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2017年11月20日

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 フルトヴェングラー/バイロイト祝祭o 1951年 EMI盤


久しぶりにしっかりと定番のフルトヴェングラー/バイロイトの第9をハイブリッドSACDで聴いてみました。購入したのはだいぶ前。限定盤だったようで、HMVではもう売っていない。AMAZONならまだあるみたいですね。

ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調「合唱」
エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)
エリーザベト・ヘンゲン(A)
ハンス・ホップ(T)
オットー・エーデルマン(Bs)
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
バイロイト祝祭管弦楽団、合唱団
1951年 バイロイト音楽祭 ライブ?
録音  3.60点   演奏  4.60点


こちらはハイブリッドSACDで現在廃盤。

こちらはデルタの板起こし。数ある板起こしの中で一番いい。

演奏についてはもう説明不要な位に語られつくされていると思います。臨時のオーケストラなのでアンサンブルが甘い部分もありますが、当時としては優秀な録音です。一期一会の一発勝負という気合いが同指揮者の他盤と違うところです。ウォルター・レッグによって編集された記録と言われますが、それでもバイエルン放送から出たライブに比べ音も全体的な感銘度もこちらが上です。

緊張感を持って進む雄大な第1楽章は、低弦の刻みがしっかりと土台を支えていることがSACDだと明確にわかります。第2楽章の切迫感を持った響き。この楽章はピチカートを強めに弾かせているのが特徴的で、演奏時間ほど遅く感じない。


同年ウィーンpoとの第3楽章。音色的にはこちらの演奏の方がいいかも。

第3楽章は止まりそうなテンポで進みますが、まさに夢見心地のひと時。弦楽器の絡みもSACDだと非常に分離が良く聴こえます。中間部の弦のピチカートと木管楽器の会話の部分は演奏も録音も見事。最後のトランペットの警鐘は少し捉えきれていませんが。その後のシルキーな弦楽器の響きによる後ろ髪ひかれるような旋律と終わり方も溜息が出るよう。


これはバイエルン放送verの第4楽章後半?最後の三つの和音が揃っています。CDと違い自然な拍手がついている??違う音源か?

第4楽章は総決算。合唱の録音がどう足掻いても距離があり明瞭さに欠けるのは残念ですが、独唱陣の声は結構生々しく録音されています。コーダに向かって徐々にボルテージを上げていく演出がピタッとはまっています。冒頭のレチタティーヴォの語るようにかつ意味深い響き、歓喜の主題前の息が詰まるような間と最弱音で始まる歓喜の主題はもう有名なところですね。SACDだと最後のプレティッシモ前の4重唱の部分が実に分離良く聴こえます。そしてアンサンブルが崩壊する最後のプレティッシモでは管楽器などが抜け落ちていく中、弦楽器と打楽器が喰らいついていく生々しさもSACDになってよく聴こえるようになりました。
何度も買い直した演奏ですが、このSACDのおかげで打ち止めとなりました。

デルタのCDとの音質比較ですが、これが意外と一長一短。EMIのSACD層では、中低音の響きが分厚く各楽器の分離が良い点がメリット。上記のようにソリストの声や弦楽器の各声部の違いが明瞭で艶がある。情報量は今までのCDに比べ圧倒的に優れている。しかしテープの劣化によるものか高音域は抜けが良くない。トランペットの余韻や第4楽章のトライアングルなど、アナログのFALP盤で聴こえるところが弱い。


こちらは1954年のバイロイト第9。個人的にはこの演奏好きなのですが、良い音で残っていない。

残念。

デルタのCDは中高音の抜けが良い。アナログ盤のいい所が残っている。ただ明瞭度と情報量はSACDには劣ります。特に合唱とソリストの分離は明らかに負ける。ただしトランペットの抜けはこちらの方が良く、会場の雰囲気は何故か板起こしの方が伝わってくる。SACD層はSN比が良すぎる。CDでノイズの少ない初期盤を聴いている気持ちになれますが、英ALP盤を使用しているためか所持している仏FALP盤に比べ音色が深い。(一般的にFALP盤は明るめの音調と言われており、実際にアナログで聴くとプレティッシモ前のトライアングルが大きめの音で綺麗に聴こえる)

しかし改めてじっくり聴いてみると、SACD層でもさすがに古くなってきたかなと感じてしまったのも事実。この第3楽章を凌ぐ演奏が出てくるとは思いませんが、他の楽章はやはり録音状態のいい演奏の方に気持ちが傾いてきています。フルトヴェングラー並の音速プレティッシモをする指揮者は現れないでしょうが、それに匹敵する演奏がもうそろそろ出てきてもと思います。

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2017年11月19日

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」の名盤記事まとめ


今年も早いもので師走。第9の演奏会の嵐が日本中に巻き起こる季節です。

私の部屋に妻が煙たがるCDの棚があります。まともに数えたことは無いですが、およそ3,000枚。プラスでヴィンテージのアナログレコードが150枚ほど鎮座しています。中学から蒐集を始めましたが、ここまではまるとは思っていませんでした。今あるCDの中で一番枚数が多いのは、表題のベートーヴェンの所謂「第9」のCDです。なぜそんなに同じ曲を集めるのか?クラシック初心者の方には、ここが理解できないところでしょう。

ベートーヴェンの交響曲第9番が名曲なのはもう言わずもがなです。私が一番この曲に惹かれてる部分は、所謂第4楽章の有名な歓喜の主題(ファーファーソーラーラーソーファーミー、レーレーミーファーファーミミー)が合唱される部分ではなく、第4楽章最後の最後のプレティッシモの部分です。管弦楽だけで奏される感動的な曲の終わり方ですし、指揮者によってこうも違う演奏になるのかと感じられる部分だからです。

それまでの演奏がよくても、最後にガクッとなることも多いです。

これは超最速のフルトヴェングラー・バージョンです。

楽譜の指示テンポだとすごく遅くなるのですが、それではあまり演奏効果が無いので、早めに演奏されることが多いです。早ければ早いほど「うおー」となりますが、楽器が鳴りきらなくなったり、ミスも多くなったりとその境目が難しいところです。

全体的に最強なのは、モノラル録音ですが神棚級の一期一会の名演、フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管弦楽団の1951年のライブ録音です。しかし反面、初心者が最初に選んではならないCDでもあります。これは必ず守ってください。
ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調「合唱」
エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)
エリーザベト・ヘンゲン(A)
ハンス・ホップ(T)
オットー・エーデルマン(Bs)
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
バイロイト祝祭管弦楽団、合唱団
1951年 バイロイト音楽祭 ライブ?
録音  3.60点   演奏  4.65点

個別の記事はこちらから↓
・ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 フルトヴェングラー/バイロイト祝祭o 1951年 EMI盤

板起こしでいい音なのはこちら

最後のプレティッシモは、早過ぎて最後の和音は音が合っていません。しかし、その真摯でどこかに上り詰めていくような、ちょっとイッチャッた感は最高です。第1楽章からドンと構えた演奏、第3楽章で止まってしまうのではと思うようなうっとりするアダージョ、そして華やかかつ重厚な第4楽章。すべてが感動的です。

ちなみにこのCD何度買いなおし、売ったことか・・・。クラヲタはリマスタリングという言葉に弱い。あの演奏が少しでも音が良くなっているのでは?と、いろんなレーベルから出る度に手を出し散在と失敗を繰り返しました。ちなみにヴィンテージのアナログ盤でも所有しています。(フランスEMIの初期版。FALP盤です。高かった・・・でもいい音)やっと日本EMIがSACDとして発売されて、その買い漁りも終止符を打ちました。アナログレコードからの復刻CDはデルタ盤が一番出来がいい。両方揃えて音の違いを楽しむのも一興。

因みにこの演奏は本当のライブ録音では無く、リハーサルとライブの音を編集した録音と言われています。つい最近になってバイエルン放送協会から「本当の1951年のバイロイトライブ」と言われるCDが出ましたが、編集した今までのバイロイトの第9の壁は打ち破れませんでした。そして謎は藪の中。

こちらです。お間違えないよう。1954年バイロイトライブもありややこしや。

次に一般的に、初めて第9を聴くといった方にお薦めしやすいのが、意外や意外なショルティ/シカゴ響盤。録音が明瞭であること、オーケストラの各パートが巧いこと、そしてそのバランスが整っている。ただ正確に内声部に至るまで明晰でクリアでキレがある。
ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調「合唱」
ソプラノ:ジェシー・ノーマン
アルト:ラインハルト・ルンケル
バス:ハンス・ゾーティン
テノール:ロベルト・シュンク
指揮:ゲオルク・ショルティ
シカゴ交響楽団&合唱団
1986年 スタジオ録音
録音  4.55点   演奏  4.50点


すべてにおいて過不足が無い。かといって指揮者の名前は挙げませんが凡庸ではなく、聴いていてつまらないと思う瞬間が無い。第9っていい曲でベートーヴェン凄いなと素直に思える。この演奏を基準にしていろんな演奏を聴けばいいという上質かつスタンダードな演奏と言えます。この演奏に不満があるとすれば、音色が常に明るいため侘び寂びといったものが不足する(特に第3楽章)、第4楽章の男性独唱が少し頼りない(というかノーマンの声の存在感が大きいのですが)位でしょうか。

全体的によほど入念にリハーサルをしたと見えて、弦楽器録音のバランスが非常に優れていて内声部の刻み一つ一つがしっかり聴こえてくる。それはスコアが解きほぐされて目の前を通り過ぎていくように。それが自然に聴こえる所がショルティとオーケストラ、そして録音スタッフの意図が好調に意思疎通されていたからでしょう。録音がいいので小音量でもよし、大音量でも決して耳障りになることのない見事な録音ですし、ショルティはちょっとなぁという方に聴いてみて!と言いたいCDです。これを基準にいろんな第9の世界に踏み入れていくのがお薦め。個別の記事はこちらから↓
・ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 ショルティ/シカゴ交響楽団 1986年録音




録音が優秀な第9のCDで出色なのは、マイケル・ティルソン・トーマス/サンフランシスコ交響楽団のSACDハイブリッド盤です。楽団の自主制作盤だからか、あまり話題になりませんが録音・演奏とも最近のものでは一番お勧め。個別の記事はこちらから↓
・ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 M・T・トーマス/サンフランシスコso 2012年録音
ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調「合唱」
エリン・ウォール(ソプラノ)
ケンドール・グラーデン(メゾ・ソプラノ)
ウィリアム・バーデン(テノール)
ネイサン・バーグ(バス・バリトン)
指揮:マイケル・ティルソン・トーマス
サンフランシスコ交響楽団及び合唱団
2012年 ライブ録音 SACD
録音 4.60点  演奏  4.60点


指揮者とオーケストラ、そして合唱団のすべてが揃っています。オーソドックスでありながら、精緻を尽くした演奏です。最後のプレティッシモもがんがん進み終わる。最後のブラヴォーも納得。


アメリカのオーケストラで今一番うまくいっているのは、間違いなくトーマスとサンフランシスコSoです。もう20年も音楽監督を継続しており、市民からも愛される指揮者とオーケストラとなっています。アンサンブルの精度の高さ、独特な音色、指揮者との阿吽の呼吸、途切れない緊張の糸。加えて合唱団の巧さ。このコンビの演奏には外れが少ない。第1楽章の冒頭だけを聴いてもらえばわかりますが、スマートでありながら重心が低めに設定されており、じっくりとこの曲の良さを教えてくれます。ティーレマンはくどすぎる、ショルティ盤にあったちょっとうるさいという部分が無い。一聴特徴が無いようですが、良く聴くと内容や含蓄はしっかりとある演奏です。

いにしえのクラシックファンには、「もう少し深さが・・」「明るすぎる」という風に思われるかも知れませんが、ラトルやヤンソンスに比べれば比べる余地なしだと私は思います。下手に過去の演奏と差別化するべく手練手管を弄した演奏よりもいい。なぜ評論家がこのコンビを取り上げないのか、不思議でなりません。
じゃぁ、ティーレマンは?

ティーレマンとウィーンpoの録音。どこかまだ成長途中ですといった演奏で、買ったものの意外と手に取る回数が少ない。詰めが甘いところが散見される。巨匠風の懐かしい響きには溢れていますが、合理性と整合性に欠けるのです。

では次に国内オーケストラによる名盤を。上記のCD達のいいところをまとめたような演奏がペーター・マークと東京都交響楽団によるCD。
ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調「合唱」
小濱妙美・郡 愛子
市原多朗・福島明也
尚美学園第九合唱団
指揮:ペーター・マーク
東京都交響楽団
1990年 ライブ録音
録音  4.40点   演奏  4.70点

これは素晴らしい、去年に買ったCDの中で1,2位を争う演奏。合唱に少し難がありますが、マークの指揮が素晴らしい。個別記事はこちらから↓
・ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 ペーター・マーク/東京都交響楽団 1990年ライブ


トーマス/サンフランシスコsoの演奏は「技」が素晴らしいのに対し、マークの第9は「芸」が見事。普通に聞き流しているとわからないですが、良く聴くと細かいところに手が入っている。硬軟織り交ぜ各フレーズを上手く聴かせるようにしているのがわかりますし、作品全体を通しての設計図がしっかりとある。パドヴァ・ヴェネト管弦楽団との交響曲全集の録音もありますが、オケの技術は劣るし録音も良くない。

都響が本当に上手く、第3楽章の美しさ、そして最後のプレティッシモでのティンパニ5連打もしっかり決まっている。「ティン・タ・タ・タ・タン!」とクレッシェンドもしているし揃って終わる。このCDを聴いて久しぶりに興奮しました。

最後に日本人クラヲタ認定マニア向けの第9を1枚。

どこかで書きますが、朝比奈隆が才能を恐れ潰した指揮者(笑)、宇宿允人/フロイデ・フィルの演奏。君が代も録音されていますが、こんなに感動する君が代を聴いたことが無い。第9も超個性的。1回きりの演奏としては非常に面白い。

第9については、所有CDが多いのと、この演奏のここがいいというのが山ほどありますので、徐々にまた書いていきたいと思います。ぜひ第9にプレティッシモを聴いて、クラシックの面白さを知ってもらえればと思います。ではまた。

関連記事はこちらから↓
・ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 クレンペラー/フィルハーモニアo 1960年 ウィーン・ライブ
・ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 フルトヴェングラーのCD聴き比べレビュー
・ベートーヴェンの交響曲第9番 終曲部(プレティッシモ)聴き比べ

posted by 悩めるクラヲタ人 at 22:30| Comment(0) | ベートーヴェンの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月10日

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 ブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデン 1985年ライブ


去年、N響年末の第9の指揮者はヘルベルト・ブロムシュテットでした。もう1年経ったのかと。

見た目は昔と変わらず若いですが、1927年生まれですからもう90歳。不思議な指揮者で端正な指揮を特徴として、特段何もしていないいわゆるハイティンク傾向の指揮者ですが、オーケストラ・ビルダーとしての手腕は高く、東ドイツ時代のシュターツカペレ・ドレスデンの音を守ったこととサンフランシスコ交響楽団を立て直したのが大きな功績として挙げられるでしょう。
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個人的にブロムシュテットの全盛期はシュターツカペレ時代の1970年代後半から1985年とサンフランシスコ交響楽団との1990年代前半ではないかと思っています。NHK交響楽団との共演も多いですがあまり印象に残る演奏は無いです。数多いブロムシュテットのCDの中で異彩を放つのがこのSKDとの第9ライブ録音です。

ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調「合唱」
イーディス・ヴィーンズ(S)、ウテ・ヴァルター(A),
ライナー・ゴールドベルク(T)
カール=ハインツ・シュトリツェク(Bs)
ドレスデン国立歌劇場cho, ドレスデン交響cho
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
シュターツカペレ・ドレスデン
1985年3月 ライブ録音
録音 4.40点   演奏 4.55点



第2次世界大戦で猛烈な空襲を受けドレスデン全体が焼け野原になり、ともに瓦礫と化したゼンパーオーパーの再建復興記念演奏会のライブ録音です。まだ当時は東ドイツ時代であり、再建自体が国家事業であったことから、席に列席していた人は官僚が多かったのではと思われます。最後の拍手の礼儀正しさというか、不自然なほど冷静さに驚きます。そういった雰囲気の中ですから、オーケストラの面々の気合いの入れようが違ったのでしょう。

少し前の時代にブロムシュテットは同コンビでベートーヴェン交響曲全集を完成させており、「特段何もしないでシュターツカペレ・ドレスデンの音を活かした指揮者の仕事」が高く評価されるという不思議な全集でした。

同時期にこちらも日本とゆかりの深いスウィトナーがベルリン・シュターツカペレともベートーヴェン交響曲全集を録音していてあちらも昔からのクラシックファンには懐かしい。

本題に戻りますと、このゼンパーライブはいつものブロムシュテットとはまるで別人のよう。それともオーケストラが別人のような爆演寸前の凄演。気合いが違います。少し乾き気味の録音とホールの響きにシュターツカペレ・ドレスデンの魅力全開。そして阿修羅のごとくここぞという時に打ち込まれるティンパニ。第1楽章から緊張感の中にある熱気・気合いがスタジオ録音とは全く別物。ブロムシュテットもここまで力こぶが入るのだと驚きました。

流石に若いなぁ。
このコンビのCD、普通なら購入スルーですが、HMVのレビューを見ると「隠れた名盤!」「シュターツカペレ・ドレスデンの当時の実力を知らしめる逸品」などマイナーなレーベルと組み合わせながら30近い称賛のレビューの嵐。じゃぁということで聴いたのですが、その通り。力で押すだけでなく、当時の東ドイツ特有の燻し銀の香りも湛えた名演で名録音。こんなブロムシュテット聴いたことないです。

気迫に満ちた第1楽章、ティンパニ協奏曲になる一歩手前で武豊のようにかかるオーケストラの手綱をしっかり握った第2楽章。どんなにボリュームを上げてもうるさくならない不思議な第3楽章。このCDの白眉はこの第3楽章でドレスデンの悲哀を帯びて角の少し丸い艶やかなヴァイオリンとそれをふくよかかつごりっと支えるバス部、かなり強奏しているにも関わらず刺さらないトランペットの音と夢のように柔らかなホルンの響き。少しくすんだ音色の木管楽器群と例を挙げればきりがない。表現自体は特段何もしていないのに。

前2楽章の熱を冷ますように粛々と流れるのみ。オーケストラの響きだけで聴かせることができるのはこの当時のSKDだからでしょう。この第3楽章は大音量で是非聴いていただきたい。壁が消えてなくなって失ったものがここにあるような気がします。



一転、ティンパニ轟き始まる第4楽章。テンポは中庸ながら、ブロムシュテットも行きたがるオケの手綱を揺るめ少し前のめり気味に進みます。気合いはまた元に戻ります。最初のバスのレチタティーヴォも西のベルリンpoのそれと違い力で聴かせない老舗の良さがあります。第4楽章も全体的に優れていますが、中だるみしやすい中盤フーガが合唱と共にオーケストラが素晴らしい。

合唱団の集中力が高く、気合いは入っていても力む寸前で踏みとどまる。金管も強めに吹いていますが合唱と溶けあい邪魔しない。チェロ・コントラバスが後ろで蠢く。そして最後のプレティッシモまで一気に聴かせます。プレティッシモも早い。シンバルも強めに炸裂し、往時のベルリンpoの名ティンパニストを彷彿とさせるティンパニの巧いこと。

驚くのはこれだけの熱演を聴かされて、すぐにブラヴォーとならずに最後の和音残響消えるまで拍手を待ち冷静に拍手する観客。日本だったら台無しにするくらいのフライングブラヴォーものの演奏なのに。

隠れた第9の名盤だと思います。大音量で聴いても決して耳障りな音にならないオーケストラの好演と好録音も含めてお薦めします。廃盤になるのはそう遠くないことでしょう。バイロイトの第9と同じように、時と場所が生んだ名演奏の記録だと思います。

こちらは最近のライブ映像DVD。当然未聴。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 22:09| Comment(0) | ベートーヴェンの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする