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2017年07月22日

【LP復刻音源付】クナッパーツブッシュのブラームス 交響曲第4番 ケルン放送交響楽団 1953年ライブ


昔から書きたい書きたいと思っていながら、入手困難・youtubeにも無い音源なので書いても、もやもやさせるだけと書いていなかったクナッパーツブッシュの中でもずば抜けて豪放磊落な演奏。1953年のケルン放送交響楽団とのブラームス 交響曲第4番です。1952年のブレーメンpoとのライブ録音もあり、後発はながらそちらの方が入手はしやすいものの、演奏は圧倒的にケルンライブの方が上。
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この録音は音が悪いと言われ続けていますが、所有するLPで聴く限り、当時のライブ録音としてはまずまずだと思っています。カナダのCAVIRの音源で録音年は1957年と誤記されています。この演奏の音が悪いという印象は、恐らく正規で発売されていたKINGやオルフェオのCDのせいで、アナログ時代に苦労して見つけたセブンシーズの国内LPを最初に聴いた時には、「すげぇ・・」と脳裏に焼き付けられた演奏です。


買っちゃダメ。正規盤でもだめかぁ・・ということで、LPの板起こしをしてmp3付きで書けばもやもやさせずに済むと思い、重い腰をあげ書きます。実際には、タワーさんではないですが、96kHz24bitのハイビットサンプリング音源です。

ブラームス 交響曲第4番ホ短調
指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
ケルン放送交響楽団
1953年5月のライブ録音
録音 3.55点  演奏  4.75点

※誰にも真似でき無い演奏ということで


私がCDで一番良い復刻と思うのは上記THARAの限定盤の中の1枚。当然廃盤で入手難。ただし、他の同曲異盤はかなり音質が劣ります。特にシューマンはひどい。ただパルジファルは全曲録音された日と違う録音ということで貴重。

veniasレーベルのBOXにも入っていて期待していたのですが結果は残念。多分ORFEO音源と同一かと思います。ただ最後に拍手がついているのはvenias盤だけのような気がします。加工した形跡はないので多分放送テープからの復刻だとは思うのですが。

やっと本題。フルトヴェングラーの1947年の同曲の演奏もドラマティックな名演ですが、リマスタリングを繰り返されても演奏は最高ながら音がちっともよくならない、初版の国内LPが一番ましというのは共通。クナッパーツブッシュのこのライブの演奏は、金管楽器とティンパニの音を良く捉えたドラマティックかつデモーニッシュな名演です。「ここまでブラームスをガンガンに弾かすか・・・」という位にオーケストラを乱れながらも、唸らせ歌わせて咆哮させています。

まずはA面の第1楽章と第2楽章。クナッパーツブッシュとしてはテンポは早めで変かも結構つけている珍しい演奏です。が、腰が据わっているために遅く感じます。第1楽章の追い込みとトランペットのうるさくならない咽び叫ぶような強奏、第2楽章クライマックスでのぐっとテンポを落として音をちぎっては投げつけてくるような岩のように固い音塊がまず聴きもの。
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凄いですよね。言葉に表すことができないし、ジュリーニ・カラヤン・ザンデルリンク、最近ではアバドやラトルなどが演奏する同じ曲とは思えない響きを同じ楽譜から構築しています。

クナッパーツブッシュとしても力こぶがかなり入った演奏です。この1953年はバイロイトと喧嘩して唯一戦後出演しなかった年で、この演奏日の前後で丁度「出ない!!!」と返答したそうで、それで気が立っていたのかも(笑)という想いをぶつけるような宇野節でいう「アッパーカットのような」第3楽章の最初の和音。このLPでは聴いてわかるように演奏前の聴衆の雰囲気が残ったところから録音されているのでより「うぅ・・」ときます。

THARA盤などのCDではそこをカットしていきなり「ダッターラッタ・ラーター」と始まるので、アッパーカット感が薄れてしまっていました。今回板起こしをしてイヤホンで大音量で聴いてみて気づきました。たったこれだけのことで与える印象がかなり違うものです。しかしこの楽章のティンパニの地鳴りするかのような音の深さは何と言ったらいいか。

第4楽章は総決算で楽譜を抉りに抉りぬいた演奏でオーケストラとクナの全面対決。最後の方で少しアンサンブルは崩れますが何のその。余計に緊張感は高まり低弦は拘泥するように大きい音で低回し、ホルン・トランペットも疲れを知らぬかのように真っ直ぐに胸に刺さる音の連続。ティンパニもここぞここぞと自信を持って思い切り叩く。ヴァイオリンもこのままでは音が奴らにかき消されてしまうと弦を弓にぐっと力を入れ弾く。でも全体としてのバランスが整っている奇跡。この曲を聴いて唖然・呆然とすることはこの演奏以外では、フルトヴェングラー位しかない。ではB面第3・4楽章です。
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どうでしょうか?mp3にしたのでわかりにくくなったかもしれませんが、1953年ライブとしては悪い音だとは思えない。翌年のウィーンpoとのベートーヴェン・プロと傾向は違いますが同等レベルといっても過言では無いと思います。この演奏はクナッパーツブッシュ信者には有名なものの。あまりリマスタリング再発が無い不思議な演奏です。先ほどの1954年ベートーヴェン・プロとか1963年のブルックナー 第8番ライブも昔から「音が良かったらさぞかし・・・」と言われていましたが、この両ライブはここ数年でいい音源が出ました。

・参考過去記事
・ベートーヴェン 交響曲第7番ほか(ORFEO) クナッパーツブッシュ/ウィーンpo 1954年ライブ録音
・【改訂追記】ブルックナー 交響曲第8番 クナッパーツブッシュ/ミュンヘン・フィル 1963年スタジオ録音とライブ録音

ORFEOで駄目だったのでもういいテープは劣化して無いのかもしれません。平林復刻もあったみたいですが未聴。恐らくこのKING盤LPの原盤となるキャビアレコードLPからの板起こしではなかったかと思われます。今回THARA盤のCDも改めて悪くないなと思いました。(veniasは論外でした)
正直言えば分解能はTHARAに軍配が上がりますが、製音されているからかスピーカーから出てくる当時の雰囲気とか総体的な音像としての圧迫感は、板起こしの方が勝っています。難しいものです。

疲れましたが、やはり凄い演奏で凄い指揮者だったなぁと何度聴いても感嘆しきりのLPでした・・・

posted by 悩めるクラヲタ人 at 09:42| Comment(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月15日

チャイコフスキー 交響曲第5番他 モントゥー/ロンドン交響楽団 1963年ライブ


忘れ去られそうな巨匠ピエール・モントゥーの名盤から。ライブ録音のCDは数多く、「その場にいたら興奮しただろうな」という演奏・CDも多い。しかしながら「その場に居合わせたら終生忘れ得ぬ経験になっただろうな」という演奏も多い。
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後者の好例としてモントゥー晩年のウィーンでのロンドン交響楽団とのチャイコフスキー・プログラムの演奏会が挙げられます。爆演ではありませんし、クライバーやムラヴィンスキーのように興奮・屈服させるような演奏ではないのですが、何とも言えない幸福な時間が流れ「音楽っていいな」と感じさせてくれる演奏・記録です。

プログラム全曲がヴァンガード・レーベルで録音されており、録音状態も1963年の録音とは思えない鮮明なステレオ録音。プログラムは
チャイコフスキー 
・幻想序曲「ロメオとジュリエット」
・ピアノ協奏曲第1番 変ロ長調
・交響曲第5番ホ短調
ピアノ:ジョン・オグドン
指揮:ピエール・モントゥー
ロンドン交響楽団
1963年 ウィーン コンツェルトハウスでのライブ
録音 4.35点  演奏  4.60点



以前はKINGレコードが版権を持っていましたが、今はDENONが版権を持っているようです。結構廃盤になっては復活するの繰り返し。

「ロメオとジュリエット」の最初から素敵な演奏会だったことが窺えます。現在のセクションごとにこだわった演奏でなくマスで捉えた演奏で、ロンドン交響楽団がモントゥーと音楽する喜びが伝わってきます。晩年のモントゥーはピアニッシモはあまり使わすmpからffで勝負するというか、細かい音もしっかりと聴こえるように演奏しています。

バーンスタインの様な熱演スタイルではありませんが、しっかりとコクがあり常に80%の力で余力を持って鳴らしている。ここぞというところでも95%で金管・ティンパニを鳴らしうるさくならない。最後のティンパニ連打は録音が非常に良く捉えています。どの部分も音が細くならないし、歌わせ方が絶品。至芸というべきか。

ピアノ協奏曲第1番はアルゲリッチなどのようなバリバリとピアニストが頑張る演奏ではなく、オーケストラとピアニストがそれこそ協奏する演奏。この曲に演奏効果や迫力を求める人には物足りないかもしれませんが、こういう演奏を聴くとほっとする。

第2楽章冒頭の強めに演奏される木管と弦楽器のピチカートの伴奏の元、ピアノと絡むところは、第1楽章の熱を冷ますべく妙に神経質なピアニッシモで演奏されるよりもずっと素晴らしい。第3楽章もその調子で進むので少し物足りないですが、音楽的充足感は十分。



そして最後はモントゥーお得意の交響曲第5番。小林研一郎も得意にしていてアゴーギクの激しいその演奏は素晴らしいですが、モントゥーを聴いてしまうと芸格が違うなと思ってしまう。

コバケン録音は廃盤ですか・・・

モントゥーのこの交響曲の録音はライブ録音でもかなり残されています。ボストン交響楽団、フランス国立管弦楽団ともライブ録音、スタジオ録音もあります。一番激しいのはフランス国立管弦楽団との演奏ですが、残念ながらアンサンブルと録音はこの演奏に比べかなり劣る。

これはボストンでのライブ。

モントゥーのチャイコフスキーはあまり評価されていませんが、この第5番に関しては個人的にムラヴィンスキーの諸演奏に比べずっといいと思ってます。この交響曲を演奏する時は何故かモントゥーはかなりテンポを激しく動かします。それが実に堂に入っていて、違和感が無い。一つの話芸となっている。

第4楽章が特に顕著でどの演奏でも第1主題再現部でぐんっとテンポを落としてトランペットを強めに演奏するところが特に印象に残ります。全楽章で金管楽器はかなり強めに吹かせているのですが、けっして耳に刺さらないのは本当に不思議で、カラヤンの鳴らし方と何が違うのだろうと演奏行為の不思議さを考えさせてくれます。

第4番のスタジオ録音も素晴らしいです。

プログラムの締めくくりでオーケストラも暖まっている。両翼配置の弦楽器が効果的でヴィオラがこの演奏をしっかりと支えている。木管も不思議と良く分離して聴こえる。この頃のロンドン響の特徴の一つでもあります。第3楽章中盤のシンコペーションなど細かいところの配慮が行き届いている。第4楽章コーダはかなりテンポを動かしオーケストラを大きく鳴らして「ダッダッダッダッ」としっかり終曲。興奮とは違う不思議な充足感。

悩みましたが、我慢したモントゥーのBOX。

「春の祭典」の初演者として名を遺すだけの指揮者でないことを祈ります。派手さは無いけど、違いのわかる男の演奏は一筋縄では無い。リハーサル嫌いのウィーンpoもモントゥーとのリハーサルは喜んだという話もある一流の楽団が惚れる指揮者で、記録より記憶に残り続ける演奏をした指揮者だと思います。この演奏会は生で聴きたかったなぁと本当に思います。


関連記事
・チャイコフスキー 交響曲第4・5・6番 ムラヴィンスキー/レニングラードpo 1960年録音

・チャイコフスキー バレエ音楽「白鳥の湖」抜粋 モントゥー/ロンドン交響楽団 1962年録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 22:03| Comment(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月13日

ブラームス 交響曲第1番 フルトヴェングラー/北ドイツ放送交響楽団 1951年ライブ


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ベートーヴェンの「運命」「合唱」と同じ位に、フルトヴェングラーの芸風に合っていると思われるブラームスの交響曲第1番。演奏記録はかなり残っているのですが、録音が悪かったり演奏が物足りなかったりとあまり録音機会に恵まれていないような気がします。第4番は記録が少ないにもかかわらず名盤の誉れが高いのと大違いです。

1948年ティタニア・パラスとでのライブ録音。

第1番はEMIからそれなりの数発売されていますが、戦後に北ドイツ放送交響楽団と演奏したライブ録音が一番緊張感も高く、一期一会的な雰囲気が漂う演奏だと思います。こちらもCD化に際してはTAHARAレーベルから発売されていたもののリマスタリングがあまり良くなく、初版時のLPが一番音質がいい状態でした。デルタレーベルが復刻したCDは素晴らしく、元音源の少しざらっとした印象は拭えませんが、演奏の雰囲気をよく伝える良復刻です。変な加工も無いし。

ブラームス 交響曲第1番ハ短調
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
北ドイツ放送交響楽団
1951年10月27日 ライブ録音
録音 3.50点  演奏  4.60点


入手難なのでaltusがリマスタリングし直したものの方がいいのかも。


最初のティンパニから壮絶でこうでなければという音。最近の演奏は淡々と進んでしまいますが、やはりこのように物々しく最後は溜めて「ダンッ!」と重く深い音でないとと思わせてくれます。オーケストラの面々がフルトヴェングラーの棒を凝視して揃えなければという緊張感も感じる和音。その後も悠然たる流れで、ブラームスの音楽を堪能させてくれます。特にアゴーギクもないのですが、流れがよく音がぶ厚い。

この北ドイツ放送交響楽団の演奏会に臨むリハーサルにフルトヴェングラーが臨んだ際に、戦前にベルリンpoに在籍していたメンバーの顔が多数あり、指揮者・オーケストラ双方とも再会を喜び分かち合いながらリハがスタートしたとの逸話があります。当日のプログラムは「ハイドン変奏曲」とこの曲でしたが、デルタのCDでは「ハイドン変奏曲」の代わりにブラームスのハンガリー舞曲の復刻がカップリングされています。そこがちょっと残念。

第2楽章は弦楽器主体のアンダンテ。ゆったりとしたテンポで、艶がありながら悲哀を湛えた独奏ヴァイオリンとそれを包み込むような弦楽器群、木管楽器・金管楽器の嫋やかな音色。「あなたとまたこのような演奏が出来て良かった」という楽団員の気持ちが込められているかのような渋みのある演奏。

TAHARA盤は音質がちょっと。

第3楽章も同様の流れで始まりますが、楽章が進むにつれ徐々に熱を帯びていき第4楽章への伏線が張られていくのがわかります。第2楽章では弦楽器主体で木管・金管がそれを支える構図でしたが、第3楽章では逆転に転じ、中間部以降は両社はぶつかり合い始めます。弦楽器は斬り込むような音に変化し、トランペットは警句を発し始めます。比較的短いアレグレット楽章ですが、長閑な雰囲気と旋律の中に表情の変転が激しい。最後は落ち着きを取り戻し、第4楽章の美しいホルンの主題につなぐかのような沈みゆく感じで終曲。

第4楽章は第1楽章のように緊張感がぐっと増し、深い音色・弓をぐっと押し当てた低弦の音色からぐっと魅かれます。主題の旋律に逸る聴き手の前に、弦楽器群がいや待てと荒々しく各セクションが拮抗しながら進み、ティンパニの一撃でようやくホルンが穏やかに歌い始める。フルートと絡み合いながら有名な旋律とコーダの伏線を準備します。会場でにいた方は幸せな時だったことでしょう。戦前のベルリンpoのような音色です。

ようやく有名な弦楽器に主題が入ってから基本的な流れ・響きはそのままですが、テンポ・表情変化は激しく如何にもフルトヴェングラー的な名演。コーダ前の第一次クライマックスの部分では「タッタッタッ・ダーダラッ!」と繰り返しの後の「ダーーーーーー」の前に効果的な間の後、トランペットが少々フライング気味な破滅的で濁った音が印象的。通常は同じテンポのままで進んでしまい、緊張感の欠片も感じさせてくれないのでこの演奏を聴くと他の演奏は物足りない。

次点は1952年のベルリンpoとのライブでしょうか。少し燃焼度に欠ける。フルトヴェングラーとしては理性的です。

コーダについては理想的。ホルンの暗い響きが心地よいし、若かりし頃のアッチェレランド一辺倒ではなく歌心も忘れず、オーケストラを存分に鳴りきらせてモノラル録音だということも忘れてしまう程の見事な締めくくり。オーケストラの器用・音量を誇示するかのような演奏では無い。ちゃんと伏線があっての熱狂的なコーダです。やはりフルトヴェングラーには相応しい曲だと思わせてくれます。オーケストラの棒に合わせようとする気概が、慣れたウィーンpoとベルリンpoのそれとはちょっと違います。「また一緒に演奏できるかな」という想いもこもっているように感じます。

何度も繰り返して耳にしようとは思いませんが、ブラームスの交響曲第1番ならやはりこの演奏を手に取ってしまいます。DELTA盤は音がいいので中古で見つけたら購入すべきです。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 07:12| 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする