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2017年09月24日

シベリウス ヴァイオリン協奏曲 諏訪内昌子&オラモ/バーミンガムso 2002年録音


ふとこの曲を聴きたくなってきました。シベリウスのヴァイオリン協奏曲は名曲ですが、初心者には少し不向きかもしれませんが、シベリウスの晦渋さはそこまでありません。曲頭の朝靄の中から独奏ヴァイオリンが木の精霊よろしく徐に歌い始める・・・その後は身を委ねるのみ。

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静謐な第2楽章、そして第3楽章で「さぁ会社に行く時間だぞ。活力上げて!」という感じの弾むようなパッセージ、決して騒がないにも関わらず、ヴァイオリンの技巧が冴えわたるコーダは他のシベリウス曲にない興奮を味わせてくれます。

シベリウス ヴァイオリン協奏曲ニ短調
ヴァイオリン:諏訪内 晶子
指揮:サカリ・オラモ
バーミンガム市交響楽団
2002年 スタジオ録音
録音 4.60点   演奏 4.55点

※カップリングはこれまた渋いウォルトンのヴァイオリン協奏曲。

ジャケット買いしそうなほど妖艶なジャケット。ハイレゾ配信もされてます。
諏訪内 シベリウス &ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲


演奏と録音ともに素晴らしいです。ストラヴィバリウス「ドルフィン」を使っていますが、良いシステムで聴けばそのバランスの良い音と魅惑的な倍音が楽しめます。諏訪内のヴァイオリンは特に何かをしているわけではないですが、ヴァイオリンの音色を十分に生かし歌いぬいています。


ハーンの演奏。若い頃なので意外と丁寧ですね。テクニックはすでに完璧。

元々彼女自体、個性・癖の強い演奏家ではありません。安定したテクニックに微妙なニュアンス変化をつけるタイプの演奏家。ながら聴きしているとあまり気づきませんが、時々ハッとするようなニュアンスをつけています。優等生的とよく言われますが、さりげないところに彼女にしか出せない表情付けをしています。それに加え、過不足なく曲の魅力を伝えてくれます。このシベリウスは特にその美質が洗われています。




特に歌回しが魅力的に感じるのは、第2楽章です。粘っこく演奏するヴァイオリニストが多い中、決して粘らず、しかししっかりと弾き切るバランスの良さが光ります。


諏訪内さんの第3楽章映像。伴奏がなぁ・・・足を引っ張られて諏訪内のヴァイオリンも少し重く感じます。歌い回しとボウイングは見事です。

伴奏のオラモも諏訪内に合わせ、オーケストラをがなり立てることなく、すっきりとサポートしています。鳴らすべきところはガツンと鳴らす、独奏ヴァイオリンの音を際立たせたいときはスッと控えめに音量を抑える。時にともに寄り添い協奏する。個性は強くないですが、隠れがちな木管楽器も埋もれさせることの無いようにしっかりとダイナミックレンジも広くバランスをコントロールした見事なサポートです。


諏訪内さんのCDの中では、デュトワの伴奏と録音が秀逸なのはこの詩曲。

録音もベクトルがしっかりとあっていて、この曲の録音の中でもぴか一の部類。いい曲でいい演奏だなと繰り返し聴きたくなるCDです。

往年の名盤、オイストラフの演奏。技巧が耳についてシベリウスの良さが薄まっている感じがして、私にはあまりです。

この曲にはチョン・キョンファ盤の名盤がありますが、諏訪内盤でこの曲を聴いてから進むといいと思います。チョン・キョンファの演奏は、情熱的でガツンときます。実演的演奏なので繰り返し聴くには少し重いかもしれません。この曲の清冽な味わいを純粋に楽しみたいときには、諏訪内盤を手に取ります。


最近はどうなんでしょう?

ラベル:優秀録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 11:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 協奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月22日

プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲集他 チョン・キョンファ/プレヴィン/ロンドンso 1975年録音


女流ヴァイオリニスト チョン・キョンファももう70歳近いご年齢と知り驚き。個人的には彼女の全盛期は1970年代だったと思っています。この時期に主要なヴァイオリン協奏曲を、良い指揮者とオーケストラ、そして優秀なDECCAで録音されていたことは本当に幸運です。テクニックのキレと思い切り、曲へののめり込み・集中度の高さで、曲頭の一音で一気に耳を引きつける。夭折した女流チェリストのジャクリーヌ・デュ・プレと演奏傾向が似ていると思うのは私だけでしょうか?
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そんな若い頃のチョン・キョンファの名盤の一つ、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲2曲とストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲がカップリングされた一枚。録音も演奏も、そしてプレヴィンの伴奏も素晴らしい。元々プロコフィエフの2番は演奏効果も高く好きでしたが、このCDを聴いて1番の方が作品としては優れていると教えてくれた1枚でもあります。無伴奏ヴァイオリン曲を聴くような天翔るヴァイオリンに伴奏が崇高な音だこと・・・

プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調
        ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調
ストラヴィンスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調
ヴァイオリン:チョン・キョンファ
指揮:アンドレ・プレヴィン
ロンドン交響楽団
1972年、1975年録音
録音 4.45点  演奏 4.65点


廉価だし、ルビジウムカッティングのせいかヴァイオリンの響きが良くなったと思います。


第1番などは違うアプローチで優れた名演(ムターの初期の録音やハーンとか)はありますが、このスタイルの演奏としてはこれを超えるものは無い。ヤンセンあたりは同傾向の演奏をしそうだけど、所詮は同傾向で終わるでしょう。キョンファの場合、静かに入る第1番第1楽章の冒頭から胸ぐらをぐっと掴みに来る音です。その後も弓を弦にぐっと当てて少し汚い音になっても構わない、恐らく大きなボウイングで大きく歌う、繊細な部分では急にスッと力を抜いて弓の先で弾くようにこの曲の表情変化・転変に絶妙に食らいつく。


最初不評だったこの曲を名曲として普及したのはシゲティです。プロコフィエフが亡くなった時は丁度来日中で、追悼の意を込めてこの曲の第2楽章を演奏会で弾いたとのこと。

第3楽章のコーダはバッハの無伴奏パルティータを聴いているのか?と思うような自由自在さから会場の天井に吸い込まれるような真っすぐで張りつめた美音が空を舞う。フルートがそれに絡み合う時はふっと身体が軽くなる気がします。

第2番では曲想に合わせもっと開放的な音色に変化しますが、基本スタイルは同じ。歌いぬくときは情感込めて歌いぬき、不協和音で攻めてくるときは弓を弦に力強くぶつけこれでもかという程、聴き手に印象を強く刻み込む。第1番より前衛的な和音と躍動的なリズムが特徴の第2番、その真骨頂が第3楽章ですがオーケストラに1音も埋もれることなく、コーダの大太鼓の「ドン・ドン・ドン・ドンッ」というリズム強調と共に旋律が遠くから眼前に迫ってくるような表現も見事。第2番の第2楽章はこの2曲全6楽章中少し曲の特徴が少し薄い。しかし、それを補うようにプレヴィンとキョンファが飽きさせることなく聴かせてくれています。


快刀乱麻を断つハイフェッツの第3楽章。難曲だと思えないほど爽快に弾き切ってしまう。

両曲ともプレヴィンの伴奏とロンドン交響楽団の伴奏も理想的。ヴァイオリンを邪魔しない、でもしっかりとテンポを強調するためのヴァイオリンのピチカートや打楽器はしっかりと強めに鳴らすなど主張もしている。少しアンサンブルが雑なところもありますが、キョンファに合わせることと表現を攻めることのためのちょっとした瑕に過ぎない。当時のプレヴィンとロンドン交響楽団は蜜月時代でしたから。

正直、プロコフィエフの2曲を通して聴くと集中力が必要で少々疲れますが、その後に少し肩の力を抜いた遊び心のあるストラヴィンスキーがあるので丁度いい。ストラヴィンスキーの曲はそれほど名曲だとは思わないし、キョンファの演奏だと少し力が入りすぎかなと思うものの、駄演にはなっていません。もうちょっと軽くしてふざけてもというところでしょうか。

プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番を聴いて考えたのが、演奏するのも聴くのも超難曲のアルバン・ベルク ヴァイオリン協奏曲へ辿る道。当然、三大ヴァイオリン協奏曲(ベートーヴェン・ブラームス・メンデルスゾーン)を聴いていきなりベルクを聴くと理解不能でしょう。そこで20世紀のヴァイオリン協奏曲を順番に聴いていけば理解が理解しやすいのではと。


まずプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番、次にバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番、その後にベルクのヴァイオリン協奏曲に進むという道です。それでもリズム感が一気に無くなりますから戸惑うは戸惑うでしょうけど。徐々に無調的な音の連鎖に徐々に近づいていく、十二音技法の響きに近づいていく感じですね。幸いにして、全ての曲をチョン・キョンファが70年代に録音してくれていて、皆素晴らしい演奏で助かる。

ただ何故かベルクのヴァイオリン協奏曲だけはあまり再発されていないので、まとめてこのセットを買ったほうがお得かも。ブルッフ、シベリウス、サン=サーンスも素晴らしい録音と演奏ですから。

このコースがどうでしょうか(笑)


ラベル:優秀録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 11:05| 協奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月21日

ラヴェル ピアノ協奏曲集 ティボーデ&デュトワ/モントリオール交響楽団 1995年録音


先日、ティボーデがサンフランシスコ交響楽団と共演していたショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第 1番は、耳を疑うほどの調子の悪さでしたが…

無性にラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」が聴きたくなり、エマールとブーレーズの録音とこのティボーデとデュトワの演奏を聴きました。20分足らずの演奏ですが、こうも違うかというほど印象が違いました。演奏者の名前を見れば当たり前とも言えますが・・・結局ティボーデのCDはすべて聴く羽目になり、寝れなくなってしまいました。

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ティボーデのピアノも見事なことながら、デュトワとモントリオール交響楽団のコンビが如何にすごいコンビだったかを思い知らさせる演奏です。アルゲリッチやツィメルマンの演奏も優れていますが、これほど色彩的な伴奏ではなかったですし、総合的にラヴェルの魔術を感じさせてくれるという点ではこの演奏に1票です。

収録局は以下のとおりトラック順です。
ラヴェル 左手のためのピアノ協奏曲 ニ長調
オネゲル ピアノのためのコンチェルティーノ
フランセ ピアノのためのコンチェルティーノ
ラヴェル ピアノ協奏曲 ト長調
ピアノ:ジャン・イヴ=ティボーデ
指揮:シャルル・デュトワ
モントリオール交響楽団
1995年録音
録音  4.50点  演奏  4.60点


国内では廃盤でHMVの取り扱いもない様子。

ティボーデのピアノは比較的ソフトなタッチで全般的に演奏を進めています。といって薄味にならず、巧みなペダリングも駆使し独特な世界観を醸し出しています。ソフトタッチだけではなく、大事な音にはアクセントをしっかりとつけ明確に引き分けています。アルゲリッチやツィメルマンの演奏を聴くと、ピアノは鉄でできている楽器だと思わせる演奏ですが、ティボーデの演奏で聴くと木質的な響きが印象的です。ツィメルマンの演奏については過去記事で↓
ツィメルマン ブーレーズのラヴェル協奏曲集

そのティボーデの少し弱音気味の演奏のためか、「左手のピアノ協奏曲」では録音の加減もあるのでしょうがピアノの音がオーケストラに埋もれてしまって聞こえない部分があるのが残念。しかしカデンツァ部分は圧巻の音色と色彩感。ツィメルマンがきらきらして感じるほどで、やはりラヴェルは少しこういった色彩感があるほうが何度聴いてもも夢見心地にさせてくれる。ピアノ協奏曲のほうも同様。ジャジー一辺倒ではなく、印象派フランス音楽としての洒落っ気があり、なおかつクラシック音楽としても成立するように抑制が効いてコントロールされたピアノです。

そしてデュトワのサポートが見事。ブーレーズはこの上なくシンフォニックですが、この演奏を聴いてしまうと明晰だが少し耳に刺さる。ボリュームを調整しながら聴かないといけなかった・・・純音楽として聴くならばブーレーズの解釈も正しいですが、フランスのエスプリとは程遠い。デュトワの伴奏にはそれが詰まっています。しかし、1980年代ではなく1990年代にデュトワとモントリオール交響楽団はラヴェル全集を再録音してほしかったと思わせる伴奏で録音。この演奏を聴くと1980年代のまだまだ発展途上のコンビだったのだと思います。


デュトワとティボーデのメシアン。これほどピアノが明晰で色彩的なトゥーランガリラも無いかな。

このCDでの伴奏は木管から金管楽器まで完全にデュトワの音になっている。NHK交響楽団でもこの協奏曲の伴奏を指揮しているデュトワですが、まったく別物。N響との演奏もすばらしかったですが次元が違う。フルート・ファゴット・トランペットの柔らかく上品な温もりのある音は時間をかけて作り上げられた音。ボリュームそのままでも耳に心地よい大音量。このコンビが喧嘩別れしたことは本当に残念。

デュトワとモントリオールsoはパスカル・ロジェとも録音していますが、こちらのほうが演奏・録音ともに圧倒的に優れている。昔、図書館で借りてテープにコピーし聴いていましたが印象が弱い。私の理解力とオーディオ機器の差もあるかも知れませんが。


不思議なくらいこのコンビの動画は探しても見つからない。なぜだろう?

最後に昔にこの「左手のための協奏曲」をN響で伴奏した際(最近のコラールとの演奏ではなくその前のコラールとの共演か、ティボーデとの共演)のフィナーレの伴奏がいまだに忘れられない。このCDでも期待したのですがそうはなっていない。「左手のための協奏曲」は最後に「ダッダッダッダッダッダ・ターーラァ」と軍楽調に曲を締めくくるのですが、赤で太字にした部分でピアノが「タタタタタタタ」と下降音階を弾きます。たいていの場合、オーケストラの「ダッダ」が前のフォルテのままで演奏されるので、ピアノの音は少し埋もれます。その時デュトワは、左手で「ダッタ」の部分ですっと手でオケを押さえて「ダッダッダッダッダッダ・ターーラァ」と伴奏したので、ピアノがはっきりと聞こえるようにしたのです。あれは名伴奏でした。youtubeで探しましたが無い・・・

それに関しては残念(どちらかといえば弱めのティボーデなので余計に埋もれがち)でしたが、ラヴェルを愉しむという点では久しぶりに堪能したと思える演奏・CDでした。カップリングの曲がまた洒落ていて佳曲の名演。この3者ならではの演奏。
関連過去記事→ ティボーデとデュトワのサン=サーンスの協奏曲
posted by 悩めるクラヲタ人 at 07:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 協奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする