魔力があります。根底には彼の研究し採取した民族音楽の要素があるのですが、バルトークというフィルターを通して楽譜に刻まれると全く違う新しい世界を見せてくれます。バルトークの音楽は聴いてすぐに「あぁ彼の作品だな」とわかる独特の音の雰囲気があります。
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しかし甘口か辛口かと言われれば断然辛口。クラシックビギナーからしたら、一番ポピュラーな「管弦楽のための協奏曲」ですら意味不明でしょう。一番ハバネロが効いているのは弦楽四重奏曲ですが、メロディアスでは無いものの、適度な緊張感を保ちながら音響的にも楽しめる分野のはピアノ協奏曲かと。第3番が一番親しみやすく、よく演奏会のプログラムとしてものりますが、このブーレーズの録音で聴くと、第1番・第2番の方がバルトークらしい名曲だと再確認。

バルトーク:ピアノ協奏曲全集
・ピアノ協奏曲第1番
ピアノ:クリスティアン・ツィメルマン
シカゴ交響楽団
・ピアノ協奏曲第2番
ピアノ:レイフ=オヴェ・アンスネス
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
・ピアノ協奏曲第3番
ピアノ:エレーヌ・グリモー
ロンドン交響楽団
ピエール・ブーレーズ指揮
録音:2001年11月、シカゴ、シンフォニー・ホール
   2003年2月、ベルリン、フィルハーモニー
  2004年10月、ロンドン、St.ルークス・ジェルウッド・ホール
録音 4.55点  演奏  4.70点




今後これを超える協奏曲全集が出るとすれば、キーシンかユジャ・ワンがよほどいい指揮者とオーケストラと組んだ場合位ではないかと思います。何とも贅沢な布陣の演奏。曲毎にピアニストとオーケストラが違う。またその選定が曲に合い見事。

第1番の緊張感と叙情性が求められる音楽に神経質なツィメルマンとシカゴ響で乾いたホールでの録音。各楽器の音が細かく見え、ブーレーズがしっかりと楽譜を見える化してくれながらも、ピリリと刺激的な部分も残している。ツィメルマンの場面場面での音色による表情変化も見事にはまってます。
当然テクニックは万全。

第2番は派手派手しくなりがちで、解釈を間違えるとティンパニ・大太鼓協奏曲のように大風呂敷を広げた演奏になりがちです。そこはアンスネスとベルリンpoとい全体バランスを考えて演奏してくれる相手を選んでカバーしている。

3曲の中では一番実験的で前衛先鋭的な第2番ですが、これも見事に分析的でありながら音楽的。ここぞという時の音は力みが無いにもかかわらず重みがズシンとくる。
第3楽章のピアノとティンパニ・グランカッサのバランス・リズムは、見事としかいえない。



ベルリンpoの木管楽器が金管と打楽器に負けじとしっかりと音色美と旋律で聴かせてくれる。ファンファーレを鳴らす金管と打楽器的なピアノ、そして目立つ打楽器に隠れず、民謡的な歌を継続的に木管楽器が歌っている、あぁそういう曲なんだなと気づかせてくれます。フィルハーモニーだからこそ響きを伴って耳に届いてくる。

昔は名盤の誉れ高かったポリーニとアバド盤。何回聴いてもメカニックなだけで良い曲だとは思えない。当時としてはあそこまで完璧に弾けるピアニストがいなかっただけなのではないかと。

第3番は晩年で少し落ち着いたメロディアスな音楽ですが、ここはグリモーとロンドン交響楽団で、少し明るめかつ開放的な演奏に。でもブーレーズはしっかりと1番と2番の流れの上での3番と捉え、分析的な伴奏姿勢は基本的には変えない。第1番・2番の演奏が見事すぎて、新しい発見を与えてくれ過ぎたからか、この盤では3番が一番耳にしない・・・
疲れがくるのか(笑)


決して悪い演奏では無いですがピアノだけで考えればアルゲリッチもよく演奏しますし、ユジャ・ワンの方が攻めたピアノに感じる部分も。ただブーレーズの伴奏には合わないかもしれないですが。兎にも角にもこのピアノ協奏曲全集の素晴らしいところはブーレーズの伴奏ありきで、バルトークの良さを出そうと会場も含めて適材適所な企画だという点でしょう。

アルゲリッチの3番。デュトワの指揮がこなれすぎていてちょっと物足りないかな。この曲では合いすぎてもいけないという好例。

昔のブーレーズだったら耳に刺さる伴奏をすることもありましたが、そういう部分をオーケストラと会場、そして録音エンジニアが上手く消化している。もちろん巷に言われているようにブーレーズが晩年に丸くなってしまったということもありますが、このバルトークに関しては良い方向にいった例かと。ストラヴィンスキーは逆かな?

バルトークに関してはフリッチャイやライナーと同程度、ブーレーズは多大な功績を遺したと私は思っています。なぜ、このような名録音の名盤がSACD化されないのか。されたらすぐ買いたいのですが・・・まぁ確かに売れ無さそうですから仕方がないのか。

ラベル:優秀録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 22:37| Comment(0) | 協奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヴェルディ 歌劇「椿姫」 クライバー&ドヴォルスキー/フィレンツェ5月祭o他 1984年ライブ


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「ティキティキタン!ノンノンノン!」とでも言っているような。

昔、海賊盤で劣悪な録音で発売されていたC・クライバーの「椿姫」1984年ライブ録音。こういうヒストリカルCDを買う時は録音状態が不安で、棚の前でスマホで検索をしてしまいます。調べるとHMVではもう入手不可、AMAZONでも高値、録音状態もそれほど悪くないようなのでカゴへ投入となりました。

ヴェルディ 歌劇「椿姫」全曲
チェチーリア・ガスディア(ヴィオレッタ)
ペテル・ドヴォルスキー(アルフレード)他
指揮:カルロス・クライバー
フィレンツェ五月祭管弦楽団&合唱団
1984年12月20日 ライブ録音
録音 4.00点  演奏  4.35点


タワーレコードさんはまだ在庫がありますね。ポイント差引で3000円位。
Verdi: La Traviata カルロス・クライバー 、 フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団


ご存知のようにクライバーにはバイエルン歌劇場管弦楽団(コトルバスとドミンゴが主役)の名盤があります。1976-77年にかけて行われたスタジオ録音で録音もそれなりに素晴らしい。

ハイレゾ配信もされてます。

コトルバスの歌唱に関しては賛否両論あるみたいですが、私には十分だと思っています。そもそも他の「椿姫」を聴こうと思わないほどクライバーとドミンゴが優れているので。(因みにマリア・カラスを私は聴かないですし。聴かず嫌いです。昔「トスカ」だけはありましたが)

さてクライバーの「椿姫」のライブ録音の海賊盤は、バイエルン国立歌劇場のものと同年フィレンツェ5月祭管弦楽団の演奏が出回っていました。ただ、今までのフィレンツェの海賊盤は1984年12月9日の演奏でこの演奏とは別のものらしい。録音がモノラルで非常に悪く早々と売ってしまいました。

確かこいつ。買ってはいけません。

なので録音が心配でしたが、まずまずの録音です。恐らく膝上録音だと思われ、ぎりぎりステレオといった感じ。デッドな音で少しオーケストラは遠く分離が悪く強奏時に混濁しますが、歌手の声ははっきり聞こえ、拍手は鮮明(膝上なので当たり前か・・・)。レンジは狭いですが、会場で聴いているという臨場感は非常に強く伝わってきます。観賞に十分耐え得るレベルです。

さて演奏についてですが、ライブらしくクライバーも歌手も尻上がりに調子が上がってきます。演奏点を低くしているのは、録音も含めての感銘度なのと、スタジオ録音との相対評価でだからです。1幕は完全にスタジオ録音、第2幕はほぼ同じ、3幕はライブならではの感情の起伏があってフィレンツェ盤がいいと思います。

詳細を書くと長くなるので省きますが、ガスディアは1幕では声が出ていないですが2幕からは平均点、ドヴォルスキーはクライバーが当時ドミンゴと同じように重用していたテノールで素晴らしい。合唱団も結構いいです。






美しい前奏曲。

クライバーの解釈はスタジオ録音から7年経っていますが、基本的には変わっていません。あの演奏にライブ特有の彼のノリが加わっています。スタジオ録音よりも弦の鳴りが深い気がします(特にオケが慣れてくる後半ですが)。

第3幕の前奏曲はこちらのライブの方が神経質になり過ぎておらずにいい。ヴァイオリンが歌いきっています。有名な「乾杯の歌」での独特なフレージング(有名な旋律の最後で都度ディミヌエンドする)は同じで徹底しています。


カラスの「椿姫」アリア。私はどうもカラスの癖のある歌い方が苦手で。

カルロス・クライバーのライブ録音にはかなり外れが多いですが、これは当たりです。正直横に「エレクトラ」と「ファルスタッフ」が並んでいて悩みましたが、落ち着いて検索してみると結果オーライの様です。一般の方には強く薦められるCDではないですが、クライバー・ファンにはお薦めします。完全限定盤みたいなのでお気を付けください。正規発売もされないでしょう・・・


・作曲家別の過去記事を探すにはこちらが便利
→ クラシックの名曲・名盤 作曲家別記事まとめ
posted by 悩めるクラヲタ人 at 09:14| Comment(0) | TrackBack(0) | オペラ・声楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする