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2017年11月17日

ドヴォルザーク 「森の静けさ」「ロンド」 ハインリヒ・シフ&プレヴィン 1992年録音


ドヴォルザークのチェロのための小品2曲。ふっと身体を包み込むような音色と滔々と流れる「森の静けさ」と、仄暗いロンド旋律から身もだえるようなチェロの呻きも聴ける「ロンド」。数あるチェロのための小品の中でもチェロの魅力と表現力の幅を存分に教えてくれる佳曲です。
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これ見よがしな演奏だとチェロの威力が邪魔をする。これを昨年亡くなられたハインリヒ・シフとアンドレ・プレヴィンのピアノ伴奏で。この曲あるあるでドヴォルザークのチェロ協奏曲とのカップリングです。チェロ協奏曲もいい演奏ですが、録音のバランスでただでさえ渋いシフのチェロの音が少し遠く残念。この2曲に関してはいいバランス。

ドヴォルザーク 「森の静けさ」「ロンド」
チェロ:ハインリヒ・シフ
ピアノ:アンドレ・プレヴィン
録音 4.50点  演奏 4.50点



「森の静けさ」。遠くから忍び入るようなシフのチェロの音色でスッと心に染み入る。プレヴィンの指揮者ならではの感興のったピアノが渋めのシフのチェロの音を際立たせている。大きな音で朗々と鳴らさない、あくまで自然体で中庸のテンポで歌うチェロの良さ。でも表情は多彩で音色で十分聴かせる。終曲間際の長いロングトーンの単音のクレッシェンドの素晴らしさ。

古楽器で聴くとちょっと違う感じです。

「ロンド」。小気味よいロンド旋律で軽くチェロが舞う。音色は少し暗めでかすれ気味に始まる。その後の展開で音調が変わり光明が差すような明るさが印象的。ここでもやはりプレヴィンのピアノが巧みにシフのチェロの表現と音色に呼応する伴奏が見事。録音もチェロに近すぎず、ホールトーンも適度に取り入れたバランスが良いもの。

フォイエルマン。懐かしいですね。ちょっと単調でしょうか。

中間部ではチェロが斬り込むような展開で頂点に達する。ルートヴィヒ・ヘルシャーの演奏だとまるで同じ演奏とは思えないほど抉りが効いているが、同傾向ながらシフのチェロは美感を損なわないギリギリの音色を保つ。

ドヴォルザークのチェロ作品のためにお金を払っても損はしない。ヘルシャーBOX。

少しかすれ気味の音を使うものの、チェロのふくよかな美感を感じさせる。頻繁に明と暗の変化がある曲にシフとプレヴィンがすっと雰囲気を変えて対応していき、短い演奏時間の中でドヴォルザークとチェロの良さを教えてくれる。最後の堂に入った締め方も力づくでないところが素晴らしい。

ナヴァラ。こんな小品ですがかなり違いが出るものですね。

ハインリヒ・シフは、マイスキーやヨー・ヨー・マが録音活動が活発な時期と被り、その渋い音色と表現で目立ちませんでした。でも、今聴くとその端正で嫌味の無い音楽づくりで、忘れてはならない演奏家だと思います。


今e-onkyoでグラモフォンのピアノ録音セール中。ケンプやギレリスからユジャ・ワン、ブレハッチまで。ケンプのベートーヴェン ピアノソナタ全集(新盤)が2,600円。ハイレゾでピアノソナタ全集がこの値段なら・・・と悩んでしまう。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:08| 室内楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月08日

シューベルト 弦楽五重奏曲 ハ長調 カザルス&ヴェーグ他 1961年ライブ


室内楽曲でしかも渋い曲。弦楽五重奏というだけでも珍しいですが、通常弦楽五重奏はヴァイオリンが2、ヴィオラ2・チェロ1ですが、この曲ではチェロの代わりにヴィオラが1でチェロが2。当然その分響きに厚みが出ます。響きだけでなく、曲もヴィオラ・チェロが活躍するように書かれています。シューベルト特有の耳馴染みのいい旋律がちりばめられた名曲です。

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しかしこの曲はシューベルトの最晩年(と言っても30代前半)の作品。また演奏家の一人であり20世紀を代表する音楽家の一人パブロ・カザルスの最晩年の録音の一つ。その二つかかけ合わさったためか、何とも不思議なインパクトを与えてくれる名演奏です。

シューベルト 弦楽五重奏曲 ハ長調
ヴァイオリン:シャーンドル・ヴェーグ
       シャーンドル・ツェルディ
ヴィオラ:ゲオルグ・ヤンツェル
チェロ:パブロ・カザルス
    パウル・サボ
1961年 プラド音楽祭ライブ録音
録音 4.30点   演奏  4.70点



交響曲「グレート」を濃縮したような、魅力的な旋律の連続、そして迫力にも満ちた作品です。シューベルトがモーツァルト並みの天才だったと再認識しました。

録音もリアリティが高く、オンマイクで素晴らしい。

ベームやルービンシュタインに愛され、彼らの葬儀に使用された第2楽章。各楽器の音が漂い瞬いている。単なる伴奏のピチカートでも、カザルスが名器ゴリフラで奏でると意味深く響く。第3楽章の荒々しいスケルツォ、じっくり楽想を刻んでいながらも勢いが感じられる第4楽章。

スターンとの演奏も残されています。美しい第2楽章。

こちらの方が今は入手しやすい。録音は少し落ちますが、カザルスはこちらの方がまだ技巧が優れている。


特に終曲部は曲も演奏も圧巻の出来で、室内楽の範疇を越えています。楽器構成にも依るのでしょうが、終始演奏をリードするカザルスとヴェーグのぶつかり合いが見事です。アンサンブルは完璧ではないですし、カザルスの技巧も衰えていますが、ライブながらの駆け引きと緊張感が約1時間の大曲を貫いています。まるで交響曲を聴いたような気持ちになります。

この曲は長調で作曲されていて、魅力的な旋律に溢れていますが、不思議と短調のように聞こえ「諦念」を感じさせられる。生への諦めがつき天国を夢想しながらも、心の奥底で地面に這いつくばり「まだ生きたい」ともいう気持ちが消えない。

この演奏にはカザルスのまだまだ生きる気持ちの強さが込められている。その力強さが抑え込む諦念の反動を生んで、なんともいえない無常感を伴う感動を与えてくれます。

カザルスのスピーチ姿の動画。伝えたいものがたくさんあるのが言葉はわからなくても伝わってきます。「
peace、peace、peace・・・・」、鳥の歌。

シューベルトの悲しみを伴った美しさもいいですが、晩年のしっかりとした構成力と必死に何かに抗う力強さを教えてくれる一枚です。どこかが復活させて欲しいCDです。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 室内楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月16日

ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」 アマデウス弦楽四重奏団 1977年録音


言わずもがなの弦楽四重奏曲の名曲です。ベートーヴェンやブラームスはこの分野の地位を高めましたが、取っつきにくくしてしまったのも事実。聴くのにかなりの集中力を要する。車にベートーヴェン後期四重奏集の CDを積んで聴いても、まぁ楽しいドライブにならない(笑)
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ハイドン時代は参加型で演奏して楽しむのがカルテットでした。ドヴォルザークは数多くカルテットの曲を残してますが、この「アメリカ」以外は耳にしません。「アメリカ」が優れ愛されているのは、ハイドン時代の楽しみとベートーヴェンが高めたこの分野の折衷型なところではないかとおもってます。郷愁感も親しみ易さに一役かっている。

この曲はアマデウス弦楽四重奏団の新盤の魅力に優るCDを探すのが難しい。タカーチでも敵わなかった。(今のタカーチならどうだろう?)

ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」
アマデウス弦楽四重奏団
1977年録音
録音 4.40点 演奏 4.75点


アマデウスカルテットには旧録音もあるのでお間違いなく。タワーレコードさんはさすがで、この再録音の名盤を独自企画で安定供給してくれています。
ヴェルディ: 弦楽四重奏曲/チャイコフスキー: 弦楽四重奏曲第1番/ドヴォルザーク: 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」<タワーレコード限定>

第1ヴァイオリンのブレイニンの天空を駆けるようなストラドの響き。特に一聴なにもしてないようですが、少し鼻にかかった音が郷愁を感じさせる。それを支えるシドロフなどの他のメンバーも興乗っている。第4楽章の最後のダイナミックな追い込みも見事。
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録音はオン気味でヘッドフォンだとちょっと疲れる音質かもしれません。スピーカーで大きめに鳴らすと目の前にいるかのようで、全員がストラドを使っているアマデウス弦楽四重奏団の贅沢な響きがグサリと身体を突き刺してきます。


弦楽四重奏団としては長く続いた名カルテットです。厳しさとロマンティックな音色が同居した、他にまねのできないどこかなまりのあるような響きを創造するカルテットでした。当時主流のアルバン・ベルクQの完璧性とは真逆で独特の存在感を放っています。解釈も素晴らしいですが、長年にわたる活動の中で培われた阿吽の呼吸が素晴らしい。

この曲をよい音でとタカーチ弦楽四重奏団のCD(しかし所謂旧タカーチ)を聴きましたが、録音が響きを取り入れたのと、今のタカーチに比べるとちょっと物足りないというか、彼らならではというのがない。


何枚か聴いて意外と差がつきにくい曲なのかなと感じました。というよりアマデウス弦楽四重奏団のブレイニンの音が唯一無二過ぎて、耳に彼のこぶしとカルテットの一体感と集中力が頭に焼き付き過ぎなのでしょう。曲想にあった思い切ったテンポ変動が、音色とともにつぼに入ってドヴォルザークのホームシック加減をうまく炙り出す。

こちらは旧録音の演奏。




何故かアマデウス弦楽四重奏団のこの曲の演奏は旧盤ばかりが再発され、新盤を手に入れるのは大変で輸入盤で探しブレイニンの追悼盤に入っているのを入手。。


しかし、困ったことに他の演奏を聴いても満足できない。いかに彼らが唯一無二の音色を誇っていたかを思いしらさられる名録音です。そして私にとっては、数少ない心から楽しめる弦楽四重奏曲のCDでもあります。

駆け足の演奏ですねぇ。まぁこれが一般的な演奏でしょうか。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 20:45| Comment(0) | 室内楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする