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2017年09月21日

クナッパーツブッシュのブラームス 交響曲第4番 ケルン放送交響楽団 1953年ライブ


入手困難、不思議とyoutubeにも無い音源。クナッパーツブッシュの中でもずば抜けて豪放磊落な演奏。1953年のケルン放送交響楽団とのブラームス 交響曲第4番です。1952年のブレーメンpoとのライブ録音もあり、後発ながらそちらの方が入手はしやすい。しかし、演奏は圧倒的にケルンライブの方が上。
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この演奏は音が悪いと言われ続けていますが、所有するLPで聴く限り、当時のライブ録音としてはまずまずだと思っています。カナダのCAVIRの音源で録音年は1957年と誤記されています。この演奏の音が悪いという印象は、恐らく正規で発売されていたKINGやオルフェオのCDのせいで、アナログ時代に苦労して見つけたセブンシーズの国内LPを最初に聴いた時には、「すげぇ・・」と脳裏に焼き付けられた演奏です。


買っちゃダメ。正規盤でもだめかぁ・・ということで、LPの板起こしをしてみました。実際には、96kHz24bitのハイビット音源ですが、モノラルですしMP3でお許しを。

ブラームス 交響曲第4番ホ短調
指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
ケルン放送交響楽団
1953年5月のライブ録音
録音 3.55点  演奏  4.75点

※誰にも真似でき無い演奏ということで


私がCDで一番良い復刻と思うのは上記THARAの限定盤の中の1枚。当然廃盤で入手難。ただし、他の同曲異盤はかなり音質が劣ります。特にシューマンはひどい。ただパルジファルは全曲録音された日と違う録音ということで貴重。

veniasレーベルのBOXにも入っていて期待していたのですが結果は残念。多分ORFEO音源と同一かと思います。ただ最後に拍手がついているのはvenias盤だけのような気がします。加工した形跡はないので多分放送テープからの復刻だとは思うのですが。

やっと本題。フルトヴェングラーの1947年の同曲の演奏もドラマティックな名演ですが、リマスタリングを繰り返されても演奏は最高ながら音がちっともよくならない、初版の国内LPが一番ましというのは共通。クナッパーツブッシュのこのライブの演奏は、金管楽器とティンパニの音を良く捉えたドラマティックかつデモーニッシュな名演です。「ここまでブラームスをガンガンに弾かすか・・・」という位にオーケストラを乱れながらも、唸らせ歌わせて咆哮させています。

まずはA面の第1楽章と第2楽章。クナッパーツブッシュとしてはテンポは早めで変かも結構つけている珍しい演奏です。が、腰が据わっているために遅く感じます。第1楽章の追い込みとトランペットのうるさくならない咽び叫ぶような強奏、第2楽章クライマックスでのぐっとテンポを落として音をちぎっては投げつけてくるような岩のように固い音塊がまず聴きもの。
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凄い。言葉に表すことができないし、ジュリーニ・カラヤン・ザンデルリンク、最近ではアバドやラトルなどが演奏する同じ曲とは思えない響きを同じ楽譜から構築しています。

クナッパーツブッシュとしても力こぶがかなり入った演奏です。この1953年はバイロイトと喧嘩して唯一戦後出演しなかった年で、この演奏日の前後で丁度「出ない!!!」と返答したそうで、それで気が立っていたのかも(笑)という想いをぶつけるような宇野節でいう「アッパーカットのような」第3楽章の最初の和音。このLPでは聴いてわかるように演奏前の聴衆の雰囲気が残ったところから録音されているのでより「うぅ・・」ときます。

THARA盤などのCDではそこをカットしていきなり「ダッターラッタ・ラーター」と始まるので、アッパーカット感が薄れてしまっていました。今回板起こしをしてイヤホンで大音量で聴いてみて気づきました。たったこれだけのことで与える印象がかなり違うものです。しかしこの楽章のティンパニの地鳴りするかのような音の深さは何と言ったらいいか。

第4楽章は総決算で楽譜を抉りに抉りぬいた演奏。最後の方で少しアンサンブルは崩れますが何のその。余計に緊張感は高まり低弦は大きい音で低回し、ホルン・トランペットも疲れを知らぬかのように真っ直ぐに胸に刺さる音の連続。ティンパニもここぞここぞと自信を持って思い切り叩く。ヴァイオリンもこのままでは音が奴らにかき消されてしまうと弦を弓にぐっと力を入れ弾く。でも全体としてのバランスが整っている奇跡。この曲を聴いて唖然・呆然とすることはこの演奏以外では、フルトヴェングラー位しかない。ではB面第3・4楽章です。
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mp3にしたのでわかりにくくなったかもしれませんが、1953年ライブとしては悪い音だとは思えない。翌年のウィーンpoとのベートーヴェン・プロと傾向は違いますが同等レベルといっても過言では無いと思います。この演奏はクナッパーツブッシュ信者には有名なものの。あまりリマスタリング再発が無い不思議な演奏です。先ほどの1954年ベートーヴェン・プロとか1963年のブルックナー 第8番ライブも昔から「音が良かったらさぞかし・・・」と言われていましたが、この両ライブはここ数年でいい音源が出ました。

・参考過去記事
・ベートーヴェン 交響曲第7番ほか(ORFEO) クナッパーツブッシュ/ウィーンpo 1954年ライブ録音
・【改訂追記】ブルックナー 交響曲第8番 クナッパーツブッシュ/ミュンヘン・フィル 1963年スタジオ録音とライブ録音

ORFEOで駄目だったのでもういいテープは劣化して無いのかもしれません。平林復刻もあったみたいですが未聴。恐らくこのKING盤LPの原盤となるキャビアレコードLPからの板起こしではなかったかと思われます。今回THARA盤のCDも改めて悪くないなと思いました。(veniasは論外でした)
正直言えば分解能はTHARAに軍配が上がりますが、製音されているからかスピーカーから出てくる当時の雰囲気とか総体的な音像としての圧迫感は、板起こしの方が勝っています。難しいものです。

疲れましたが、やはり凄い演奏で凄い指揮者だったなぁと何度聴いても感嘆しきりのLPでした・・・

posted by 悩めるクラヲタ人 at 19:25| Comment(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月15日

チャイコフスキー 交響曲第4番 バーンスタイン/ニューヨーク・フィル 1989年ライブ録音


交響曲の記事でほとんどの有名な楽曲は取り上げたかなと思いますが、チャイコフスキーの後期三大交響曲については個別に取り上げていなかったなということで。演奏効果も絶大で第5・第6に比べ深刻ぶらず聴き易い第4交響曲。弦楽器がピチカートで演奏する第3楽章はチャーミングですし、第4楽章は何度聴いても余程つまらない演奏でない限り興奮します。
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冒頭のホルンの咆哮から印象的ですが、弦楽器のピチカートで演奏されるチャーミングな第3楽章、そして一転狂乱の第4楽章とコンサートで聴けば余程の凡演でなければ興奮間違いない曲です。如何にもバーンスタインとアメリカオケ向きな曲です。

チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調
指揮:レナード・バーンスタイン
ニューヨーク・フィルハーモニック
1989年 ライブ録音
録音 4.40点   演奏  4.70点

※カップリングは、「フランチェスカ・ダ・リミニ」。これも超弩級のグランカッサ轟く凄い演奏。ムラヴィンスキーといえども敵わない。

上記単品でもいいですが、どうせなら下記輸入BOXをお薦めします。

後期3大交響曲だけでなく、序曲「1982年」やイタリア奇想曲も愉しめます。

最晩年のバーンスタインの演奏なので、遅めのテンポですが第5や第6ほど粘っていませんので違和感は感じません。第1楽章の冒頭ホルンは意外とあっさりと流していますが、むやみやたらに強奏させる演奏が多い中バランスが非常にいい。(有名なムラヴィンスキーのDG盤では、録音の加減もあり少し耳に刺さる)

晩年のカラヤンのウィーンpoとの映像。ベルリンpoとの演奏の方が振りきれていていい。

そのあとはゆったりとしたテンポでチャイコフスキーの旋律を愛おしむような表情付けで、オケをしっかりと鳴らせ切っています。一音一音を念を押すかのように、ただ慈しみを込めてこぶしを効かせる。ただものものしい演奏になっていないところがいい。

ニューヨークフィル団員の「バーンスタインの求める音を出してやる」という想いも伝わってきます。ギルバートにこの音は出せない。当時かなり我儘桶でオケとして有名でしたが、自分たちの好きな指揮者には別団体のように心中する。当時のメータとの演奏はカロリー高いが、どこか気の抜けた演奏ばかり。バーンスタインの棒の下ではまるで違い、第2楽章冒頭の哀切極まりないオーボエ、後ろ髪引かれる雰囲気漂う弦楽器による歩みは耳と心に強く印象に残ります。

若き日のバーンスタインが簡単な英語で説明してくれています。



パッと明るい空気感に変わる第3楽章、第4楽章は重心は低めながらも開放感を感じる演奏。コーダのオーケストラの捨て身の鳴り方と斬れの凄さ。ティンパニ・グランカッサ・シンバルが炸裂しています。でもカラヤンの演奏と違って効果を狙っての演奏ではないので、無意味で無機質な音になっていない。ムラヴィンスキーの演奏とは対極的にある演奏ですが、実演での興奮を自宅で感じることが出来る名演奏です。

ここで変わり種演奏としてストコフスキーの第4楽章コーダの演奏。編曲しているし・・・

たまげること間違いなし。そのアゴーギクの凄さに、笑えのけぞります。

最新の映像付でいい演奏をというなら、ゲルギエフの新盤でしょうか。ウィーンpoとの録音はみな評価が高いですが、私にはどうも借りてきた猫のような演奏に思えて棚にはもうない。最近のゲルギエフはもやもやした10年を超えて素晴らしい。個人的にロンドンsoとのマーラー全集はもやもや期の代表格CDかと。

カップリングの「フランチェスカ・ダ・リミニ」も、ホールが地鳴りしていたのでは?と思うような凄演。コーダの打楽器の響き、最後のトロンボーンの音はこの交響曲以上でピンポイントでレバーにボディーブロー一撃を喰らった感が。よくこんな音を引き出せるなと。

世界中のオケの団員から信頼と愛情を抱かれ、ファンにも愛されたバーンスタインは本当に幸せな指揮者だったと思います。晩年の録音は粘着質過ぎるといわれますが、マーラー以外にも名演があることを忘れてはなりません。新マーラー全集も今や廉価・・・



posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月12日

ショスタコーヴィチ 交響曲第15番 バルシャイ/ケルン放送交響楽団 1998年録音


久しくショスタコーヴィチを聴いてもいなかったし、書いてもいなかった。いきなりショスタコーヴィチの奥の院である交響曲第15番。最初聴いた時は「なんだこのふざけた曲は?」と思った高校生でした。第1楽章の「ウィリアム・テル」序曲や第4楽章冒頭のトリスタン和音の引用など意味が分からなかったです。ムラヴィンスキーの超辛口の演奏で聴いても・・・曲の真意がわからなかっただけですね。

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クラシック鑑賞歴も長くなり、ショスタコーヴィチの人生や過去の交響曲も聴きなれた耳には実に含蓄に富んだ交響曲で、ショスタコーヴィチの集大成と思えるようになりました。すっかり肩の力も抜け、磨き上げられた作曲技法で人生の終焉を待つ心象を音に綴った曲です。平和ボケした私や凡人には理解できぬ彼の苦悩の集大成なのかもしれません。

ショスタコーヴィチ 交響曲第15番 イ長調
指揮:ルドルフ・バルシャイ
WDR交響楽団(ケルン放送交響楽団)
1998年録音
録音  4.45点   演奏  4.60点



バルシャイは元々優れたヴィオラ奏者でしたが、指揮者に転向しショスタコーヴィチの音楽の普及に努めた音楽家です。来日も何回かしています。非常にリハーサルは厳しく、自分が求める音が出るまで締め上げる人だったそうです。特にショスタコーヴィチを演奏するということに対しては真摯で、作曲家の真意を正しく聴衆に示すことに矜持を抱いていた。

そんなバルシャイが一躍注目を浴びたのがこの交響曲全集。安かろう悪かろうではない廉価BOXの常識を覆した名録音。バルシャイの演奏の特徴は楽譜を丹念に掘り下げ音に起こす、ムラヴィンスキーの演奏に適度に肉付けを行ったような演奏。両者とも芝居っ気が無いのは同じ。なので第5番「革命」が少し物足りない。この全集は録音状態も演奏も曲によってむらがなく誰にでも薦めることができる全集です。このCDを聴き込んでからムラヴィンスキーやバーンスタインの演奏に耳を傾けるとよりショスタコーヴィチ理解が進むと思います。私は逆でしたが・・・





この交響曲第15番でも模範的なだけでない厳しい演奏を繰り広げています。音の詰まったおもちゃ箱をひっくり返したかの様な第1楽章、諦めを通り越し木挽き歌のような葬送行進を行う第2楽章、いつもながら諧謔的だがもう騒ぐ気にもならぬミステリアスなスケルツォ。スコアに書かれた音を明晰に意味深く聴かせてくれます。

そして第4楽章。静かに始まり徐々にクライマックスを迎えるまでの過程は一緒ですが、もう喘ぎのようなものが感じられない。乾いた叫びのようです。その後今世に別れを告げるかのように歌にならぬ歌をヴァイオリンが宙に浮くような音で歌います。しかし途中で途切れる。静寂の中、打楽器の音だけが残ります。ティンパニがショスタコーヴィチの刻印音型を叩きますが、最後にはそれも途切れる。神秘的で謎を残す終わり方。


高音質でという方にはゲルギエフ盤を薦めます。これも素晴らしい演奏。

これは映像付のゲルギエフの全集。正直何度も購入を悩みますが、それ程ショスタコーヴィチの交響曲を真剣に向きあって聴く気力が無い。

特にここが素晴らしいという部分は挙げられないほど見事な演奏で解釈です。録音も総じて素晴らしく、最後のトライアングルやウッド・ブロック、カスタネットの音がホールに融けて行く感じがいい。逆にCDフォーマットの限界か低音の締りが緩い。特にコーダの静寂の中で弾かれるチェロやコントラバスのピチカートがちょっとぼわんとして残念。


ハイティンクは意外とショスタコーヴィチの演奏をしますね。

全集通してWDR交響楽団はこってりリハーサルをやらされただろうなと思わされる部分が垣間見えます。管楽器のソロが目立つショスタコーヴィチの交響曲ですが、歌わせ方など細かいところまでバルシャイの指導が見えて巧い。もともとこの交響楽団はこの時期ベルティーニに絞られていたので管楽器は色があり上手いですが、ショスタコーヴィチの音になっているのはバルシャイの成果の賜物。


posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:32| Comment(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする