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2018年07月05日

ドヴォルザーク 「森の静けさ」「ロンド」 ハインリヒ・シフ&プレヴィン 1992年録音


ドヴォルザークのチェロのための小品2曲。ふっと身体を包み込むような音色と滔々と流れる「森の静けさ」と、仄暗いロンド旋律から身もだえるようなチェロの呻きも聴ける「ロンド」。数あるチェロのための小品の中でもチェロの魅力と表現力の幅を存分に教えてくれる佳曲です。
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これ見よがしな演奏だとチェロの威力が邪魔をする。これを昨年亡くなられたハインリヒ・シフとアンドレ・プレヴィンのピアノ伴奏で。この曲あるあるでドヴォルザークのチェロ協奏曲とのカップリングです。チェロ協奏曲もいい演奏ですが、録音のバランスでただでさえ渋いシフのチェロの音が少し遠く残念。この2曲に関してはいいバランス。

ドヴォルザーク 「森の静けさ」「ロンド」
チェロ:ハインリヒ・シフ
ピアノ:アンドレ・プレヴィン
録音 4.50点  演奏 4.50点



「森の静けさ」。遠くから忍び入るようなシフのチェロの音色でスッと心に染み入る。プレヴィンの指揮者ならではの感興のったピアノが渋めのシフのチェロの音を際立たせている。大きな音で朗々と鳴らさない、あくまで自然体で中庸のテンポで歌うチェロの良さ。でも表情は多彩で音色で十分聴かせる。終曲間際の長いロングトーンの単音のクレッシェンドの素晴らしさ。

古楽器で聴くとちょっと違う感じです。

「ロンド」。小気味よいロンド旋律で軽くチェロが舞う。音色は少し暗めでかすれ気味に始まる。その後の展開で音調が変わり光明が差すような明るさが印象的。ここでもやはりプレヴィンのピアノが巧みにシフのチェロの表現と音色に呼応する伴奏が見事。録音もチェロに近すぎず、ホールトーンも適度に取り入れたバランスが良いもの。

フォイエルマン。懐かしいですね。ちょっと単調でしょうか。

中間部ではチェロが斬り込むような展開で頂点に達する。ルートヴィヒ・ヘルシャーの演奏だとまるで同じ演奏とは思えないほど抉りが効いているが、同傾向ながらシフのチェロは美感を損なわないギリギリの音色を保つ。

ドヴォルザークのチェロ作品のためにお金を払っても損はしない。ヘルシャーBOX。

少しかすれ気味の音を使うものの、チェロのふくよかな美感を感じさせる。頻繁に明と暗の変化がある曲にシフとプレヴィンがすっと雰囲気を変えて対応していき、短い演奏時間の中でドヴォルザークとチェロの良さを教えてくれる。最後の堂に入った締め方も力づくでないところが素晴らしい。

ナヴァラ。こんな小品ですがかなり違いが出るものですね。

ハインリヒ・シフは、マイスキーやヨー・ヨー・マが録音活動が活発な時期と被り、その渋い音色と表現で目立ちませんでした。でも、今聴くとその端正で嫌味の無い音楽づくりで、忘れてはならない演奏家だと思います。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 07:58| 室内楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月30日

メンデルスゾーン ピアノ六重奏曲&ピアノ協奏曲第1番 ユジャ・ワン(P)他 2009年ライブ


渋い選曲ですが、メンデルスゾーンのピアノ関連作品2曲を。現在の好きなピアニストの一人 ユジャ・ワンの演奏で。超絶技巧で有名な彼女ですが、肩の力を抜いたこのような作品も見事に演奏してくれます。佳曲を私に教えてくれた映像作品です。CDは何故か録音が優れず良いCDが少ないような気がする彼女ですが、このDVDは音も演奏も優れています。

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彼女はきれいだと思うのですが、グラモフォンのCDジャケットのチョイスはいつもあまりよろしくない。

特にこれ・・・ちなみに所持していますがあまり演奏も彼女にすれば物足りない。

メンデルスゾーン ピアノ六重奏曲 ニ長調
         ピアノ協奏曲第1番 ト長調
ピアノ:ユジャ・ワン
キリル・トルソフ(Vn)、デイヴィッド・アーロン・カーペンター(Va)
マクシム・リサーノフ(Va)、ソル・ガベッタ(Vc)、レイ・メッシュ(Cb)
指揮:クルト・マズア
ヴェルビエ祝祭管弦楽団
2009年 ヴェルビエ音楽祭のライブ
録音  4.55点  演奏  4.65点


AMAZONで普通に探すと高い国内盤が出てきますので、上の輸入盤が安い。AMAZONで買うものを探すときは、日本語と英語で探すのが賢明。


メンデルスゾーンの六重奏曲は演奏者を見てわかるように、ヴァイオリンが2挺ではなくヴィオラが2挺なのでシューベルトの弦楽五重奏曲みたいに少し分厚い響きの曲ですが、旋律は明るいのでシューベルト程渋い感じはありません。演奏されるケースは少ないみたいで、ウィキペディアで調べても個別では出てきませんが、愉しい曲です。演奏が面白くないと駄作なのかもしれませんが。演奏時間は30分程度。

この演奏でのリードは間違いなくユジャ・ワンです。非常に肩の力を抜いてアンサンブルを楽しんでいますが、ここぞという時には明るいタッチでこの曲の魅力を教えてくれます。全体的にピアノが出てくると演奏が締まります。第3楽章から第4楽章は特にリズムを弾ませたり、歌わせたりと曲想変化を見事につけ、観客を唸らせています。


第4楽章の音源。ユジャ・ワンの演奏youtubeも探せばありますが・・・

この曲を聴くときには第4楽章から聴き始めると「あぁ面白い曲だな」と思うかもしれません。正直最初はこのDVDを買ったときにも飛ばしていました(笑)しかし、チャプター画面でいつもこの曲の第4楽章の弾むような旋律が流れるので一度ちゃんと聴いてみるかと思ったら虜になりました。



一方のピアノ協奏曲第1番ですがこちらもあまり演奏されるケースは少ない。記憶が間違いないならばルドルフ・ゼルキンは好きな曲だったようで、ライブ録音が結構残されています。こちらも特徴的な旋律がある訳ではないのですが、ブラームスの協奏曲を小さく纏めたような作品で、全編にわたって隙の無い佳曲です。ですが、ゼルキンの演奏で聴いた時にはそれほどいい曲には感じなかった・・・やはりユジャ・ワンの魔力で魅力的な曲に聴こえるのでしょうか?


ゼルキンとオーマンディの演奏で第1楽章。

メンデルスゾーンの曲ですのでいわゆる深みはありませんが 第3楽章はユジャ・ワンの演奏によるところも大きいのでしょうが非常に軽快です。ゼルキンとモントゥーとのライブ録音も所持していますが、ちょっと荒くてあまり心躍る演奏ではないなぁと感じたところも、ユジャ・ワンの演奏だと第2楽章の詩的な部分も第3楽章のアクロバティックなところもあり十分楽しませてくれます。第3楽章のブレーキ・アクセルの踏み加減が絶妙。


ゼルキンとオーマンディの演奏で第3楽章。ラン・ランの演奏もyoutubeで見つけましたが、彼の場合演奏風景がついていると逆に聴く気が失せる・・・

伴奏は先日お亡くなりになったクルト・マズア。正直好きな指揮者ではありませんが、ここでの伴奏は力がこもっています。若い臨時編成のオーケストラを声を発しながら鼓舞させています。「ユジャ・ワンのピアノに埋もれてしまうぞ!」と言わんばかりに好サポートです。このDVDを買うのは選曲・伴奏者が好きでないので正直悩みましたが、買ったら掘り出しだった1枚です。この日のマズアは調子が良かったみたいで、最後に「スコットランド」も演奏されていますが悪くない演奏です。

このDVDにはボーナストラックとしてストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの3章」が含まれていますが、全然ボーナストラックでは無い演奏。ユジャ・ワン節全開で尖った演奏です。CDでも録音していますが、こちらの方が感銘度は演奏姿も見れることから圧倒的に高いです。

ワイセンベルク。懐かしいですね。

メンデルスゾーンの渋い曲が詰まったDVDですが、埋もれてしまうには勿体ないDVDです。ユジャ・ワンのベスト録音ではないかと思っています。あとはアバドと組んだルツェルンでのプロコフィエフのピアノ協奏曲位しか思い浮かばない。ちょっとそちらはユジャ・ワンの遠慮が感じますが。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 17:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 室内楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月23日

ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ「クロイツェル」 フーベルマン&フリードマン 1930年録音


ヴァイオリン・ソナタは数多くありますが、好きな曲を挙げろと言われると、フランクのソナタかベートーヴェンのこのクロイツェル・ソナタと即答します。
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しかしこの曲は難物で中々いい演奏に出会えない。激情に駆られるような演奏でないともの足りない。ベートーヴェンの作品の中でも切迫感が半端ない。特に第1楽章。第1楽章が優れていないとその先を聴き続けようと思えないのです。美音だけで第1楽章をやられると辟易とします。よってシゲティやクレーメル向きの曲。その中でもフーベルマンは異色のヒリヒリ感が漂います。

ベートーヴェン
ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調「クロイツェル」
ヴァイオリン:ブロニスワフ・フーベルマン
ピアノ:イグナツ・フリードマン
1930年 モノラル録音
録音 3.25点  演奏 4.50点



名前を知っている人はかなりのクラヲタだけでしょう。主に戦前に活躍したヴァイオリニスト ブロニスワフ・フーベルマン。ここぞという時の斬れ味、妖艶な音は他のヴァイオリニストと一線を画しています。古い録音からでもそれは伝わってくるほど。イスラエル・フィルの創設者として名を残しています。当時のヴァイオリニストとしては、存命中かなり録音を残した方ですが、現在カタログにはほとんど残っていません。

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲やチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のSP録音は、SP蒐集家垂涎の的。独特の斬れ味鋭いテクニックとヒリヒリとした冷たい音色が特徴です。戦後も活躍しましたが、事故で手を負傷してしまったため少しテクニックは落ちましたが、独特の音色は健在でした。

バッハのシャコンヌ。当時としては、ヴァイオリンを歌わせない異質な演奏。戦後のアセテート録音でしょうか?



このベートーヴェンのクロイツェル・ソナタは、私の中では未だにこれを超える演奏に出会っていません。ピアニストともども、一回の録音に賭ける驚くほどの集中力とその冷たい音色。蜘蛛の糸のように繊細だが強靭、触れれば火傷しそうなドライアイスのような冷たさ。クレーメルとアルゲリッチの演奏はこれに近いですが、この境地には至っていません。

如何にもSPって感じが郷愁を誘いますが、すぐに鋭い音に耳を奪われます。こちらも最後の最後にポルタメントが。

ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、ピアノ。ソナタと違い、あまり深さが無いため、有名な「スプリング・ソナタ」などは個別では棚にありません。(フリッツ・ブッシュのBOXにあるくらい)結局聴くのはこのCDの「クロイツェル」だけです。(クレーメル盤とギトリス盤という灰汁の強い演奏)


フーベルマンのCDはこのほかに、チャイコフスキーの録音2種(戦中と戦後のもの)と名演名高いラロのスペイン交響曲があります。


こちらは晩年のオーマンディとのチャイコフスキーのライブ盤。入手難。第3楽章には当時慣例のカットがあります。燃えるオーマンディと鋭利なフーベルマンのヴァイオリンが耳を貫きます。特に第3楽章の細いが核のしっかりある超ハイトーンで歌う部分は古い録音にもかかわらず、ヒヤリとした冷たい彼の特長・音をよく伝えてくれます。

私が所持しているのは下記CDですが、プレミア価格。mp3で十分。

他の追随を許さないというか真似のできない演奏・音色です。
ラベル:ヒストリカル
posted by 悩めるクラヲタ人 at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 室内楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする