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2018年02月17日

シューベルト 交響曲第9番「グレイト」 ベーム/シュターツカペレ・ドレスデン 1979年ライブ


晩年の燃えるベームの記録です。日本公演では少し不完全燃焼気味だったベームですが、1960年代を思い出させるような熱演をする時が晩年にもごく稀にありました。その代表格がこのシュターツカペレ・ドレスデンとのシューベルトです。ベームお得意曲で何度も録音していますが、初期のベルリンpoとの演奏も調和と内なる熱のこもった素晴らしい演奏でレコード芸術でもあります。
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ここで聴くベームは多少荒々しさを前面に打ち出し、古色蒼然としたドレスデンからオーケストラの響きを突き破ってトランペットが飛び出すなどライブ感と即興性に溢れた忘れられない演奏です。

シューベルト 交響曲第9番ハ長調「グレート」
指揮:カール・ベーム
シュターツカペレ・ドレスデン
1789年 ドレスデンでのライブ録音
録音 4.0点  演奏  4.30点



ホルンはゆったりと柔かく味のある音で始まりますが、主部に入るとベームとシュターツカペレ・ドレスデンの戦前の録音のような切羽詰まったような斬れ味と晩年の渋み溢れた音との交錯。どんなにベームが攻めてこようと、自分たちの音は守った範囲内で演奏するぞというオーケストラとの戦いの様相。しかし最後のコーダで金管が猛烈に第1主題を絶叫してしまうところはライブならでは。その後の弦楽器の深い音色がより生きる。第1楽章を聴いただけで、ちょっと疲れる緊張感とスリルの連続。


おっかない時代のリハーサル。不器用な棒にもかかわらず、合わせろとテンポにうるさい。

第2楽章は一転肩の力が抜け、早めのテンポで進みますが後半に行くについれてまた前のめりになったり、落ち着いたり。ただその落ち着いた時のシュターツカペレ・ドレスデンの弦楽器と木管楽器の何とも言えぬドイツ的音色がやはり素晴らしい。腰が据わっていて温もりと広がりがある伝統に育まれた音色。

第3楽章は前のめりで来るか?と思いきや、スケルツォにも関わらずここはいったん一休みと言った風情。ベームもここはオーケストラの手綱を緩めて任せたとオーケストラ主導で進みます。ピチッと決めるとこだけ力こぶを入れ、あとは諸君頼むよという感じで粛々と流れていく。懐かしい歌の数々が繰り広げられる。




晩年のベーム的演奏の映像です。

そして第4楽章。晩年のベームは遅いテンポが特徴でしたが、早いです。ヴァントほどではありませんが、少し食い気味で音を捉えて進み、切迫感のある早いテンポ。リハーサルで決まったテンポというより、指揮棒にオーケストラが何とか応えようと必死の中での読み合いの中で生まれる推進力のある部分が違います。

リズムは弾み、念を押すような弦楽器の「ダー・ダー・ダー・ダー」という旋律もただ力こぶを入れるだけになっていない。金管楽器も力みが少しとれて暖まった音。「これで最後になるんじゃなかろうか」と思いながら面々は演奏していたのか、本当に音が活き活きしていて晩年の頑固爺さんが指揮している感じがしない。「今日は元気そうだね。嬉しいよ」と嬉々として楽団もノリノリだったのでしょう。

力演でわぁーと勢いだけで終わることの多いコーダもベームの熱とシュターツカペレ・ドレスデンの音色の絶妙な音の玉手箱で充実したフィナーレ。最後の和音も切り上げが早い。若き日のベームが蘇った様な凝縮した響き。意外と隠れ名盤ですが廃盤になり、廉価盤でたまにひっそり復活する演奏。

素直にいい演奏聴かせてもらったぁと納得させられる演奏です。最初は入手するのに輸入盤を結構探して何とか手に入れた思い出があり、初めて聴いた時には嬉しさが一入。晩年のベームのイメージを払拭してくれた思い出の演奏です。

こちらとお間違えの無いように。来日時のライブですが、やはりちょっと違う。一緒に燃えよう感ではなく、どこか助けてやるよ感が感じる?
ラベル:ベーム
posted by 悩めるクラヲタ人 at 00:12| Comment(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月07日

メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」 マーク/東京都so 1993年ライブ録音

メンデルスゾーンといえば、名匠ペーター・マークについて語らねばなりません。が、名演名高いロンドン交響楽団との演奏ではなく・・・

追記:ロンドン交響楽団との演奏も聴きました。

管楽器の香りなどはロンドン交響楽団の方に軍配があがりますが、録音の良さと低弦の分厚さなど総合的には都響盤かなと。カップリングの「真夏の夜の夢」の方が素晴らしい。

メンデルスゾーン
交響曲第3番イ短調「スコットランド」
指揮:ペーター・マーク

東京都交響楽団
19
93年 東京文化会館でのライブ録
録音 4.35点 演奏 4.65点

カップリングは、序曲「フィンガルの洞窟」、モーツァルトの「プラハ」


マークはこの曲を得意とし、3度この曲を録音していますが、個人的に一番優れていると思うのはこのCDです。1回目の録音は若きマークの演奏で名録音と同時に名演奏で今でも語り継がれていますが、この晩年の方がそれ以上に熱気に満ちています。東京都響の質もこの時にはもう相当高かったです。今のインバルとの演奏レベルより少し劣るくらいじゃないでしょうか。

残念ながらクレンペラーの演奏と比べると管楽器・ブラスに+αの香りは感じられません。

しかし、それを補うくらいのライブ特有の熱気があり、ぎりぎり崩れないヴァイオリンのアンサンブル、それを支える低弦の深い響きとティンパニの強打とクレンペラーに欠けていたものがこの演奏にはあります。

年代を考えるともう少しオン気味の録音でレンジが広ければ(特に高音部)、これがサントリーホールだったらと少したらればがありますが、マークがフルトヴェングラーに私淑していたことを思い出させてくれるのは、ロンドン響との演奏よりこちらの方が上。
こちらロンドン響とのyoutube。


特に第1楽章の前のめりで進むコーダ部分と第4楽章の圧倒的な迫力(特にコーダの低弦の効いた悠然たる進行)が見事。時にティンパニの強打やトランペットとホルンの咆哮が結構きつめで粗野な部分もあるので、ちょっとイメージするスコットランドと違うかもしれません。

でも力強い響きだけで勝負なのではなく、第2、第3楽章も緩急をつけながら、翳りのある音色を都響から巧みに引き出しています。各楽器が本当によく歌っています。

同時収録の「フィンガルの洞窟」も名演。フルトヴェングラーのような深い響きとアッチェレランド。クレンペラー盤と同じ組み合わせですが、こちらのCDの方に手が伸びることのほうが多いです。プラハも佳演ですしね。リマスタリングしてSACDで出ないかな。淡い期待。

晩年のマークはartレーベルというマイナーなレーベルから、イタリアやスペインの地方楽団とベートーヴェンの交響曲全集を含む数多くの録音をしましたが、この演奏より優れたものはありませんでした。オケが非力なのとぼやけた録音が残念です。
一例です。
リマスタリングされたみたいですが、微妙な気がしてパス。


やはり都響との 1990年のベートーヴェン 第9は録音もよく素晴らしい。フルトヴェングラーの演奏をいい録音で聴けたような喜びを味わえます。

最後のアッチェレランドも早い!都響とのライブ盤は結構発売されました。ブルックナーを除き基本はずれがない名コンビでした。ありがとう、都響。

しかし都響というと、はるか20年前に就職活動をしていたときを思い出します。東京まで面接を受けに行き、「新幹線だよね?」と交通費をもらったのですが、実は深夜バス通い。面接が終わって本屋へ直行してぴあを調べると、深夜バスが出るまでの時間にインバルと都響とのコンサートがサントリーホールであるのを確認し、サントリーホールへ。浮いたお金で当日券を買い、初サントリーホール。マーラーの第5、いい演奏でした。

隣のおじさんがアダージェットで見事に寝ていたのに、最後の和音と同時に「ブラボー」と叫んだのが一番印象に残っている。またその話を最終面接で話したが、他の質問にうまく答えられず不採用になり残念でした。(人生振り返ればその会社に採用されていなくて正解でしたが・・・電機メーカーですが、どこかは言えません(笑))

そんなことも思い出させてくれる大事な私のCDのひとつです。もし機会があればどうぞ。
posted by 悩めるクラヲタ人 at 08:44| Comment(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月05日

チャイコフスキー 交響曲第5番他 モントゥー/ロンドン交響楽団 1963年ライブ


忘れ去られそうな巨匠ピエール・モントゥーの名盤から。ライブ録音のCDは数多く、「その場にいたら興奮しただろうな」という演奏・CDも多い。しかしながら「その場に居合わせたら終生忘れ得ぬ経験になっただろうな」という演奏も多い。
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後者の好例としてモントゥー晩年のウィーンでのロンドン交響楽団とのチャイコフスキー・プログラムの演奏会が挙げられます。爆演ではありませんし、クライバーやムラヴィンスキーのように興奮・屈服させるような演奏ではないのですが、何とも言えない幸福な時間が流れ「音楽っていいな」と感じさせてくれる演奏・記録です。

プログラム全曲がヴァンガード・レーベルで録音されており、録音状態も1963年の録音とは思えない鮮明なステレオ録音。プログラムは
チャイコフスキー 
・幻想序曲「ロメオとジュリエット」
・ピアノ協奏曲第1番 変ロ長調
・交響曲第5番ホ短調
ピアノ:ジョン・オグドン
指揮:ピエール・モントゥー
ロンドン交響楽団
1963年 ウィーン コンツェルトハウスでのライブ
録音 4.35点  演奏  4.60点


以前はKINGレコードが版権を持っていましたが、今はDENONが版権を持っているようです。結構廃盤になっては復活するの繰り返し。

「ロメオとジュリエット」の最初から素敵な演奏会だったことが窺えます。現在のセクションごとにこだわった演奏でなくマスで捉えた演奏で、ロンドン交響楽団がモントゥーと音楽する喜びが伝わってきます。晩年のモントゥーはピアニッシモはあまり使わすmpからffで勝負するというか、細かい音もしっかりと聴こえるように演奏しています。

バーンスタインの様な熱演スタイルではありませんが、しっかりとコクがあり常に80%の力で余力を持って鳴らしている。ここぞというところでも95%で金管・ティンパニを鳴らしうるさくならない。最後のティンパニ連打は録音が非常に良く捉えています。どの部分も音が細くならないし、歌わせ方が絶品。至芸というべきか。

ピアノ協奏曲第1番はアルゲリッチなどのようなバリバリとピアニストが頑張る演奏ではなく、オーケストラとピアニストがそれこそ協奏する演奏。この曲に演奏効果や迫力を求める人には物足りないかもしれませんが、こういう演奏を聴くとほっとする。

第2楽章冒頭の強めに演奏される木管と弦楽器のピチカートの伴奏の元、ピアノと絡むところは、第1楽章の熱を冷ますべく妙に神経質なピアニッシモで演奏されるよりもずっと素晴らしい。第3楽章もその調子で進むので少し物足りないですが、音楽的充足感は十分。



そして最後はモントゥーお得意の交響曲第5番。小林研一郎も得意にしていてアゴーギクの激しいその演奏は素晴らしいですが、モントゥーを聴いてしまうと芸格が違うなと思ってしまう。

コバケン録音は廃盤ですか・・・

モントゥーのこの交響曲の録音はライブ録音でもかなり残されています。ボストン交響楽団、フランス国立管弦楽団ともライブ録音、スタジオ録音もあります。一番激しいのはフランス国立管弦楽団との演奏ですが、残念ながらアンサンブルと録音はこの演奏に比べかなり劣る。

これはボストンでのライブ。

モントゥーのチャイコフスキーはあまり評価されていませんが、この第5番に関しては個人的にムラヴィンスキーの諸演奏に比べずっといいと思ってます。この交響曲を演奏する時は何故かモントゥーはかなりテンポを激しく動かします。それが実に堂に入っていて、違和感が無い。一つの話芸となっている。

第4楽章が特に顕著でどの演奏でも第1主題再現部でぐんっとテンポを落としてトランペットを強めに演奏するところが特に印象に残ります。全楽章で金管楽器はかなり強めに吹かせているのですが、けっして耳に刺さらないのは本当に不思議で、カラヤンの鳴らし方と何が違うのだろうと演奏行為の不思議さを考えさせてくれます。

第4番のスタジオ録音も素晴らしいです。

プログラムの締めくくりでオーケストラも暖まっている。両翼配置の弦楽器が効果的でヴィオラがこの演奏をしっかりと支えている。木管も不思議と良く分離して聴こえる。この頃のロンドン響の特徴の一つでもあります。第3楽章中盤のシンコペーションなど細かいところの配慮が行き届いている。第4楽章コーダはかなりテンポを動かしオーケストラを大きく鳴らして「ダッダッダッダッ」としっかり終曲。興奮とは違う不思議な充足感。

悩みましたが、我慢したモントゥーのBOX。

「春の祭典」の初演者として名を遺すだけの指揮者でないことを祈ります。派手さは無いけど、違いのわかる男の演奏は一筋縄では無い。リハーサル嫌いのウィーンpoもモントゥーとのリハーサルは喜んだという話もある一流の楽団が惚れる指揮者で、記録より記憶に残り続ける演奏をした指揮者だと思います。この演奏会は生で聴きたかったなぁと本当に思います。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 19:52| Comment(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする