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2017年09月14日

ベートーヴェン 歌劇「フィデリオ」 ベーム/ドレスデン・シュターツカペレ 1969年録音


歌劇は昔はレーベルが威信をかけて制作した部門でしたが、最近はスタジオ録音でリリースされることは稀です。「金がかかる」というのが大きな要因でしょうが、現代人がゆっくりとオペラ全曲を聴いている時間が無く需要が無いというのも一つの理由ではないかと思います。そもそも時間を持て余したヨーロッパ貴族階級の最高の娯楽ですから。

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ベートーヴェン唯一の歌劇「フィデリオ」は、休みに気楽に聴ける歌劇ではありません。しかしベームと言えば「フィデリオ」がまず思い浮かびます。それほど彼の愛した作品ですし、相性も良かった。重要な場面では必ず取り上げる演目でした。多くの同曲異演盤が残っていますが、一番録音状態のいいドレスデン盤を。



ベートーヴェン 歌劇「フィデリオ」全曲
ギネス・ジョーンズ(S)
ジェイムズ・キング(T)
エディット・マティス(S)
テオ・アダム(Bs)
マルッティ・タルヴェラ(Bs)
ペーター・シュライヤー(T)
指揮:カール・ベーム
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
カール・ベーム(指揮)
録音 4.25点  演奏  4.
40点

なんと豪華な歌手陣。しかし、入手難に…

歌手が揃っているし、前にご紹介した「ドン・ジョヴァンニ」と共にベームのCDの中でリマスターで見事に蘇ったと思います。LPで聴いた時は乾いた音でなんだかなぁと思っていましたが、元々ルカ教会での録音なのでそんな訳ないはず。リマスターで響きがちゃんと再現されており、それでも多少デット感はありますが、オーケストラが明瞭に聴こえる点では嬉しい。

ベームの「フィデリオ」ではベルリン・ドイツ・オペラとの来日公演が今でも語り草になっているほどの名演でした。国内で一度発売されましたが、すぐに廃盤。メモリーズからひっそり復活しています。

当時のライブ録音としてはステレオですしいい方ですが、拍手でオーケストラがかき消されるところがあるのと、ここぞという決めの部分でマイクが捉え切れておらず私には不満。とはいえ序曲「レオノーレ」第3番の最初の和音はのけぞるような凄い音です。その為にとってあります。


日生公演ライブの丁度聴きどころ。レオノーレ序曲は無しですが。





歌手は今このレベルを達成できない高いレベル。ベームがアンサンブルをしっかりと整えています。そしてオーケストラの意味深い響き。決してベートーヴェンの中では傑作(名作ではありますが)とは言えないこの歌劇を立派な音楽に仕立て上げています。先のライブ程ではありませんが、隈取りがしっかりしており音楽に勢いがあります。ゆったりしたテンポのイメージがあるベームとしてはテンポは全体的に早めで凝縮した響き。


この盤の序曲。あれ・・・国内盤LPの音が酷かっただけか??

この歌劇での聴きどころは序曲2曲とドラマの山場である第15曲の3重唱と続く第16曲フィナーレにつきます。特に第15曲の3重唱の最後の畳みかけるような追い込みはベームで聴くとドラマティック。


ライブ盤では音がここで引っ込んでしまい不満足でしたが、スタジオ録音では満足できました。ドレスデン・シュターツカペレも尻を叩かれ美音を多少犠牲にしてもベームの気迫についていっています。この曲の良さを十分堪能でき、歌劇を聴く愉しみに浸れる演奏です。(濃縮ベームなので多少疲れますが)

フィデリオの名演奏は少ない。ラトル盤もさっぱりでしたし、今後もこれだけの完成度を感じさせてくれる指揮者や歌手はいなさそうです・このベーム盤以外ならばバーンスタイン/ウィーン盤が名盤。CDでも残っていますが、私はDVDの歌劇場公演盤がお薦め。最後のウィーン子の興奮ぶりも見ることができます。



序曲だけでも痺れる。

歌劇を楽しめる時間と楽しませてくれるような時代はまた来るのでしょうか?

posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:57| Comment(0) | TrackBack(0) | オペラ・声楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月07日

ヴェルディ 歌劇「ファルスタッフ」 ジュリーニ/ロサンジェルスpo 1982年ライブ録音


ヴェルディのオペラはそれほど聴くほうではありません。聴くのはクライバーの「椿姫」「オテロ」、ムーティの「オテロ」DVD、ジュリーニかトスカニーニの「ファルスタッフ」位でしょう。「仮面舞踏会」「リゴレット」「アイーダ」などは全く・・・一番良く聴くのはやはり「レクイエム」でしょう。序曲集や間奏曲集は聴きますが、どこか苦手意識があるのか全曲はちょっと敬遠気味。
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悲劇ばかりというのも苦手の原因の一つでしょうが、唯一の喜歌劇「ファルスタッフ」は肩の力が抜けていて楽しい。ワーグナーと言い最後の作品は喜劇を選んだのは興味深い事実です。20世紀のファルスタッフ歌手と言えばタディですが、カラヤンの指揮がちょっと重すぎる。

「ロスのオーケストラにオペラの愉しみを教えたくて」とジュリーニが久しぶりにオペラを指揮したブルゾンとのCDがお気に入りです。

ヴェルディ 歌劇「ファルスタッフ」全曲
レナート・ブルゾン
カーティア・リッチャレッリ
レオ・ヌッチ
ルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニ
バーバラ・ヘンドリックス
ダルマシオ・ゴンザレス
マイケル・セルズ、他
ロスアンジェルス・マスター・コラール
指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
ロスアンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団
1982年 ライブ
録音  4.50点   演奏  4.60点


輸入廉価盤。なぜかベームのモーツァルトもそうですが、この廉価シリーズは音がいい。国内盤は廃盤状態・・・

ムーティもDVDで見ましたが、やはりこのジュリーニの久しぶりに楽しそうにオペラを指揮する演奏に心惹かれます。オーケストラも楽しそうに演奏しています。多少アメリカのオーケストラ特有の音色の明るさが顕著ですが、このドタバタオペラには逆に合っている。明晰な木管の絡み具合や明るい弦楽器・フルート・トランペットの音色です。それがまたジュリーニの采配で歌を邪魔しないというか華を添えるような名伴奏。

歌手陣は今考えると非常に豪華ですね。当時ロッシーニ歌手として名を馳せた少し強面のテッラーニ(笑)、可憐なヘンドリックス、名脇役ヌッチ、タディのような滑稽さには少し欠けますが安定感のあるブルゾン。彼らもジュリーニが久しぶりにオペラを振るジュリーニの下で歌うのが楽しそう。少しゆったり目のテンポですが、一音一音慈しむかのような流れのある演奏で、それが逆に滑稽さを助長しているような気もして微笑ましい。見事な演奏ではありますが、トスカニーニの指揮ぶりはファルスタッフには少しストイック過ぎる気がします。


ムーティのヴェルディ愛は半端ないですが。オテロなど悲劇向き。





1950年代はマリア・カラスの伴奏やミラノ・スカラ座の音楽監督などオペラ指揮者として大活躍をしていたジュリーニですが、1960年代に入るとパッとオペラから手をひいてしまいました。いろんな葛藤・思惑が錯綜するオペラ座というのが、優しいジュリーニにはきついのもあったでしょうが、全てにおいて責任を全うできない(上手くいかない)のが完璧を求める彼には辛かったみたいですね。

「音楽以外のことに関しては全く関与しなくていい」という破格の条件で、ロスアンゼルスpoの音楽監督を引き受けた話は有名です。要は好きな曲を好きに指揮していい、団員の管理やオーケストラの運営は経営陣がやるからというのは凄い条件です。良好な関係でしたが奥様の看病があるからという理由で別れを告げ、ヨーロッパに戻ったジュリーニ。このアメリカ時代、シカゴsoやこのロスpoとの共演時代が一番というジュリーニ・ファンも多いですね。


比較的録音の良いジュリーニのオペラ録音は、あとウィーンpoとの「リゴレット」位しか残っていません。

そちらも名盤の誉れ高いですが、こちらの「ファルスタッフ」の方がじわじわと評価が上がっているような気がします。ロスアンゼルスだけではもったいないと、同じプロダクションでロイヤル・オペラ座でも取り上げました。こちらもマニアの間では貴重な映像として有名。私も所持していますが、楽しそうな雰囲気を見ることができるのはいいのですが、やはり音質に難がありこちらのCDの方が手に取ることが多い。


ヴェルディのオペラは苦手という方も是非「ファルスタッフ」位から聴き始めると面白いと思います。有名な序曲やアリアはありませんが、楽器と人間の声が戯れる娯楽の殿堂を堪能できます。

ラベル:名録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 08:36| Comment(0) | オペラ・声楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月29日

ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 クナッパーツブッシュ/バイロイト祝祭o 1960年


ワーグナーの歌劇・楽劇のLP・CDは、昔から購入リスクが高い(演奏時間が長いため枚数が多く、録音がダメだったり駄演だと痛い)ためあまり購入していませんでした。実際に今も棚に多くはありません。とはいえカイルベルトのバイロイトの「指環」、クナッパーツブッシュの1956-58年のバイロイトの「指環」と朝比奈の「指環」がありそれだけでもかなりのボリューム(ショルティは無し)。しかし購入したのは廉価になったここ数年のことです。

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そんな中でこのクナッパーツブッシュの1960年バイロイト音楽祭の「マイスタージンガー」は、ずっと前から手元にありました。そもそもワーグナーを聴き始めが大体「タンホイザー」序曲か「マイスタージンガー」前奏曲と相場が決まっていますからね。でもその中で何故単体では一番長い「マイスタージンガー」でしかも1960年のクナのライブかと言いますと・・・

ワーグナー 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲
ヨゼフ・グラインドル(ザックス)
ヴォルフガング・ヴィントガッセン(ワルター)
カール・シュミット=ワルター(ベックメッサー)
テオ・アダム(ポーグナー)
ゲルハルト・シュトルツェ(ダヴィッド)
エリーザベト・グリュンマー(エヴァ)
指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
1960年 バイロイト音楽祭ライブ
録音 3.70点  演奏  4.70点



しかし、凄い豪華な布陣。25年前に高価だし危険性もあるにも関わらずなけなしの金でこの演奏をLPで手に入れようと、輸入盤屋(LP)に注文しましたが3か月待っても入荷しなかった。ネットも無いし海外で廃盤なのかもわからずうやむやにされてしまいました。

約15年前にレコード芸術の店舗広告で見つけて伊メロドラムのCDで手に入れ、その後ゴールデン・メロドラム盤に買い替えて最近まで聴いていました。メロドラム両盤は1960年という録音年としては少しこもり気味の音ですが、低音が豊かなので演奏の重厚感と歌手の豪華な饗宴に文句も言えずまず満足していました。

何故に聴く前にこの演奏に魅かれていたのかというと、「マイスタージンガー」前奏曲のポケットスコア(全音)を買ったのですが、その解説(高木卓氏)の中に「実演に接した1960年のバイロイト音楽祭でのクナッパーツブッシュの舞台は実に見事なものだった」という一文があったから。

今でも変わっていないみたいですね。通常、ポケットスコアの解説には淡々と楽曲説明をするだけなのに、この一文をぶっこんでくるとはよほど凄い演奏だったのだろうと思ったわけです。

その時にはまだ前奏曲しか知らなかった。でも聴いてみたかった。その頃NHKでスウィトナーとベルリン国立歌劇場来日公演「マイスタージンガー」全曲が放送され見たのですが長い、4時間超える。間延びする部分もある訳ですが、ワーグナーの中では時間を除けばストーリーも音楽も聴き易いとも思いました。1幕の最後のドタバタと第3幕が印象に残り、やはりクナの演奏を聴いてみたいと思ったものです。


あるんだ・・・調子が良かったスウィトナー。

で、演奏ですが期待に違わぬ素晴らしい演奏。クナッパーツブッシュは前奏曲から調子がいい。通常遅いテンポで演奏するのがクナ流ですが、何故かマイスタージンガーに関してだけはいつも中間テンポを採用。前奏曲も早めのテンポで前進性があり気迫漲る。このまま4時間持つのか?と思う程ですが、持つんですよね。

第3幕の前奏曲での一転悲劇的な響き、楽劇全体も祝祭的でありながらワーグナーの重みもしっかりと感じさせる演奏。歌手もヴィントガッセン、グラインドルの全盛期ですから文句なし。当然ライブならではの傷はありますが、全体としてみればそんな些末なことは気にならない。


ヴィントガッセンと言えばジークフリート。

グラインドルとヴィントガッセンの映像。バイロイトの映像ですが、指揮は忘れ去られた指揮者トマス・シッパース。

録音に関してはメロドラム盤も低音が豊かでそこまで悪くなかったです。今回買い直すのは正直ORFEOなので躊躇していましたが、クナの音源に関しては信頼できるHPで「買い直す価値ありの音質」ということでしたので。

ORFEO盤はメロドラム盤に比べ全体的に明瞭で、声に関しては非常に伸びやかになっています。聴衆ノイズ・舞台上のノイズもそのままなので臨場感があります。これは良リマスタリングです。アイヒンガー&クラウスは引退したのか、やっと評判が悪いとの声が届いたのかこのCDの担当ではなく、スティッケルという方が担当しています。耳が良い人らしい。(前に酷評した新発見のローエングリンも同じ担当者なので、やはりあれはマスターの問題か)

声が明瞭になった分、オーケストラが少し引っ込んだような印象に感じになってしまいましたが、恐らくバイロイト祝祭劇場のバランスはこのようなものと推察されます。今まで霞がかかっていたような音から靄がとれ、クナが如何に上手く歌手とのバランスをとり楽譜の細部にまで気を遣って演奏していたかがわかるようにもなりました。1960年の録音、モノラル最終期の録音としては最上の部類に入ると思います。


カラヤンの第3幕への前奏曲。悪くないですが・・・

「マイスタージンガー」の著名な録音ではヨッフム盤やカラヤン盤がありますが、上記の思いれが強すぎて聴く気も起らない。聴こうと思ったのはティーレマン/ウィーン国立歌劇場のライブDVDのみ。

評判がよく、腰の据わった響きはいいのですが、序曲からちょっとティーレマンの悪い癖(特にダッ・ダダダーという旋律に対する意味不明なピアノからのクレッシェンド)が出ているような気がします。全体的に弛緩した部分と勇み足も見える。何より歌手が全盛期のバイロイト常連に比べてしまうと見劣りが・・・こればかりはどうしようもない。


ホルスト・シュタインのバイロイト音楽祭でのマイスタージンガー終曲部。

作品に合わせ長い記事ですが、それだけ積年の想いが詰まっている演奏記録です。こんな演奏が繰り広げられていたバイロイト音楽祭が本当にうらやましく思います。この音質で1958年のクナの「指環」が出てくれれば・・・・と欲が出てしまう逸品です。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 07:56| Comment(1) | TrackBack(0) | オペラ・声楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする