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2018年02月19日

マーラー 交響曲第5番 プレートル/ウィーン交響楽団 1991年ライブ録音


ウィーンpoとのニューイヤーコンサートでブレイクを果たしたプレートル。その後、宇野氏の後押しもあり、このマーラーなどのCDで遅れてきた巨匠的にやたらとCDが発売されましたが、このマーラーを超えるものは現れなかったような気がします。

ベートーヴェンの第9もレコード芸術は推薦していましたが、私には期待外れでした。若い頃はオペラ指揮者として有名でしたが、歌手を引っ張って統率するというタイプでは無く、オペラ歌手がやりやすい、特にカラスなどのように自分の好きなように歌いたいという歌手に上手く利用されていたという指揮者の印象が拭えない。

しかし、オーケストラからは愛される指揮者みたいで、この人が振ると曖昧な指揮もありアンサンブルはずれますが良く鳴ります。そんな彼のやりたい放題で最高の1枚はやはりこれかなと思います。

マーラー 交響曲第5番嬰ハ短調
指揮:ジョルジュ・プレートル
ウィーン交響楽団
1991年 ライブ録音
録音 4.40点  演奏 4.55点



マーラーの交響曲に興味を持ったのは第1番からで、その次にショルティ/シカゴ響の来日公演の映像を見て第5番に魅かれました。有名なアダージェットが美しいことと、フィナーレがかっこいいからです。

メンゲルベルクの有名なポルタメントたっぷりな、身も心もとろけるアダージェットです。

曲全体としては、やはりマーラーの特徴のひとつでもある冗長さが目立ちます。第2、3楽章は少し聴いていて眠くなるときがあります。実際にコンサートで聴いたときここが一番辛かった(過去の話ですよ)。なので、バーンスタインのような作曲者への愛情を全身全霊でこめたような演奏や、このやり過ぎ位に演出のきいたプレートルのような演奏がちょうどいい。

このCDはかなり話題となり、プレートルの株は一気に上がりました。ニューイヤーコンサートが評判になったこともありますが、有名歌手の伴奏指揮者位にしか思われていなかったプレートルが日本で再評価ののろしを上げたCDです。

「こんな演出過多な演奏をする指揮者だったんだ!」と。某評論家は踵を返すように出るCD(ブルックナーまでも!)を殆ど絶賛しましたが、良いと思って棚に残っているのはこのCDと同じマーラーの「第6」とニューイヤーコンサートくらいです。

後は、最近の指揮者がやらないアゴーギクを尽くしているだけで、曲とマッチしなければ駄演になってしまう諸刃の刃を持つ指揮者でした。

何もしない、アゴーギクというか重箱の隅をつつくような細部にこだわる演奏よりも、大局観な視点でアゴーギクを聴かすという点ではやはり一枚上手でしたね。
芸術至上主義者ではなく、一期一会のコンサートを楽しませてくれる指揮者でした。
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さてこの曲では先の理由により、やりすぎていてちょうど良く私は感じました。第1楽章最初のトランペットこそ大人しめに始まりますが、徐々に振幅激しくなっていくライブ演奏です。レビューを見ているとマーラーの演奏としては異質で賛否両論ですが、客観的視点か血を滾らせる演奏だったマーラー演奏とは違い、楽譜を新鮮な視点から見て再構築した演奏で、これだけ楽しませてくれれば十分。

特に爆発しているコーダでピアニッシモまで音量を下げヴァイオリンの副旋律(私が好きな副旋律で、通常の演奏では金管に隠れて聴こえにくい)を際立たせ、止まりそうになるほどテンポを落とすところなど最高です。そこから怒涛の進撃で終曲。これは盛り上がります。

これは2000年のプレートルの同曲ライブの映像みたいです。CDに比べると大人しく聴こえます。

マーラーの第5番を聴くときにはこのCDが一番多く手に取ります。次にM・T・トーマスの録音・演奏優秀なクールで精緻な演奏、そして3番目にバーンスタイン/ウィーンpo盤です。

超録音優秀なトーマスのハイブリッドSACD。素晴らしい!!

評論家たちが持ち上げたプレートル熱も、最後はすっかり忘れ去られた感がありました。過去のライブ音源のCDも出なくなりましたね。

最近のつまらない、優等生ばかりのニューイヤーコンサートを聴く・見る位ならこの方が十分楽しめます。

2回とも愉しいコンサート。
posted by 悩めるクラヲタ人 at 19:51| Comment(0) | TrackBack(0) | マーラーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月14日

マーラー 交響曲第9番 ジュリーニ/シカゴ交響楽団 1976年録音


何を聴こうかな?とそんなことを思った朝。ふとジュリーニでマーラーをということで、名盤の誉れ高いシカゴ響とのマーラー第9番です。普通この曲のCDを聴こうと思う時というのは、少し陰鬱な気分になるものですが、このジュリーニ盤に限ってはそれがない。それがこの演奏の特徴でもあります。何も気軽に聴けるという意味ではありません。
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この録音はレコード芸術でも褒めちぎられ、レコードアカデミー大賞もとった記憶があります。この録音が発売された時期を考えると、まだこの曲の優れた(特に機能的な面で)CDは少なかったからですから、今のこのCDの立ち位置は全く違います。当時としては画期的で異次元なマーラーに聴こえたことでしょう。

マーラー 交響曲第9番ニ短調
指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
シカゴ交響楽団
1976年 シカゴ、メディナ・テンプル
録音 4.40点 演奏 4.45点



優れた演奏です。でもそれはマーラーの演奏としてどうかというと悩みます。私はこのCDをジュリーニの音楽を聴きたいと思って聴きます。ジュリーニのマーラーは演奏記録としても第1番と第9番、あと大地の歌しかないはずで、必ずしもマーラー指揮者ではありません。この彼の選曲の仕方を見ても、純交響曲の一角としてこの作曲家の作品を取り上げたのだと思います。

演奏はショルティ時代でちょっと気を緩めるとバリバリ鳴らすシカゴ響をしっかりとコントロールして、レガートを多用しながら、大きな呼吸感で音楽を構成していく正攻法で、ショルティのような機能全開、当時のレヴァインのような劇場型、バーンスタインのような血を感じさせる演奏とは全く違う。もう冒頭からそれははっきりとわかります。美しい音楽なんだけれども、途中で「これマーラーの第9だっけ?」と思う瞬間もしばしば。

燃えるジュリーニを聴きたい方はベルリンでの「巨人」を。

死への諦念が込められた曲にもかかわらず、死への憧れすら感じさせる「歌」に溢れる表現。決して焦らず興奮せず、目の前にあるスコアに無心で取り組み、作曲家の僕となり、最上の形で空間に送り出す。鳴らすべきところはしっかりと鳴らす。トロンボーンやトランペットも咆哮はしますが、叫びでは無い。あくまで全体の構成の中でも必要な強奏。リマスターされてその分、耳触りが良くなり特に顕著になりました。メディナ・テンプルという会場はシカゴ響のホームでは無く、少し響きのある録音会場なのでそれが良かった部分もあります。

この演奏の一番の特徴は木管と金管・打楽器を支える弦楽器の複雑な絡み合いを、それぞれのセクションがしっかりと歌いぬき分離しながらも溶け合うところでしょう。もとはフルトヴェングラーの元でも演奏しことのある弦楽器奏者だったジュリーニならではのいつもの特徴ではありますが、シカゴ交響楽団というメリハリしっかりしたオーケストラということと、録音がそれを上手く捉えている。第1楽章の管楽器の平和を感じる長いフレーズ、時々陰りも感じますがそれは美しさを際立たせるための一瞬の引きではないかと思う位。

第2楽章も同様。今の一般的な演奏のように角を立ててアンサンブルの精緻さを競いリズム優先よりも「歌」優先。柔かく深い音で諧謔的な音楽が続きます。楽章全体を見てこの部分で必要な音・響きはこうでなければならぬという構成力があります。これがショルティが振っていた同じ楽団かとも疑う程の音彩が引き出されています。少し贅沢な不満があるとすれば、諧謔的で民謡調な楽章にもかかわらず、まじめすぎるという点でしょうか。音楽・旋律への愛が強すぎて・・・

第3楽章も派手派手しくならない。後年のジュリーニと違って中庸のテンポで鳴らすべきところはしっかりと力こぶを入れ鳴らし、ティンパニもここは効果的に鋭角的に叩かせています。ただ金管のコントロールはここも流石で手で鳴らし過ぎるなと指示しているのが目に浮かぶよう。ただやはり弦楽器群の歌が本当に愉しそうに演奏しているのがわかる。

指揮者への信頼感が感じられる。「あなたと音楽が出来て幸せです」というような空気感。楽章最後のテンポ変化の追い込み・勢いでは無く、あくまで冷静でシンフォニックに聴かせる手腕は見事。普段は聴こえないヴィオラ・チェロの音がよく聴こえる。

晩年のブルックナーのリハーサル風景の一部。もうすでに巨匠中の巨匠なのにそんなことを微塵も感じさせない紳士な人ですね。

そして最後のアダージョ。バーンスタインなどは最初の和音からぐっと胸を締め付ける抉りを入れてきますが、全く逆。ふわっと静かに鳴らし始め歌い始める。その呼吸感の自然さが素晴らしい。後は身を委ねておけばジュリーニが「音楽すること」と音の重ね方・ハーモニーの素晴らしさを演奏家と共に伝えてくれる。全く暗さは無く純音楽的交響作品として扱われ、胸を熱くするマーラー演奏の多い中、部屋と心を暖めてくれる演奏です。

そして深い感動と音楽を聴いた喜びがしっかりと後に残る。もう一度最初から聴こうかなと思う程。最近は30分近くかけて陰湿ともいえるほど遅く演奏されることも多い第4楽章ですが、このジュリーニ盤は約25分。遅さは全く感じない。最後のコーダもそのままストレートにテンポも音量も落とさずに滔々と歌い紡いでいきます。

今となってはかなり異色な演奏に思います。特徴が無い演奏とも捉えられかねない。上記理由に逆にそれは違うと、これはジュリーニの論法で捉えた独自のマーラー解釈で師の諦念などとかスコアに書いていないことは考えなくてよくて、一交響曲として素晴らしい作品なんだと、逆に「マーラーはまだまだこんな音楽が書けるほどの力があったんだ。」とも感じさせてくれる。

私が持っているのはこの廉価BOX。ブルックナー・ブラームス、このマーラーなど彼の一番いい時代の録音がまとめられています。紙ジャケ仕様ではないので場所をとるのだけが難点・

人気が衰えない理由がわかるようなジュリーニの全盛期の名盤です。
タワーレコード ジュリーニ一覧

posted by 悩めるクラヲタ人 at 02:48| Comment(0) | マーラーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月30日

マーラー 交響曲第4番 グリスト&バーンスタイン/ニューヨークpo 1960年録音


マーラーの交響曲第4番は、過去にクレンペラー盤を紹介していましたが、私にとっての本命盤はこのバーンスタインの旧全集に含まれるレリ・グリストとの演奏です。シュヴァルツコップも見事ですが、天使のようなソプラノとしてはこちらの方が数等上を行きます。

マーラー 交響曲第4番ト長調
ソプラノ:レリ・グリスト
指揮:レナード・バーンスタイン
ニューヨーク・フィルハーモニック
1960年 スタジオ録音
録音 4.40点  演奏 4.60点


輸入盤の廉価全集です。リマスタリングされて音質良好。

バーンスタインにはアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団との再録音盤がありますが、テンポが遅くなりこの曲の可憐さが薄まっていること、第4楽章にボーイソプラノを使用していることがあまりうまくいっておらず、レビューの概ねの評価もこの曲に限っては旧盤支持派が多いですね。



曲については前回のクレンペラーの記事でも書いた通り、マーラーの愉しい部分が満載で、演奏時間も1時間未満と非常に聴き易い、初心者にも安心して薦められるマーラーの交響曲です。第1楽章曲頭の鈴の音からのフルートから異次元へ連れて行ってくれます。第2楽章は諧謔的なスケルツォですが暗くなく、第3楽章も冗長になる寸前で留まっていて、美しい旋律の戯れをただ聴き惚れるのみ。第4楽章はソプラノが天上の楽しさを可憐に歌い上げ、カラフルな管弦楽がそれに華を添えます。





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ここでのバーンスタインの演奏は、ノリが良くジャジーな勢いがありこの曲の魅惑的な旋律を存分に堪能させてくれます。当時のニューヨーク・フィルの少し雑な部分も見えますが、愛嬌で済むくらいです。若きバーンスタインのいいところが出ていて、ショスタコーヴィチの第5番と共にバーンスタインの初期の名盤として知られています。

この曲の歴史的な録音ではメンゲルベルクが有名です。

ライブ録音なのですが、今指揮者がこんなことをやったら楽団員から総スカンくらう、「さぁはじめるぞ」と譜面台を指揮棒で叩く音まで入っています。メンゲルベルクは、マーラーが認めた演奏家ですが、交響曲で残っているのはこの曲だけ。メンゲルベルクには、一番相応しい曲なのかもしれません。ポルタメントがはまっています。テンポが時折ガクンと落ちるので、顎も時々落ちますが(笑)

この曲の詳しい説明は、バーンスタインにお任せしましょう。マーラー入門にとっておきのバーンスタインの映像。マーラーの魅力の説明と、第4交響曲の第4楽章をレリ・グリストの貴重な映像と共に見ることが出来ます。

このヤングピープルズコンサートは、英語ですが子供にもわかるように、バーンスタインが明確かつ簡単な英語で話しかけているのでいいですね。

後々ブルーレイ化されるかもですが。

最後に少々お高いですが、日本独自のハイブリッドSACDであれば、録音点数は4.50点つけてもいい位にワイドレンジで素晴らしい録音です。グリストの声が本当に可憐・・・廃盤になる前に是非。


レリ・グリストは、カール・ベームにも愛されたソプラノ(フィガロでのスザンナは彼女の当たり役)だったのですが、その後の活躍は不明。当時、黒人の歌手は少なかったですから、もしや・・・とも思ってしまいます。勿体ないですね。
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ラベル:SACD
posted by 悩めるクラヲタ人 at 19:22| Comment(0) | TrackBack(0) | マーラーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする