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2017年11月14日

ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲 諏訪内晶子&I・フィッシャー/ブダペストfo 1999年録音


ドヴォルザークの協奏曲と言えばチェロ協奏曲なのでしょうが、私はヴァイオリン協奏曲の方が実は好きです。ピアノ協奏曲よりは演奏される機会は多いですが、それでも古今のヴァイオリン協奏曲の中でも地味な部類に入ります。チェロ協奏曲よりも曲想は明るく、ピアノ協奏曲よりは曲が出来ていると思います。
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録音される機会はあまりないですが、私は一番元気だった諏訪内晶子のCDがあれば十分です。このCD前座にサラサーテのツィゴイネルワイゼンとカルメン幻想曲が入っているし、彼女の全盛期の演奏・テクニックが克明に刻まれています。

ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲イ短調
ヴァイオリン:諏訪内晶子
指揮:イヴァン・フィッシャー
プダペスト祝祭管弦楽団
1999年録音
録音  4.55点  演奏  4.65点

※サラサーテの演奏も含めての演奏点


使用ヴァイオリンは1714年製作のストラディヴァリウスの銘器『ドルフィン』で、それなりの装置で聴けばその音色だけで魅了される。それを難曲でも余裕を持った技巧で鼻歌を歌うような感じでありながら、しっかりと楽譜を彫琢した演奏です。録音が非常に素晴らしく、個人的には諏訪内のアルバムの中で一番だと思っています。

さてヴァイオリン協奏曲。どっぷりとしたオーケストラのトゥッティからスタートしますが、少しオーケストレーションと旋律にドヴォルザーク独自の魅力は欠けるものの、ヴァイオリンの独奏部分は非常に美しく洗練されています。

ソロイスティックなヴァイオリンを優しく包むような感じで楽章が進みます。演奏者によっては単調になりがちですが、諏訪内のヴァイオリンは音色変化を多彩につけて楽しませてくれます。時にしっかりと弓をしっかりと弦にぶつけ、スラブ的な要素も感じされることも忘れていません。しかし美しく伸びるドルフィンの高音と重音。

マルツィの演奏が昔から評価が高いしいい演奏だと思います。所持はしていない・・・

第2楽章へは気づかぬまま突入。この曲で少し落ちるのは第2楽章かと。魅惑的な旋律に欠けます。そこは伸びやかなヴァイオリンとそれを優しく包み込むような伴奏と愁いを帯びたフルートでこの演奏はカバーしているように思います。トランペットも強くし過ぎると一気に興ざめするところですが、フィッシャーは抑え気味にして絶妙。力まず後半の湧き上がるような弦楽器群の歌がいいですね。


この曲の一番好きなのは第3楽章です。跳ねるような愉しい楽想が続きます。何度でも繰り返し聴いてしまいます。ただでさえ旋律の繰り返しが多い楽章ですが飽きない。チェロ協奏曲のようにこってりし過ぎていない。最初の導入部分は囁くようにはじめ、主部の跳ねるような旋律では胴鳴りさせるほど鋭角的に、逆にたっぷりと歌う旋律で諏訪内はぐっと表情を変えて、歌う部分では豊穣にドルフィンを鳴らす。またこの曲で多用される重音奏法部分が非常に巧いと思います。




この曲の難しいところは実はオーケストラの伴奏で、恐らく楽譜通りに鳴らし過ぎるとうるさくなり一気に閉口してしまうのですが、録音のバランスがいいのとフィッシャーのあまり角を立てない伴奏が素晴らしい。諏訪内の表現にぴったりと音色も含め合わせています。ブタペスト祝祭管弦楽団の少しローカルな音色もプラスに作用しています。特に木管楽器は全楽章にわたって郷愁的な質感があります。

諏訪内晶子のベスト盤のようなCDで、個人的には彼女の「ポエム」と並んでよく耳にするヴァイオリンのCDです。

このアルバムはハイレゾ配信もされていて悩ましい・・・・


ラベル:優秀録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:04| Comment(0) | 協奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月07日

サン=サーンス ヴァイオリン協奏曲第3番 チョン・キョンファ&フォスター/ロンドンso 1974年録音


ロマン派のヴァイオリン協奏曲の中で気軽に聴くことができ、耳にも優しいサン=サーンスの第3番。ブルッフのヴァイオリン協奏曲も素敵ですが、こちらの方が初心者にも楽しめるのではないでしょうか?ブルッフは少々立派に過ぎる。特に耳に残る旋律がある訳ではないのですが、ヴァイオリンの魅力的な旋律が次から次へと溢れてきます。

チョン・キョンファの1970年代は本当に凄かったと、シベリウスやサン=サーンスを聴くと思います。この曲でも冒頭からグイっと引き付けられる強奏。かと思えば誘うような魅惑的な音色を奏で、表情がころころと旋律に合わせ変転する。決して情熱的一本やりではありません。

サン=サーンス ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調
ヴァイオリン:チョン・キョンファ
指揮:ローレンス・フォスター
ロンドン交響楽団
1974年 スタジオ録音
録音  4.20点   演奏  4.80点


彼女の若い時の録音をまとめた好廉価BOX。

本来は下記のCDのようにヴュータンのヴァイオリン協奏曲とのカップリングがオリジナルです。


少し録音が古いですが、DECCAなので十分。録音を超えてチョンのヴァイオリンの歌が胸に響きます。伴奏ともどもこれを超える演奏は、今のチョンでも無理だと思います。この演奏を聴いてしまうと、他の演奏は全て物足りなく感じてしまいます。エルガーのチェロ協奏曲でのデュ・プレのような存在。

ちょっと渋いですが、イダ・ヘンデルとプリッチャードの映像で。ゆっくりと味わわせてくれます。少しヘンデルのテクニックと音程は怪しいですが。

この頃のチョンの演奏は情熱的な表現が特徴的ですが、良く歌うフレージングも印象的。シベリウスやブルッフ、そしてこのサン=サーンスでもそうですが、意外と静かな第2楽章が素晴らしいと思います。若い頃は情熱的な部分に魅かれ、第3楽章を繰り返し聴いていましたが、歳をとったせいかそれとも耳が肥えたのか(笑)第2楽章を好みます。

どこまでも伸びていきそうなトリルと弱音でも痩せない音。もちろん大見得を切るようなスタートから、表情を千変万化させコーダまで息もつかせぬ第3楽章もやはり素晴らしい。





フォスターの指揮も見事ですが、それに応えるロンドン交響楽団の音色。決してヴァイオリンを邪魔することなく、サン=サーンスの壮麗な音楽を豊饒に響かせています。チョンが表情を変えるとオーケストラもそれに合わせるようにしっかりと反応しています。

この頃のロンドン交響楽団は木管楽器に味があります。特筆すべきは弦楽器群。ふわふわの綿毛がチョンのヴァイオリンの音を包み込むかのような第3楽章中間部が聴きもの。


若いキョンファのブルッフの演奏映像。指揮はプレヴィン。冒頭のなんというボウイング!

憑りつかれたように身体を揺さぶりながら演奏するのがこの頃の特徴。演奏中の表情はちょっと怖い。逆に終演後、オケからの拍手に破顔するキョンファの表情がチャーミングなこと。

録音点を少し低めにしたのは、CDだとヴァイオリンの高音部がメタリックに聴こえること。英DECCAのアナログ盤も所持していますが、もう少し当たりが柔かい。CD化に対する不満点分を下げました。全体的には全盛期のDECCA録音なので、音楽的に素晴らしい音の捉え方。ちなみにこのサン=サーンスでまとめたCDは、黄金のDECCAを支えたエンジニア ジェームズ・ロック、ケネス・ウィルキンソンの聴き比べができるのです。

「序奏とロンド・カプリチオーソ」も名演ですが、ハイフェッツや諏訪内晶子との聴き比べをしてみたいと思ったのでこちらはまた。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 協奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月02日

ベートーヴェン 合唱幻想曲+三重協奏曲 エマール&ハーゲン&アーノンクール/ECO 2003年録音


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ベートーヴェンの作品の中でもマイナーな作品。「合唱幻想曲」は第9の習作、三重協奏曲に至っては駄作と言われています。とはいえ、両曲とも演奏会で取り上げられることもしばしば。ただ録音されることはあまり少ない作品です。三重協奏曲は、カラヤンがロストロポーヴィチ、オイストラフ、リヒテルと組んだ曲よりも演奏者に耳が行く録音が有名です。

評論家 宇野氏はこの録音を絶賛していましたが、私にはやはりこの協奏曲は駄作としか思えませんでした。SACDで聴いても・・・

一方、合唱幻想曲は誰の演奏で最初に耳にしたか忘れましたが、演奏効果があり最後のコーダもかっこいいこともあり好きになりました。ただしあまりいいCDがない。ピアノとオーケストラがぴたりとあっていないと面白くない。特にコーダはオーケストラを鳴らしすぎると影のピアノが聴こえなくなってしまう。そんな両曲を愉しませてくれる名録音のCD。意外にも、アーノンクールで。

ベートーヴェン
ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲 ハ長調
合唱幻想曲 ハ短調
ピエール=ロラン・エマール(ピアノ)
トーマス・ツェートマイアー(ヴァイオリン)
クレメンス・ハーゲン(チェロ)他
指揮:ニコラウス・アーノンクール
ヨーロッパ室内管弦楽団
録音 4.45点  演奏 4.65点



三重協奏曲は指揮者・ソリストが誰も「俺が俺が」と出てくることなく、均質に協奏しています。カラヤン盤と真逆の姿勢で、室内楽演奏経験に長けたソリストたちなのでそこが見事。曲に関してはやはり少し魅力に欠けますが、各演奏者の調和がそれを補う。録音もバランスが良いので楽しめます。


指揮者とピアノが少し物足りない。

第1楽章最後の追い込み、第3楽章全体と特にコーダはアーノンクールの面目躍如といったところ。スタジオ録音にもかかわらず熱がこもっています。アーノンクールの指揮は古楽器演奏寄りで、弦楽器をノン・ビブラートで長い音の真ん中に膨らむような抑揚をつけますが、この演奏ではそれが曲の物足りなさを補っているような気がします。

あとは直線的なここぞという時の迫力。コーダの叩き付ける最後の3つの和音のうち最初の2つはエマールのピアノだけペダルを踏んで音を残すのですが、オーケストラの残響と融合し非常に効果的。カラヤン盤よりも録音も演奏も数等上。





合唱幻想曲も同じ流れでエマールとアーノンクールが愉しんで噛みしめるようにこの佳作を演奏しています。ながーい最初のピアノの独白もエマールはテクニックをひけらかすことなく自然体、やっとオーケストラが入ってくる時には田舎臭い木管楽器が人懐っこさを感じさせてくれます。徐々に盛り上がって最後に合唱・オーケストラ・ピアノが三位一体となって第9に勝るとも劣らないコーダで終わります。


ただ全体的に同じ主題を焼く20分かけて展開していくだけなので曲全体としては冗長・単調で、第9の習作と言われてしまうのですね。ただオーディオ的には面白く、最後は合唱とオーケストラの強奏で結構ピアノが隠れがちになるのですが、録音がここをうまくとらえてくれていると意外と演奏効果を上手く考えて作曲されているんだなと思います。

エマールとアーノンクールはそこが非常にうまい。ピアノとともにオーケストラが寄り添って演奏しており、ピアノを浮き立たせるところではパンッと音を切り上げて聴こえるようにしています。このCDをかけると三重協奏曲と合唱幻想曲のコーダは何度も大音量で聴き直して、聞き惚れてしまいます。エマールがうまいのかな、このCDは。


こちらも意外と知られていないキーシンとアバドとの録音。こちらはピアノに軍配。録音が少し物足りない。

アーノンクールは決して好きな指揮者ではなく、買っては売るの繰り返しの指揮者ですが、名演で名録音ながら知られていないこのCDとウィーンpoとのスメタナ「わが祖国」のみ棚を譲りません。

超鈍急列車に乗ったようなスメタナ。ですが、ウィーンpoの音を録音がうまく拾っておりなんとも得難い演奏。通常聴こえない音も聴こえるアーノンクールの解釈とともに。

ベートーヴェンの隠れた名盤、アーノンクールの意外な名盤として知られて欲しいCDですね。おそらく消えていく運命なのでしょうが・・・

ラベル:優秀録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 22:20| Comment(0) | 協奏曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする