中高年の健康管理には「サントリー健康食品オンラインショップ」

2018年02月14日

ベートーヴェン 交響曲第4番 ムラヴィンスキー/レニングラードpo 1973年来日ライブ


ベートーヴェンの交響曲の中で一番地味な存在なのが第4番だと思っています。恐らくムラヴィンスキーとカルロス・クライバーの二人の天才が得意とするレパートリーにしていなければ、この曲の知名度及びこの曲のCDの売り上げは今の半分以下になっているのではないでしょうか?
art061.jpg
この二人の天才が何故この曲に魅入られたのか不思議ですが、この曲にスポットライトを当てたことは間違いありません。

ベートーヴェン 交響曲第4番変ロ長調
指揮:エフゲニー・ムラヴィンスキー
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
1973年の来日ライブ録音
録音  4.30点   演奏  4.75点

※SACDでも出ていますが、CDで十分だと思っています。シングルレイヤーで高い!


クライバーのオルフェオのライブ録音の方が評判も良く、名盤と長い間語られていますが私は一度も所持したことがありません。

図書館で借りたLPで聴いた記憶はありますが、アムステルダムとのライブの方がいいと思って未だに購入せず。

このクライバーとムラヴィンスキーの演奏、タイム的にも外面的にも良く似ています。しかしながら、聴き終えた時の印象がまるで違います。これをどう表現すればいいか?この曲を取り上げるときには必ずぶつかる問題だなと考えていました。両者とも綿密かつ緻密なリハーサルを経てステージで演奏されるという点も同じ。

来日公演とは違う演奏。録音が劣りますが、印象は掴めると思います。

クライバーはステージで演奏する際には、即興性を加えて華麗な指揮ぶりと共に音楽が生まれ出る瞬間を楽しませてくれます。スプレーアートのように描く過程も魅せてくれ、最終的な感銘も高い。




一方ムラヴィンスキーは、即興的に聴こえるけれども実は綿密なリハーサルで構築した音楽に息吹を吹き込んで演奏する。リハーサルで彫刻のように一彫り一彫り丁寧に仕上げたものを、そのまま緊張感を持って綿密にステージで形どっていく。その一彫り一彫りが考え抜かれており、出来上がると木に命を与えるかのような仕上がり。両者とも立派な芸術作品だが風合いが異なる。


音の違いで表現するならば、クライバーの演奏はフットワークが軽く前進性がある。ジャブもストレートも早く切れがある。ジャブで試合は支配している。ただその時の試合の流れでパンチを出していき、的確なカウンターで仕留めるボクサーのような音。カウンターが絶妙なタイミングで顎を打ち抜く。打ち抜かれた瞬間は一瞬だが衝撃的。

ムラヴィンスキーの演奏は、フットワークはよく聴くと軽くない。パンチが流れていない。常に地に足がついた状態で、利き腕でないジャブの一つ一つが重く、懐に入れない。ボディーブローも徐々に効いてくる。試合は流れに任せているようだが、実は計算されたものでコントロールされている。最後に痺れが残るような強いストレートを射抜かれ終わる。その後もダメージは後遺症のように残る・・・こんな比較表現しか思いつかないですね。

今日、車の中で3回ムラヴィンスキーを聴き、今目の前でクライバーの来日ライブが鳴っています。

上の印象はそう間違っていないとやはり思いました。「ガツン」と残る度合いが違う。どちらも素晴らしい演奏と認めた上でです。

ムラヴィンスキーのこの曲の演奏記録は1972年にも残っており、当初有名だったそのCDでは音質が芳しくなく確信が持てませんでしたが、NHKの音源からALTUSが発掘した録音状態の良い来日ライブを聴いてそれは確信に変わったと思います。

今はムラヴィンスキーの来日ライブなどがまとまって聴ける。生では聴けないけど、いい時代になりました。
posted by 悩めるクラヲタ人 at 19:43| Comment(0) | TrackBack(0) | ベートーヴェンの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月02日

ベートーヴェン 交響曲第2番・5番「運命」 サイモン・ラトル/ベルリンpo 2015年録音


21世紀前半を代表する録音になると思われるサイモン・ラトルとベルリンpoとのベートーヴェン交響曲全集から。くどいですがCDというよりパッケージです。CDとコンサートブルーレイ映像と24bit96kHz音源ブルーレイDISCに加え、24bit196kHz音源ダウンロードコード付き。
A1tNdJNxzOL__SL1500_.jpg
自主レーベルからの発売なので今後も廉価販売されることはなく、入手するのに10,000円以上するのは悩まれると思いますが、買って損は無い充実の内容です。

ほぼほぼ演奏の質も揃っており、はずれが無い全集です。2020年にアンドリス・ネルソンスがウィーンpoと全集を作るらしいですが、ネルソンスの演奏をyoutubeなどで見る限り、この全集を超えるとは今のところ思えません。アンドリス・ネルソンスの指揮ぶりや作る音楽は、なんだか若い頃のヤンソンスに似ていると思うのは私だけでしょうか?脱線はさておき。

ベートーヴェン 交響曲第2番ニ長調
        交響曲第5番ハ短調「運命」
指揮:サー・サイモン・ラトル
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2015年10月7&13日 ライブ録音
録音  4.70点(ハイレゾ)  演奏  4.60点


AMAZONもちょいちょい在庫切れ。HMVだと「お取り寄せ」状態。タワーレコードさんは発売以来、安定して在庫を確保している。不思議?
タワーレコード ベートーヴェン:交響曲全集 [5CD+Blu-ray Audio+2Blu-ray Disc]


以前に6番「田園」、第1番と第3番「英雄」を取り上げました。「田園」はこの全集の中で特に優れている演奏でした。この第2番と第5番「運命」もそれに次ぐ位のいい仕上げです。演奏の特徴が良く似ています。ぎゅっと濃縮されており、少し早めのテンポで集中力も途切れない。ともに弦楽器が斬り込むような響きが古いベートーヴェンの演奏像を刷新しながらも、しっかりとベートーヴェンを聴いたという感触を得られます。それはしっかりと腰の据わったベルリンpoのチェロ・コントラバスが響きを分厚くしているからでしょう。

第2番。「タッ・タァーーーーン」という明るく刺激的な音色で「古楽器テイストか?」という入りですが、その後はテンポを落とし管楽器と弦楽器をたっぷりと深々と鳴らす。コントラバスが効いています。CDだとちょっとコントラバスの輪郭が甘くなる印象があるかもしれません。ハイレゾや演奏BDの音質だとはっきり明瞭に聴こえます。主部に入ると早めのテンポで進みますが、決して音を流さず弦楽器を追い詰めるラトル。応えるベルリンpoも見事です。グイッグイッとオーケストラを鳴らせ切りながら進みます。あっという間に楽章コーダまで耳を奪われます。

第2楽章は耳を欹てる弦楽器の絡み合いからして見事。それが常に表面的でなく歌があり、テンポが活きている。第3楽章は爽快かつ軽快の一言。ベルリンpoのfからpへのすっとした音量の変化の巧みさが光ります。クライバーがこの曲を演奏したらこんな感じになったのではないかと想像してしまう程躍っています。中間部への移行もテンポはそのままながら、すっと表情を変える木管の響きが素晴らしい。

第4楽章も早めのテンポで各楽器をたてながら上手くブレンドさせるラトルの好調さが光ります。特に何かをやっていないのにも関わらず音楽になり、ベートーヴェンを感じさせてくれる。どちらかというと昔気質な巨匠のベートーヴェン演奏を好む主ですが、ウィーンpoとの珍妙・ちぐはぐな全集よりもベルリンpoの方が伝統を踏まえているので不満は感じません。コーダも一気呵成ですがラトルの冷静な棒捌きで勢いだけの音楽になっていない。

第5番「運命」も同傾向ですが、さらに集中度とギアが上がっている印象。第1楽章はまるでクライバーが蘇ったかのような演奏です。そこにベルリンpoの厚みが加わっています。「グッグッ」と低弦がしっかりと踏みしめているのでクライバーよりも重みがあります。特に中間部の弦楽器が運命の動機を掛け合う部分のぶつかり合いはこちらの方が重心が深く凝縮力があります。トランペットがほんの少し明るめなのが残念な位。ベルリンpoの木管楽器は本当に上手い。早いパッセージでも易々と明確に吹き切っていて音色もある。

第2楽章の深々とした歌、第3楽章のこれでもかという勇壮なホルンとコントラバスの威圧的なキレを経て鬼門の第4楽章へ。すっ飛ばしてますが、「あぁこれがフルトヴェングラーやカラヤンが指揮していたベルリンpo伝統のベートーヴェンだなぁ」と思わせてくれ続けています。第2楽章で少しラトル的強弱が一部気になりますが、ほんの僅かな瑕です(笑)

第4楽章冒頭はティンパニがクッキリと「タンッ・タンッ・ターーンッ」とただ叩くだけでなく3つ目の音を強めに叩かせ間延びや勢いだけにならないようにバランスが工夫されています。これがラトルの頭の中で考え抜かれた解釈でなく注意深く聴かないとわからないように音楽としてなっているのが、この交響曲全集の強み。「ほら、他の指揮者と違うでしょ」というような感じがしない。ベートーヴェンの音楽を良い演奏で聴けていると幸せを感じます。

この第4楽章は第2番でも見事だったティンパニの腕が冴えわたります。固めのばちで輪郭をつける時と柔かめのばちで全体の響きを深める時、勢いをストップさせる一発など様々な表情を後ろで支えます。この楽章は弓をぐっと使った弦楽器と金管楽器の掛け合い、そしてブレンドが見事。最後のコーダへの伏線もしっかりしている。徐々にギアを上げて勢いよくコーダへ雪崩込む。クライバーのように一気呵成にならないのも私には好感が持てます。時折ピッコロが少し目立つのはラトル流儀ですが、ウィーンpo録音の時と違い流れの中での必然性が感じられる。どこか切れ味すっきりながらも、所々で凄みを聴かせるトゥッティもあり聴きごたえあったなぁと思わせてくれる最後の和音。

この2曲がカップリングされていて「意味がある」と感じさせる演奏です。あとは「第7・8番」を書きたいなぁと思う週末です。第7番もいいですよ。ただ第5番に比べてやや軽いかなぁと思ってもしまいますが。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 23:10| ベートーヴェンの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベートーヴェン 交響曲第7・8番 ブリュッヘン/18世紀o 1988-9年録音


軽くスパイスの効いたベートーヴェンの交響曲を。フランス・ブリュッヘンも鬼籍に入られてだいぶ経ってしまい、徐々に忘れ去られてしまっているような気がします。

未だにブリュッヘンの残したベートーヴェンの交響曲録音の中でずば抜けて優れているのは、旧録音の第7番と第8番だと思います。ベートーヴェンを新鮮かつ軽く刺激があり良い録音でとなると必ず手に取ります。カルロス・クライバーとは全く違った興奮を得られます。

ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調
        交響曲第8番ヘ長調
指揮:フランス・ブリュッヘン
18世紀オーケストラ
1988-9年 ライブ録音
録音 4.50点 演奏 4.60点


タワーレコードさんだとカッティングなどにこだわってほぼ同価格でタワレコ限定盤として発売されています。
ブリュッヘン ベートーヴェン: 交響曲第7番&第8番<タワーレコード限定>
全集で分売されています。第5番も薦めます。

両曲とも目が覚めるような録音。抜けもいいですし、トランペットとティンパニのアクセントが効き響きも新鮮で両曲とも目から鱗の演奏です。古雅でありながら迫力も適度、ノンヴィブラートで颯爽と駆け抜けますが、アクセントがくっきりついていてあっという間にこの曲を聴き終えれます。この曲の良さを再発見できる演奏です。

第7番は最初の和音で「少し重みが足りないかな」と思いますが、全体を通して聴くとそこだけ重みを付けると不自然になるので妥当な始まり。あとは基本テンポは早いですがクライバーの演奏と違い一つの音も流さずにしっかりと弾き・吹き切る。そこが爽快。人によっては古楽器特有の弦楽器の薄さ、トランペットなどの強奏が気になるかもしれませんが、この7番に関してはそれが功を奏しているように思います。

第4楽章などは特に推進力と迫力があり、何回聴いても飽きないし発見と興奮が味わえる名演。鳴りにくいはずの第4楽章が古楽器演奏でもこれだけ鳴りきらせることができるのかと感心。クライバー並の一気加勢のテンポなので繰り返しも「お代わりちょうだい」位で丁度いい。クライバーよりも曲の内容(解釈ではなく)を抉っている。コーダ最後の「タタタッ・・タタタッ」という和音も思い切ってストップをかけ、明確に区切って〆るのもオケが鳴りきって素晴らしい。最初は違和感がありましたが。

このブリュッヘンの旧録音はツアーを回って、演奏の質と向上・精度が高まった最後のオランダ公演をライブ録音するのが恒例でした。なので指揮者・オーケストラが自信がありつつ「さぁ録音だ」という気迫が感じられる。カラヤン方式とは真逆。

だから全集買っても損はないと思います。安いですね。

次の第8番、第1楽章の清々しい小気味よい入り方から魅かれます。こちらも全楽章に渡り、各楽器の明るい響きと乾いたティンパニの音がいい味をだしています。それでいながら第1楽章クライマックスでの凄惨な鳴らせ方、第2楽章古楽器特有の温もりとユーモア感、第3楽章のスキップするように通り過ぎてゆく軽快さ。特に第4楽章は前進性に優れティンパニが好調。コーダの「パコポコパカポコパッ」というところはこの録音だとしっかりとスピーカーから品よく飛び出してきます。最後の和音の後のホールに残る余韻も倍音が綺麗で清清しい。

ベートーヴェンの交響曲第8番は地味な曲ながらいろんな解釈が可能。ワインガルトナーで戦前ウィーンpoは良かったなぁと懐古趣味に浸りながらワインを嗜み、メンゲルベルクの硬質な演奏とポルタメントで時々前のめりになって驚きペルシャ猫が逃げてワインを零しそうになり、クナでワイングラスを落として割って思います。ブリュッヘンは朝、コーヒーを味わいながら「今日も一日頑張るか」と聴くのに最適な演奏です。

ブリュッヘンは晩年にSACDで再録音しましたが、折角の演奏がオフ気味の録音でホールトーンを取り入れすぎ、低音がぼやつき残念。スケールが増していいところも多いのですが、手を伸ばすのは旧録音の全集ほうが多いです。正直ブリュッヘンが心身ともに元気だった、もう少し早い2000年代に再録音してくれればよかったのに・・・

リマスタリングされれば変わるかな?

この後、現代オケで様々な同曲を聴きましたが、古楽器演奏の影響を受けたのか中途半端な演奏が多い気がします。第1・2・8番はなんだか古楽器オケの曲になってしまった・・

ラベル:優秀録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 07:37| Comment(2) | ベートーヴェンの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする