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2017年05月28日

ブルックナー 交響曲第6番 ヴァント/北ドイツ放送交響楽団 1996年ライブDVD


愚かだ・・・ヴァントの演奏は晩年のほうが良いという先入観もあるし、ヴァントのライブ盤の嵐に嫌気がさしていた頃のリリースということもあって全く無視していた北ドイツ放送交響楽団とのDVD集。youtubeでブルックナーの第5番や8番は見て「ベルリンpoのほうがいい」、第7番は中古で安かったので買いましたが変な編集でこのシリーズはあまり期待してなかったのですが・・・
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HMVで在庫特価だったので1,000円以下で買えるということで未聴のブルックナーの第6番を購入。1996年のライブなので、以前書いたミュンヘンpo 1999年ライブより3年前。だからまだ完成されてないだろう・・・見て聴いて唖然。DENONとARTHOUSEでは音も映像も違うのか、ただ第7番の編集が酷かっただけなのかその素晴らしさに驚き、今まで無視していたことを後悔しきり。ブルックナーの第6番はもうこれ以外は聴かないだろうと思うほど何回も通勤の車中、そして帰宅してからも見るというはまりぶり。ヴァントの絶頂期は1995年前後だったのではないかと思ってしまう演奏です。

ブルックナー 交響曲第6番イ長調
指揮:ギュンター・ヴァント
北ドイツ放送交響楽団
1996年 ムジーク・コングレスハレでのライブ録音
録音 4.45点 演奏 4.70点


この演奏会シリーズはTDKでも出てたし、DENON・ARTHOUSEからも出ていて版権関係がよくわからないですが、もう入手難になってきていることだけは確か。取捨選択して残すべきものは残してほしい。私が所持しているのはARTHOUSE MUSIC発売のもの。AMAZONで探しても見つからなかった。

シュレースヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭での演奏会です。ヴァントのライブ録音の評価はまずRCAからの北ドイツ放送交響楽団で名声に火が付き、ベルリンpoとのブルックナーでそれは確固たるものとなりました。その後、ミュンヘンpoとのライブが出て「ベルリンpoとどっちが名演か?」となり、ベルリン・ドイツ交響楽団とのライブ録音も出て気迫に満ちるヴァント再評価と辿りました。そんな流れの中で本妻であった北ドイツ放送交響楽団との録音群は徐々に忘れ去られる運命となってしまいました。ライブDVDや未発売のライブ録音も「またブルックナーの、それも北ドイツ放送交響楽団とのライブ録音か・・・」というタイミングで発売だったので損した感じです。

この演奏会は1996年なのでベルリンpoとのブルックナーの交響曲第5番を演奏した年と同じということになります。よほど気力・体力に満ちた年だったのか、演奏にケルン時代のような気迫もあり神懸ってくるターニングポイントだったのかもしれません。ヴァントの同曲の録音は、ケルン放送交響楽団との1976年盤、その後ヴァントのブルックナー再評価の端緒となる1988年のRCA録音、その後1995年にもライブ録音がされています。

もともとケルン時代の録音から、ヴァントのブルックナー演奏の中では6番の評価は高かった。

このDVDに話を戻すと1曲目にハイドンの珍しい交響曲76番が演奏されています。その後、ブルックナーが始まりますが、緊張感がぐっと増すのが映像だと如実にわかります。第1楽章の「ティッティ・ティティティ・ティ」というヴァイオリンの弱すぎないヴァイオリンの明確なで揃った刻みから、この日のヴァントの演奏の方向性がわかります。リズムをクッキリとさせながら、各楽器を陽光さすような温かい音色で歌わすということ。だれないようにティンパニは決然と叩かせる。その為、スケール感の物足りなさから第5番と第7番の陰に隠れがちなこの曲を、「そうではない」曲として仕上げています。

youtubeのサンプル動画。画質が悪いだけで本物は大丈夫ですよ。

常にバスを強めにし、緩まないテンポで金管も主旋律だけでなくしっかりと吹かせる。弦のピチカートで演奏する部分でも強め。そういう細かな積み上げでスケール感もありながらリズミック、そしてなにより第9番の予兆も感じさせるような演奏です。この交響曲ではティンパニのリズム打ちが目立ちますが、一転交響曲第7番でのティンパニはトレモロでしか叩かないって知ってました?第7番の完成形が第8番だと思うのですが、第9番は第6番傾向の完成形になる予定ではなかったのかと思います。ヴァントがそう捉えて演奏していたとは思えませんが、この交響曲らしからぬ深さと重さも感じさせてくれる演奏です。

この演奏での第2楽章の深さ・神秘的な美しさは言葉に表しようが無く、並の演奏による第7番・8番アダージョよりも圧倒的に美しく・魅力的で濃縮(凝縮では無く)されています。楽章最後の部分はブラームス的でもありながら「マーラーの音楽か?」といった不思議な感覚に陥る響きがします。この日の北ドイツ放送交響楽団の調子の良さも大きな要因です。アンサンブルが揃っているのもそうですが、各楽器・各奏者の良さが出ているという意味で。特に全楽章に渡ってヴァイオリン、コントラバス、ホルン、ファゴット・クラリネット、そしてティンパニが素晴らしい。

違う意味で荒っぽいバーンスタインの演奏。予想外のコーダの粘り。

第3楽章の迫力の中にも木管楽器の魅力が散りばめられています。颯爽と切れ味がいい。ヴァイオリンの強めピチカートの中で行われる木管楽器の絡み合い・掛け合いが本当に愉しいし、聴いていて幸せになります。トランペットが8割の力で流さずに吹いているのもいい。第4楽章は総決算でこんなに壮大な交響曲だったかと本当に驚かされます。ヴァントにはこのほかにミュンヘンpo、ベルリン・ドイツ交響楽団とのライブもあり所持していますが、この日のライブ録音が一番優れています。

表現としてはミュンヘンの深遠さとベルリン・ドイツとの荒々しさのいいところ取りであり、北ドイツ放送交響楽団の音色と調子の良さが光ります。特にティンパニ。第4楽章コーダのティンパニの腕の見せ所ですが、最後の総奏に入る前に「タンッ・ダラララララッ・ダン、タンッ・ダラララララッ・ダン、ダダダダダダダダダダダダンッ」と叩くところが絶妙で、後半のダダダの続きが「まだまだまだまだいくよ(ダンッ)!」という感じに見事に決まっている。

ヴァントの指揮ぶりからして元気そうな演奏会。縦に左右によく指揮棒が振れているし、逆に振りを抑えてオケに任せる様な部分も見受けられるのはちょっと驚き。「今日はあなたたち調子いいからリハーサルのようにやってくれればいいよ」と。以前ヴァントとミュンヘンpoの1999年ライブも記事にしましたが、明らかにこちらの1996年北ドイツライブを薦めます。過去記事↓
・ブルックナー 交響曲第6番 ヴァント/ミュンヘンpo 1999年ライブ録音
もうミュンヘン盤聴かないと思います。後々記事削除します・・・他の指揮者の演奏も聴かないような気がします。土下座します位な気分。この演奏を知らなかったのでお許しください。

本当に購入してから何回も繰り返し見たDVDです。一緒に買ったジュリーニとシュトゥットガルト放送交響楽団のブルックナーの交響曲第9番のリハーサル+コンサートDVDに1週間全く手が伸びない位。この文章の長さ、要領の得なさから感銘度の深さをお察しくださいといったほうが丁度いいのかも(笑)

タグ:ヴァント
posted by 悩めるクラヲタ人 at 10:45| Comment(0) | ブルックナーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月27日

ブルックナー 交響曲第8番 スウィトナー/シュターツカペレ・ベルリン 1986年録音


個人的に再評価が進んでいる指揮者 オトマール・スウィトナーのブルックナーを中古で入手しました。某評論家のせいで「フルトヴェングラーやバレンボイム型の演奏」という言葉から、少し距離を置いていたCDでもあります。いわゆる激情タイプの演奏でテンポ変化が激しく、熱っぽく演奏するという印象を先入観として持ってしまっていた。
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ただブルックナーをのCD蒐集家さんのHP見たら「その解説は適切ではない。強烈なアッチェレランドをかけるマタチッチを褒めておいて、このスウィトナー位のテンポ設定でフルトヴェングラー的とは的外れ」と書いてある。ふむふむ。その言葉信じてみよう。

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調(ハース版)
指揮:オトマール・スウィトナー
シュターツカペレ・ベルリン
1986年 スタジオ録音
録音  4.55点  演奏  4.60点




結果、信じて正解。ヴァントの演奏を信奉するかたにとっては緩いと思われるかもしれませんが、非常に包まれるように温かい音色と表現です。決してテンポ変化は頻繁では無く、アダージョなどは楽想のブロック単位で微妙にテンポを変える位で、第4楽章もコーダに早くなっていくな、そして「タタタ!」と締めくくる。ここだけとればフルトヴェングラー的。優れたオーケストラによる朝比奈の演奏的でかつキレがある、ヴァントほど客観的でなく曲に没入して演奏しているのが適切ではないかと。

いつもスウィトナーの演奏を褒めるときは「録音とシュターツカペレ・ベルリンの音が・・・」と言ってしまいますが、この第3楽章は大音量で聴くとこのアナログ的で人懐っこい楽器の音に浸ってしまい指が止まります。第4楽章の冒頭で「ハッ!」と指が再び動いている次第。第4楽章冒頭のティンパニは思いっきり叩かせていますが、威圧的でない意味のある強打だからうるさくない。これは第4楽章全体的に言えることで、ここぞという時のティンパニの一撃は必殺です。


第1楽章・第2楽章も素晴らしいですが、第2楽章は少しスウィトナーの肩の力が抜けたか少しだけ落ちるような気がします。意外とテンポ変化とブルックナー休止をせず、粛々淡々と進めているからで他の楽章に比べればという問題です。第1楽章の最後のクライマックスの阿鼻叫喚と言えば言い過ぎですが、徐々に熱を帯びていきトランペットの警句に持っていくまでの熱量の後だから余計にそう思ってしまうだけ。



総合的に言えば本当にウェルブレンデッドな演奏。キレもある。ヴァントのようにエスプレッソでも、朝比奈のような粗びきでもない。ヴァントと朝比奈の名盤CDはライブ録音ですが、スウィトナーはスタジオ録音。それでいて指揮者もオーケストラも冷静過ぎず、演奏が進むについて熱っぽさを増していくライブ感があるのは瞠目すべき。ティーレマンとシュターツカペレ・ドレスデンではこの味は出せないだろうなぁ。

なお、録音はベルリン・キリスト教会での響き過ぎず楽器の音が溶け合う名録音。楽団一段となってスウィトナーのぶらぶら肘を揺らしながらの指揮に喰らいついていっているのが目に見える。相思相愛ぶりが伝わってくる録音と演奏です。もっともっと評価されるべき録音で演奏だと思います。少なくともカラヤンとVPOのものよりは・・・

この録音の最後のトランペットの明らかなおかしさを指摘しない評論家達はおかしい。

ただこの演奏は第8番だからフィットするんだろうなぁという気持ちもあります。この録音は恐らく全集を目指してこの第8番からスタートしたのですが、90年のスウィトナー引退で中止。第5番や第7番も録音しましたが、ちょっとここまでの域には達していない。録音されなかった第3番なら良かったかもしれないと思うと残念。

あとN響はあまりスウィトナーの音楽を受け止めきれていなかったのではとも気づいてしまった。音色で聴かせる指揮者でもあるので。燃えた燃えないでしか評価がされていなかったのは正しくない。

で、このCDを聴くきっかけとなったブルックナー蒐集家さんのHPでは、同年ライブ録音の方がもう少しいいとのことで・・・・・

聴いてみたくなってしまった。HMVのレビューを見ると調子のいいスウィトナーのライブだと思われます(笑)

タグ:優秀録音
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2017年05月23日

ブルックナー 交響曲第2番 インバル/東京都交響楽団 2011年ライブ録音


今日はいい録音でブルックナーを聴きたいと思い、最新録音のブルックナーを。レーベルはエクストンなので音はいいのですが、SACDでないのが残念。ハイブリッドSACDで出すことが多いのに、何故かこの録音は通常のCDのみでの発売。そこが不満ではありますが、十分優れた録音です。

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インバルと東京都交響楽団のCDは演奏だけでなく録音も軒並み優れており、レコード芸術だけでなくHMVやAMAZONのレビューでもかなり高評価です。ショスタコーヴィチ・マーラー・ベートーヴェン、そしてブルックナーも。前にショスタコーヴィチを取り上げましたが、それ程インバルのCDが棚に並んでいるわけではありません。全て聴いてみたいのが正直なところですが、国内盤なので高くておいそれとは。

ブルックナー 交響曲第2番 ハ短調
指揮:エリアフ・インバル
東京都交響楽団
2011年 ライブ録音
録音  4.65点   演奏  4.55点


e-onkyoで他のブルックナーやマーラーの演奏がハイレゾ音源が配信されてます。なにげにハイブリッドSACDよりも安い場合があり、しかもいい音。


素直に優れた演奏だなと思います。普通ブルックナーを聴くときには、初期の交響曲と言えども身構えるものですが、さざ波が始まった瞬間に美しい演奏で曲だと感じさせてくれます。東京都交響楽団も本当にレベルが高く、綺麗な音色を奏でています。混じり気の無い純度の高いブルックナーの演奏。

朝比奈・ヴァントなどのブルックナーとは全く方向性が違います。あちらは聴後にずっしりとした後味が残り屈服させられますが、インバルのこの演奏は違います。不思議な爽快感が残ります。通常ブルックナー・ファンが求めているオルガンのような響きはインバル盤にはありません。ただ各パートをしっかりと鳴らしインテンポ(微妙な揺らしは当然あります)でブルックナーを堪能させてくれる点ではヴァント・朝比奈と同じなのですが。


若い頃のジュリーニの演奏。悪くない演奏です。

インバルの名前はフランクフルト放送交響楽団とのマーラー及びブルックナー全集で有名になりました。レコード芸術の名盤500では当時必ずマーラーとブルックナーのベスト3に入っていた位絶賛されていたのが懐かしい。ブルックナーの場合、第1稿使用の優れた全集ということでも高い功績を残しました。ワンポイント録音での名録音でも有名。

当時の私には演奏・録音ともそれほどかな?と思っていたので、徐々に忘れ去られて今に至るのはちょっと予想してましたが、ここまでひどいとは思いませんでした。あの時絶賛していた評論家はどこにいるのでしょうか。




東京都交響楽団との演奏はあの時と全く違うものです。徹底したリハーサルで音を練り上げる基本姿勢は変わっていないのでしょうが、求める音のベクトルがどの作曲家に対しても不変になったような気がします。普通はマーラーを演奏する時、ブルックナーを演奏する時で姿勢・音色・表情付けを変えるものですが、ショスタコーヴィチと比べても変化がない。このブルックナーの第1楽章や第2楽章をつまんで聴くと、時々「これはブルックナーの音楽だろうか?」という瞬間に出会います。


昔この第3楽章のコーダはカセットテープのアクシアのCDで使われていた記憶があるのですが。記憶違いかな。

ヴァントのブルックナー演奏を美術で例えるなら、大きな木の塊を小さい彫刻刀で細部に拘って一つの作品を作り上げる。しかしここぞという部分には大きな刃でぐっと彫りを入れる力強い部分がある。その作品は見るものに有無を言わせぬ厳格さと存在感を与える。

インバルの演奏は綺麗な純白の大きなキャンバスに細い筆で点描画を描いていく。細部に拘る部分は同じなのですが、太い筆を一切使わずひたすら様様な色を重ね合わせながら細い筆で点描していくイメージ。全体としてみるとスケールな大きな作品に仕上がっている。ただ触れると壊れてしまいそうな繊細さがあります。


最後は「ダン!」と行きますよね。ヨッフム旧盤の第4楽章。

第4楽章の最後の和音が特に印象に残ります。最後の3つの和音のところだけかなりテンポを落として演奏しているのですが、普通はテンポを落とすなら思いっきり力強く鳴らすところを最後の和音は少し力を抜いた余裕を持った和音で曲を締めくくります。芯はしっかりしているのですが周りは綿毛に覆われているような和音とでも言いましょうか。なので、タンポポの綿毛を「ふっ」飛ばしたかのような残響が録音されています。

世界的にこの演奏が評価されるのかはわかりませんが、フランクフルト放送soとの演奏とは違う不思議な魅力を持ったブルックナーです。聴いた後にこれほど清々しい気持ちになれるブルックナーは珍しいと思います。日本のオーケストラとインバルが残したこの優れた演奏と録音はしばらくの間カタログに残って欲しいものです。しかしひたすら愉しく美しい瞬間が多い演奏で録音だこと。

タグ:優秀録音
posted by 悩めるクラヲタ人 at 19:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ブルックナーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする