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2017年09月25日

ムソルグスキー 「展覧会の絵」&「禿山の一夜」 ゲルギエフ/マリインスキー歌劇場o 2014年録音


ムソルグスキー(ラヴェル編曲)による管弦楽組曲「展覧会の絵」はやはり優秀な録音で聴きたい。ムソルグスキーのたおやかな部分をラヴェルが天才的な管弦楽法で味付けした音響のパースペクティブを堪能したいものです。
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アバドとベルリンpoとの録音も優秀録音でしたが、今思うとちょっと威力的でベルリンpoの機能美重視で遠近が無いというかもう少しふわりとしたゆっくり絵画的な色彩感や響きが録音と共に欲しい。最初のプロムナードのトランペットから堂々たるもので「絵を見るぞ、見てやるぞ」という歩み。これは贅沢な要求です。絵画の洒落っ気というか行間を埋める何か。

でゲルギエフの再録音。2回目のウィーンpoとのものも名盤として名高い。最近は自主レーベルで再録音が目立つ傾向のゲルギエフですが、進境は著しいものがあると個人的には思います。ブーレーズみたいに「なんだか丸くなったな」という方もいるでしょうが。

ムソルグスキー(ラヴェル編曲) 組曲「展覧会の絵」
ムソルグスキー 交響詩「禿山の一夜」原典版
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ
マリインスキー歌劇場管弦楽団
2014年録音 ハイブリッドSACD
録音  4.60点   演奏  4.70点


下記旧録音とお間違えの無いよう。この時の禿山はリムスキー=コルサコフ版です。



控えめでホールに馥郁と響き渡る柔らかなトランペットの旋律から余裕を感じさせ、「これからどんな絵が見れるのかな」という気持ちになる歩みです。マリインスキー歌劇場コンサートホールは響きがそもそもいいホールなのか、フォーカスはぼやけることなく距離感がしっかりと感じ取れます。ソロの部分の高音域への伸びは気持ちがいいし、バスのぐっと引き締めるときのストップも効く。是非足を運んでみたいなぁと思うホールで録音。

この頃とはもう違います。

その後も少しゆっくり目のテンポでしっかりと一枚一枚の絵を味わいながら、そして絵を見て想像力を掻き立てるような演奏が続きます。昔と違って尖った音やアゴーギクを駆使しないので、根っからのゲルギエフファンには物足りないと感じるかもしれません。

今のゲルギエフはワーグナーやブルックナー(マーラーも?)などおよそ彼の芸風にそぐわないレパートリーを経て、なんだか表現の幅というかゆとりを持って、彼本来のレパートリーを再度見つめ直して最近は演奏しているような気がします。決して遠回りではなかった。それを手中に収めたロンドン交響楽団や長き付き合いで自分の楽器ともいえるマリインスキーで今じっくり取り組んでいるのではないかと。とはいえ、逆に今ストラヴィンスキーを録音しても昔のような鮮烈な演奏は流石に出来ないでしょうが。



楽器の扱いの妙と表情の変化・響きの変化で聴かせてくれる大人の「展覧会の絵」です。録音も鮮明というかきめ細やかなのでラヴェルの魔術も透けて見えるよう。足を引きずるような「小人」、「ピドロ」におけるモノトーンな寂しく重たい響き、「雛の踊り」での管楽器の絡みの聴かせ具合の巧みさ、一転「リモージュの市場」では早足で早く買い物をと忙しなくなと多彩で絵が活き活きと浮かび上がる。時々ゲルギエフ節は感じますが。

ベルリンpoとの2010年の「キエフの大門」。4年でかなり大人になったなぁ。

それでいてロシア的な要素を感じさせてくれるところもいい。それは上手すぎないというかロシアの響き残るマリインスキー歌劇場管弦楽団の各セクションだからでしょう。

「ババ・ヤガー」「キエフの大門(因みに最後の大太鼓は1拍ずれる版です)」でも力づくでなく85%位の力で悠然と余裕をもって鳴らせるところは、勢いでぐいぐい行くドゥダメルあたりとはまだまだ格が違う。最後にはしっかりとあぁ楽しいひと時だったなという余韻にも浸れる残響。ブラヴォーと叫んでしまうのではなく、オーケストラ料理をおいしく堪能したなという演奏です。

「禿山の一夜」原典版も見事。こちらは少し力こぶが入っていますが、楽譜を丹念に読んで演奏していることは明白でアバドよりもこちらは断然上。粗野でもあるし洗練されてもいる。そしてこんな音も!と隠れていた音が聴こえる(あざとく目立たせるためでなく)。もうR=コルサコフ版の演奏はいらないやと思うほど原典版の魅力を教えてくれます。

たまたまみつけたムーティとシカゴ響とのR=コルサコフ版。今でもこんなの演奏してくれるんだ。

原典版での演奏はアバドの蘇演以来結構行われており、サロネンの録音や最近ではパーヴォもN響定期で振りましたが、整理・清廉潔白が過ぎちょっとオーケストラの機能を見せつける演奏で物足りないと思いました。ゲルギエフは流石。最後の和音の処理はみな違うのですが楽譜ではどうなっているのでしょうか?

サロネン盤。録音優秀で賑やかで迫力満載の管弦楽作品集。「春の祭典」「中国人の不思議な役人」と禿山ですから。e-onkyoで安くハイレゾ配信されているので今はそちらの方がお得かも。


アバド盤ではフォルティッシモでダン!と終わらせていますが、サロネンは消えゆくように、ヤルヴィはピアニッシモでチョンッと演奏しています。ゲルギエフは管楽器のピアノで落ちをつけるようにトンッと終わります。アバドで慣れていると最初違和感がありました、ゲルギエフの落としどころもありかなと思います。

最後に、このCDではバスのフェルッチョ・フルラネットを独唱者に迎えた「死の歌と踊り」が含まれていますが、流石の歌唱で埋め草になっていないのもうれしい誤算。

昔買った来日公演でのチェリビダッケ盤は重すぎて聴けなかった。棚にはもうないやと気づかせてくれたゲルギエフ新盤でした。

関連記事
・ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」 アバド/ベルリンpo 1993年ライブ録音
・ラヴェル バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲 ゲルギエフ/ロンドンso 2009年ライブ

ラベル:優秀録音 SACD
posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:10| Comment(0) | 管弦楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月23日

チャイコフスキー 「くるみ割り人形」抜粋 ムラヴィンスキー・レニングラードPO 1977年来日ライブ


ムラヴィンスキーの1977年来日ライブ録音CD、シューベルト「未完成」にカップリングされているチャイコフスキーの「くるみ割り人形」から抜粋です。

チャイコフスキー バレエ音楽「くるみ割り人形」から抜粋
指揮:エフゲニー・ムラヴィンスキー
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
1977年10月 大阪フェスティバルホールでのライブ録音
録音 4.25点   演奏 4.60点



組曲とせず抜粋としているのは、通常演奏される「くるみ割り人形」の組曲(以前、クナッパーツブッシュの「ポピュラーコンサート」の中で取り上げました)とはまったく違うからです。ムラヴィンスキーは、全曲から下記の曲を抜粋して演奏しています。彼の場合、常にこの抜粋版で演奏しています。
第6曲:客の退場、夜、ネズミの出現
第7曲:くるみ割り人形とネズミの戦闘、くるみ割りの勝利と王子への変身
第8曲:冬の森
第9曲:雪片のワルツ
第14曲:パ・ド・ドゥ
第15曲:終曲のワルツ(全曲のフィナーレです)
この抜粋版は、通常の組曲よりもポピュラーな旋律ではありませんが、詩情豊かな優れた曲(特にパ・ド・ドゥと終曲のワルツ)をが選ばれています。


前半部分です。

昔。上記の映像の裏ビデオ(言い方悪い?)を、高校生の少ないバイト代をはたいて入手しました。今は市販されていますが、VHSだったので音質は悪かった・・で、映像が凄いものでロシアで放送されているテレビ画面を、正面からビデオカメラで撮影したものでした(笑)最初に、カメラをセットする人が横切るのですから本当に笑えました。当時のロシアでは家庭にビデオレコーダーなんてものは無かったのでしょうが、凄い苦肉の策。演奏には感動し、是非いい音質でこの演奏を聴きたいと思っていたのですが、よい音質では残っていない・・・
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タワーレコード限定版のCDでリマスターされても駄目でした。すぐに売りました。

思い出話はさておき、演奏ですがこの手の音楽にも手を抜いていない、気楽に聴ける演奏ではないです。バレエ音楽をより上等なものとして仕上げています。徹底的にリハーサルした形跡を感じ取ることができ、その統率力には頭が下がります。第7曲終盤の弦楽器と木管のテンポ・音量バランスなど。曲想によって管楽器・金管楽器をくすんだ音色で演奏させたりと、楽譜を徹底的に読み込み抉り抜いています。終局のワルツの陰影のつけ方からフィナーレの迫力までは特に凄いものです。

ただ、先の「未完成」ではよい方向に走ったオン気味で打楽器・管楽器よりの録音が、少しこちらの場合は耳につきます。シンバル・トライアングルが活躍し、ブラスも盛大になる曲なので時に弦楽器などをマスクしてしまう場合があります。パ・ド・ドゥのクライマックス部分など。それを差し引いても、映像で残っている演奏や【憎むべき】記録録音として発売された東京ライブでの同曲のCDを遥かに凌駕しています。最後の和音が脳髄まで響きます。

その後半部分です。

この映像はドリームライフからDVDで発売されましたが、現在廃盤で中古でしか手に入りません。貴重な映像満載ですが、映像の質も当時としては悪く、音も全てモノラルです。熱心なムラヴィンスキー・ファン以外にはお薦めできません。


このCDには、ウェーバーの「オベロン」序曲も収録されていますが、そちらも最初のホルンからやられます。機会があれば手にとっていただければと思います。ムラヴィンスキーの至芸が堪能できます。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 05:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 管弦楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月21日

レハール ワルツ「金と銀」 ケンペと隠れ名盤ガーディナーの録音


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ワルツと言えばヨハン・シュトラウス親子ですが、それに負けず劣らずというかその1曲でシュトラウスの作品群に勝るという曲にレハールのワルツ「金と銀」、あとオッフェンバックの「ホフマン物語」からの舟歌などがあります。

昔から「金と銀」に関しては、ルドルフ・ケンペとシュターツカペレ・ドレスデンの名盤が有名です。
レハール ワルツ「金と銀」
指揮:ルドルフ・ケンペ
シュターツカペレ・ドレスデン
1972年 スタジオ録音
録音 4.40点  演奏 4.60点


タワーレコードさんの独自企画でSACDもあります。
【SACDハイブリッド】金と銀〜ウィンナ・ワルツ・コンサート<タワーレコード限定>

ハイレゾ配信はまだされてないので、貴重ではあります。

レハールのワルツはそれなりに作曲され残っていますが、彼のオペレッタの題材から抜き出された旋律を基にしたものが多い。その中でこの「金と銀」は生まれを異にし、1902年の舞踏会用のために作曲された単独の作品です。曲頭から金銀の粉を振りまくような装飾音を伴った明るい音彩から軽快な気分にさせてくれます。全体的なイメージとしては、J・シュトラウスの曲よりもちょっと賑やかな部分もありつつ、どっしりとした地に根を張った踊り感があります。短時間の曲の中に踊る楽しさの中に愛らしさもあり哀切感もあります。

演奏によってはシンバル・トライアングルなどの打楽器がかなり目立つので華麗で豪華絢爛になり、派手派手しい曲に聴こえますが、第1ワルツの深々としたワルツの旋律はドナウ川よりも大河流るるといった感じの旋律は非常に魅力的です。ちなみに曲名の銀は舞踏会場の踊り場、金は会場の壁や天井に施された装飾を意味します。ちょうどウィーンpoの本拠地ムジークフェラインザールのようなイメージです。

さてルドルフ・ケンペというとすぐに「燻し銀の名演」と言われますが、この曲の演奏は正統ドイツ伝統の音色で奏でられるワルツです。決してオーケストラを煽らず走らせないケンペの指揮も見事ですが、この名盤はひとえにシュターツカペレ・ドレスデンの音色とルカ教会という優れた録音会場に依るところが大きい。レンジの広さや解像度などは現代の録音に劣りますが、アナログ的な音調の良さは捨てがたい。

さっき書いたように下手するとうるさい演奏になりがちですが、ケンペはその部分のバランスが最適。そこには当時のシュターツカペレ・ドレスデンの三角バランスの整った特有の音(言い方は古いのでしょうがいわゆる仄暗い当時の西側の音)が一役買っていることは間違いなしでしょう。コーダのトランペットも高らかですが、軍楽隊のような音になっていない。

ケンペとウィーンpoとの録音。ケンペの懐深い指揮も見事。軽音楽としてではなくしっかりとコクのある音でこの名ワルツを指揮しています。このCDに含まれる「こうもり」序曲も同傾向の名演。C・クライバーの演奏よりも個人的には好きです。

ところでこの曲には意外に知られていない名演として、あの人は今的な存在 ジョン・エリオット・ガーディナーとウィーンpoの関係が良好だった時期の録音があります。これもまたタワーレコードさんが独自企画で復活させてくれています。
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レハール ワルツ「金と銀」
指揮:ジョン・エリオット・ガーディナー
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1999年 スタジオ録音
録音 4.55点  演奏 4.65点

レハール: 喜歌劇「メリー・ウィドウ」, ウィーンの夜会<タワーレコード限定>

だまされたと思って上記を聞いてみてください。ガーディナーの指揮だとは誰も思わないでしょう。ニューイヤーコンサート指揮してみたら面白かったかも。しかしこのCDが発売された時は「誰がガーディナーのメリー・ウィドウなんて買うんだ?」と思った記憶がありますし、評判もあまり芳しくなかったような。でも先入観を消して聴いてみると、意外と悪くないのですよね。ただ古楽器指揮者のイメージがまだ強い頃でしたから。

この曲をよく知らない時、カーラジのFMから流れるこの曲・この演奏を聴いて、「シュトラウスのどのワルツ?こんないい曲といい演奏誰だ?」と最後のナレーションまで聞けなかったので、無駄にボスコフスキーのLP・CDを買ってしまいましたが、よくよく調べたらガーディナーの演奏で、しかもレハールのワルツでした。ガーディナーの録音したCDは多いですが、これは隠れ名盤と言ってもいいかもしれない名演奏です。


このフェドセーエフの演奏も面白い!オーケストラがウィーン交響楽団なのがいいですね。


posted by 悩めるクラヲタ人 at 19:19| Comment(0) | 管弦楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする