中高年の健康管理には「サントリー健康食品オンラインショップ」

2017年12月25日

ブラームス ピアノ四重奏曲第1番 アルゲリッチ・クレーメル他 2002年録音


ピアニストのCDとしては、アルゲリッチのCDが一番多く棚にあります。(コルトー、イヴ・ナット、フランソワ、ホロヴィッツの激安セットもの含めても!)若い独奏曲を弾いていた時代のものは少なく、ほとんどが協奏曲やデュオのCDです。
20170104172444647.jpg
「その中で一番は?」と言われると、曲として地味ですがこのCDを絶対に薦めます。

ブラームス ピアノ四重奏曲第1番 ト短調
ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
ヴァイオリン:ギドン・クレーメル
ヴィオラ:ユーリ・バシュメット
チェロ:ミッシャ・マイスキー
2002年 ベルリンでのスタジオ録音

録音 4.55点 演奏 4.75点

e-onkyoでもこの名盤がハイレゾ音源で、今なら廉価入手できます。より細部が鮮明になり、特にバシュメットのヴィオラとマイスキーのチェロの音に厚みとリアリティが増すように感じられました。


この曲はシェーンベルクによりオーケストラに編曲もされていますが、それほど有名ではないのではないかと思います。ピアノ協奏曲第1番と同時期に作曲したもので、ブラームスの情熱的な傑作です。

いつもながら開始は暗いピアノの音から始まりますが、その後は各楽章明暗のコントラストが上手くつけられており、晩年のように地を這うような暗さはありません。

第4楽章は哀愁を湛えながらも情熱的なジプシー風な主題が特徴的で、フィナーレに向かって熱狂を増して終曲します。まずは第4楽章からでもいいので耳を傾けて頂きたいと思います。

録音は悪いながらも、ブッシュ弦楽四重奏団(第2ヴァイオリン抜き)とルドルフ・ゼルキンの名盤です。
70726f647563742f32303133303832355f3563363335642e6a7067003330300000660066.jpg


この曲を現代を代表するソリスト達が結集し録音したのがこのCDです。しかも皆全盛期だった時の演奏で奇蹟のようなCD。基本的にアルゲリッチのピアノが引っ張っています。最初のピアノの導入部から空気を作り出し、強い打鍵でブラームスの若書きを描くかと思いきや、第3楽章では艶めかしい音色を出したり、第4楽章のコーダでは一気呵成のアッチェレランドの仕掛人となります。時折出す左手の強調とスッと身を引くタイミング良さが光ります。

クレーメル・バシュメットも負けていません。常に冷たく乾いた音で刺すような響きをぶつけるクレーメル、埋もれがちなヴィオラを人間の声のように操り語り掛けるようなバシュメット。

特に、第1楽章第2主題が展開していく際にソロで奏でる部分は、「ほらヴィオラの響きは素敵でしょ」というかのように柔かく強い音で弾く部分は印象的です。マイスキーはこの中では逆に埋もれがちですが、うまく支えています。



4人の個性派が個性を潰すことなくうまくブレンドされているこの録音・演奏は、何度聴いても呆気にとられます。ライブ録音のように挑発的で刺激的な名演です。アルゲリッチの良いところが全て詰まっており、なおかつ曲の価値も高めています。録音も素晴らしい。

このピアニストの独創性と協調性が見事に融合したこの演奏は、アルゲリッチを知るために格好の一枚だと思います。
この曲の録音でこれを越すような名盤は今後現れないだろうなぁ、もう他のCDは要らないと確信する1枚です。こんな豪華な布陣は考えられない。


ラベル:アルゲリッチ
posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 室内楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月06日

ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ「クロイツェル」 フーベルマン&フリードマン 1930年録音


ヴァイオリン・ソナタは数多くありますが、好きな曲を挙げろと言われると、フランクのソナタかベートーヴェンのこのクロイツェル・ソナタと即答します。
huberman_photo4.jpg
しかしこの曲は難物で中々いい演奏に出会えない。激情に駆られるような演奏でないともの足りない。ベートーヴェンの作品の中でも切迫感が半端ない。特に第1楽章。第1楽章が優れていないとその先を聴き続けようと思えないのです。美音だけで第1楽章をやられると辟易とします。よってシゲティやクレーメル向きの曲。その中でもフーベルマンは異色のヒリヒリ感が漂います。

ベートーヴェン
ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調「クロイツェル」
ヴァイオリン:ブロニスワフ・フーベルマン
ピアノ:イグナツ・フリードマン
1930年 モノラル録音
録音 3.25点  演奏 4.50点



名前を知っている人はかなりのクラヲタだけでしょう。主に戦前に活躍したヴァイオリニスト ブロニスワフ・フーベルマン。ここぞという時の斬れ味、妖艶な音は他のヴァイオリニストと一線を画しています。古い録音からでもそれは伝わってくるほど。イスラエル・フィルの創設者として名を残しています。当時のヴァイオリニストとしては、存命中かなり録音を残した方ですが、現在カタログにはほとんど残っていません。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲やチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のSP録音は、SP蒐集家垂涎の的。独特の斬れ味鋭いテクニックとヒリヒリとした冷たい音色が特徴です。戦後も活躍しましたが、事故で手を負傷してしまったため少しテクニックは落ちましたが、独特の音色は健在でした。

バッハのシャコンヌ。当時としては、ヴァイオリンを歌わせない異質な演奏。戦後のアセテート録音でしょうか?



このベートーヴェンのクロイツェル・ソナタは、私の中では未だにこれを超える演奏に出会っていません。ピアニストともども、一回の録音に賭ける驚くほどの集中力とその冷たい音色。蜘蛛の糸のように繊細だが強靭、触れれば火傷しそうなドライアイスのような冷たさ。クレーメルとアルゲリッチの演奏はこれに近いですが、この境地には至っていません。

如何にもSPって感じが郷愁を誘いますが、すぐに鋭い音に耳を奪われます。こちらも最後の最後にポルタメントが。

ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、ピアノ。ソナタと違い、あまり深さが無いため、有名な「スプリング・ソナタ」などは個別では棚にありません。(フリッツ・ブッシュのBOXにあるくらい)結局聴くのはこのCDの「クロイツェル」だけです。(クレーメル盤とギトリス盤という灰汁の強い演奏)


フーベルマンのCDはこのほかに、チャイコフスキーの録音2種(戦中と戦後のもの)と名演名高いラロのスペイン交響曲があります。


こちらは晩年のオーマンディとのチャイコフスキーのライブ盤。入手難。第3楽章には当時慣例のカットがあります。燃えるオーマンディと鋭利なフーベルマンのヴァイオリンが耳を貫きます。特に第3楽章の細いが核のしっかりある超ハイトーンで歌う部分は古い録音にもかかわらず、ヒヤリとした冷たい彼の特長・音をよく伝えてくれます。

私が所持しているのは下記CDですが、プレミア価格。mp3で十分。

他の追随を許さないというか真似のできない演奏・音色です。
ラベル:ヒストリカル
posted by 悩めるクラヲタ人 at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 室内楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月17日

ドヴォルザーク 「森の静けさ」「ロンド」 ハインリヒ・シフ&プレヴィン 1992年録音


ドヴォルザークのチェロのための小品2曲。ふっと身体を包み込むような音色と滔々と流れる「森の静けさ」と、仄暗いロンド旋律から身もだえるようなチェロの呻きも聴ける「ロンド」。数あるチェロのための小品の中でもチェロの魅力と表現力の幅を存分に教えてくれる佳曲です。
917lPUvisJL__SL1500_.jpg
これ見よがしな演奏だとチェロの威力が邪魔をする。これを昨年亡くなられたハインリヒ・シフとアンドレ・プレヴィンのピアノ伴奏で。この曲あるあるでドヴォルザークのチェロ協奏曲とのカップリングです。チェロ協奏曲もいい演奏ですが、録音のバランスでただでさえ渋いシフのチェロの音が少し遠く残念。この2曲に関してはいいバランス。

ドヴォルザーク 「森の静けさ」「ロンド」
チェロ:ハインリヒ・シフ
ピアノ:アンドレ・プレヴィン
録音 4.50点  演奏 4.50点



「森の静けさ」。遠くから忍び入るようなシフのチェロの音色でスッと心に染み入る。プレヴィンの指揮者ならではの感興のったピアノが渋めのシフのチェロの音を際立たせている。大きな音で朗々と鳴らさない、あくまで自然体で中庸のテンポで歌うチェロの良さ。でも表情は多彩で音色で十分聴かせる。終曲間際の長いロングトーンの単音のクレッシェンドの素晴らしさ。

古楽器で聴くとちょっと違う感じです。

「ロンド」。小気味よいロンド旋律で軽くチェロが舞う。音色は少し暗めでかすれ気味に始まる。その後の展開で音調が変わり光明が差すような明るさが印象的。ここでもやはりプレヴィンのピアノが巧みにシフのチェロの表現と音色に呼応する伴奏が見事。録音もチェロに近すぎず、ホールトーンも適度に取り入れたバランスが良いもの。

フォイエルマン。懐かしいですね。ちょっと単調でしょうか。

中間部ではチェロが斬り込むような展開で頂点に達する。ルートヴィヒ・ヘルシャーの演奏だとまるで同じ演奏とは思えないほど抉りが効いているが、同傾向ながらシフのチェロは美感を損なわないギリギリの音色を保つ。

ドヴォルザークのチェロ作品のためにお金を払っても損はしない。ヘルシャーBOX。

少しかすれ気味の音を使うものの、チェロのふくよかな美感を感じさせる。頻繁に明と暗の変化がある曲にシフとプレヴィンがすっと雰囲気を変えて対応していき、短い演奏時間の中でドヴォルザークとチェロの良さを教えてくれる。最後の堂に入った締め方も力づくでないところが素晴らしい。

ナヴァラ。こんな小品ですがかなり違いが出るものですね。

ハインリヒ・シフは、マイスキーやヨー・ヨー・マが録音活動が活発な時期と被り、その渋い音色と表現で目立ちませんでした。でも、今聴くとその端正で嫌味の無い音楽づくりで、忘れてはならない演奏家だと思います。


今e-onkyoでグラモフォンのピアノ録音セール中。ケンプやギレリスからユジャ・ワン、ブレハッチまで。ケンプのベートーヴェン ピアノソナタ全集(新盤)が2,600円。ハイレゾでピアノソナタ全集がこの値段なら・・・と悩んでしまう。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:08| 室内楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする