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2017年11月06日

ブルックナー 交響曲第8番 ヴァント/ベルリンpo 2001年録音


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ブルックナーの交響曲第8番。まぁありきたりな選盤の様で申し訳ありませんが、録音状態とオーケストラの精度を考えるとヴァントとベルリンフィル盤になります。ヴァントとベルリンpoのブルックナー録音は、5番からスタートしこの第8番が最後となりました。ヴァントが鬼籍に入ったことにより、翌年の第3番録音の予定が無くなったことは残念です。

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調
指揮:ギュンター・ヴァント
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 4.55点  演奏  4.60点



演奏の詳細は申し上げるまでもないでしょう。ベルリンpoの機能美を全開にしつつもカラヤンのようにそれを誇示することが目的ではなく、全てをスコアに書いてあることを正確に鳴らしきることに注力した賜物のようなCD。この演奏はエソテリックが最初にSACD化しBOX販売しました。確かインタビューDVDおまけ付きで12500円位でしたか?今はBMGがそれを上記のように分売しているのですが、何故かその初回BOXはヤフオクで未だに40,000円位の相場で取引されている。不思議なことです。


凄い価格ですね。DVDのために大枚はたくのか?

ヴァントのブルックナーは詰めが厳しすぎるという意見もありますが、第1回目の全集(昔聴いて以来あまり聴いていませんが)はヴァントの意思100%でオケには自由を許さないという雰囲気があり、録音の加減か金管がきついためより切詰めた感が強調された感が否めません。
2回目の全集はオーケストラが北ドイツ放送楽団に変わったことでそこにふくよかさが付きましたが、録音会場選定とマイクセッティングが良くなく発売当時は重宝されましたが今は影が薄い。その頃にはヴァントの意思95%、オーケストラのカラー5%位になっていたでしょうか。

1990年代以降のヴァントは凝縮された響きや表現自体に変化はそう無かったのですが、ベルリンpoのコンサートマスター安永さんが語っているように、厳格なタクトに少しずれともいえる「揺れ」が出たことが演奏に影響されたのか、テンポも一般的に遅くなり腰が据わった音に変わりました。それはヴァントの意思90%、オーケストラのカラーと自発性10%の比率になっていたのでは?と思います。なのでこの第8番を下記の演奏で所有していますが、同じ様で同じでない面白さがあります。

・ベルリン・ドイツ交響楽団 1995年ライブ
・北ドイツ放送交響楽団 2000年5月ライブ
・ミュンヘン・フィル 2000年9月ライブ
・ベルリン・フィル 2001年ライブ


ベルリンpoよりもいいのではと一部で言われているミュンヘンBOX。

これ以外に2000年7月の北ドイツ放送交響楽団のライブDVDも残っています。ベルリン・ドイツ盤はまだヴァントの意思の力が強く深さより直接的な響きが魅力(但しティンパニの音が遠く、金管の音は逆に少し刺さる)、北ドイツ盤は旧盤に比べ恰幅がありお互いの意思疎通がしっかりできていて安心感がある演奏(ティンパニは柔かいバチですが前に出てくる録音)、ミュンヘン盤は北ドイツの演奏で感じた木管セクションなどへの不満が解消されるというか、全体的に本当にチェリビダッケにファイン・チューニングされていると驚く演奏。ホールの残響も含めヴァントの凝縮した解釈に木質感を与えている。チューニングがしっかりされているためか残響(倍音成分)が美しい・・・


そしてその総まとめがベルリン盤となります。ベルリンpoが本気になるとこんな音が今でも出せる、そして最後まで緊張の糸が途切れない。その為、第8番に関してはミュンヘン盤を好む方も多い。私はSN比とダイナミックレンジの広さを考えるとやはりベルリン盤かと。

で、2000年5月北ドイツ放送交響楽団とのライブで最後のコーダの部分で「あれ?」と思う部分があります。トランペットの「パッパラッパパッパラッパ」から始まる行進曲的なパッセージの後「パ・パ・ダダ―ン」と最後のトゥッティに入ります。小節数で行くと最後から13小節。最初の8小節はトランペットが主旋律で後ろでトロンボーンが「ターーーーータターータターータタターー」と合いの手を入れるように2小節単位で4回繰り返します。


しかし北ドイツ盤で最初の2回は既成概念の通り進むのですが後の2回で明らかに音量が下がります。最初はサブマイクが一瞬故障でも起こしてそのままCD化したのかと思っていました。トランペットの音量はそのままでティンパニとトロンボーンの音が明らかにmpくらいまで小さくなり、その結果あまり聞こえにくい1拍ずれて支えるホルンが目立つように聴こえる。しかしその後息を吹き返したかのようにティンパニとトロンボーンは戻ってきて再び音量・音圧ももとに戻り終曲となる。ということは、オケのトチリか?とも一瞬思いました。ミュンヘン盤ではそのようなことはありませんでした。

で、今回ベルリン盤をじっくり聴いてみるとヴァントが北ドイツとの演奏のような響きを作り出そうとしていることに気づきました。ベルリン盤ではティンパニは弱くしてませんが、やはりトロンボーンの音はmfに落として裏のホルンが浮き出るようにしています。流石にベルリン・フィルというかそこを違和感のないような絶妙なトロンボーンの音の絞り方をしています。youtubeで2000年7月の映像を見ると同じように演奏させています。

指揮棒で指示していないのでリハーサル時に徹底しているのでしょう。恐らく4回同じ繰り返し(全く同じではないですが)ではというのと埋もれてしまうホルンの響きを聴こえるようにしたいというヴァント晩年の解釈なのでしょう。

晩年は同じ曲を何回も指揮して勉強していなかったのではないかと思ったら、最後の最後までスコアを詳細に分析して演奏に向き合っている証左となる部分です。頭が下がります。しかし聴き比べてみると、最後のトロンボーンの咆哮はクナッパーツブッシュの録音に匹敵するほど雄弁で圧倒的な音になっています。
久しぶりにポケットスコア片手に聴こうと思ったいい機会になり、またヴァントの偉大さに改めて気づかされたCDでした。

ノヴァーク版のポケットスコア。ヴァントはハース版派ですのであしからず。

関連記事
・ブルックナー 交響曲第8番 クナッパーツブッシュ/ミュンヘン・フィル 1963年スタジオ録音
・ブルックナー 交響曲第8番ハ短調 ハイティンク/ウィーンpo 1995年録音




・作曲家別の過去記事を探すにはこちらが便利
→ クラシックの名曲・名盤 作曲家別記事まとめ
posted by 悩めるクラヲタ人 at 22:04| Comment(0) | ブルックナーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月08日

ハイレゾで聴く ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈隆/大阪フィルの1994年ライブ


発売当時、故宇野功芳氏が「クナッパーツブッシュとシューリヒトと並ぶ名演がようやく出てきた。朝比奈にとっても記念碑的な名演」と褒めちぎった朝比奈隆と大フィルの1994年サントリーホールでのライブ録音。演奏評も非常によく、レコード芸術でも特選になっていました。その後、ヴァント盤や朝比奈自身の2001年ライブ録音も出てかなり影が薄くなった感があります。もうこの日本人によるブルックナーの演奏の中で記念碑的に優れた演奏会について改めて語られることは無いでしょう。検索してもあまり出てこないし。
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しかし、自分でもどれだけブルックナーの第8番が好きなんだと思う程、棚の中にこの曲の異盤があります。なので、この演奏のCDも他盤に比べ録音ももやっとしていて「もういいか」と一時手放しました。素晴らしい演奏だけど、マタチッチ/N響盤と一緒でコンサートの想い出としてとしての価値の方が高いと思って。演奏終了後は15分も拍手が鳴りやまなかった演奏会で、それもCDには録音されています。ただハイレゾ音源で廉価で出ているのでリセットした心でもう一度聴いてみるかとなった次第です。

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調
指揮:朝比奈隆
大阪フィルハーモニー交響楽団
1994年 サントリーホールでのライブ録音
録音 4.40点  演奏 4.50点


ハイブリッドSACDよりも、e-onkyoサイトで1990年前半に録音したキャニオンのブルックナー録音が96kHz24bitで常時1曲1,296円でダウンロードでき、その方がお薦め。
96kHz24bit 朝比奈 隆 ブルックナー交響曲全集G 交響曲第8番(1994年ライブ)


さて久しぶりに聴きましたが、ハイレゾ・リマスター効果で音質は良くなっている。もともとコンサートホールで聴くような広がりのある録音でしたが、ヴァイオリンが良く伸びヴィオラとチェロの響きも明瞭で深くなり、こんなにいい演奏会だったのかと見直しました。会場ノイズや譜めくりの音、あと気合の入った朝比奈の唸り声がよく聴こえます。

演奏ですが第1楽章から朝比奈と大阪フィルの面々並々ならぬ気合が感じられる名演です。サントリーホールでの演奏も慣れてきたのか、力技で押すような感じでは無くそのホールの響きを生かした演奏だと思います。後年の2001年録音よりもオーケストラの技術はまだまだと思います。ただ録音方式の加減もあり美しさはこちらの方に惹かれる。第1楽章のカタストロフィ前のチェロの響きなども美しい。その後のカタストロフィでは第4楽章まで力を貯める感じの少しソフトタッチ。最後の弦楽器のアルコとピチカートの終わりは大きめで深い。
音。

ブロムシュテットさんは本当に今でもお元気でいらっしゃる。ベルリンpoとの演奏。

第2楽章もまだ力を貯めているというか、8分の力で淡々と進める。結果いつもの大阪フィルの雑味感が少し薄れていい方向に作用しています。マイク位置のせいでもあるのでしょうが、金管が突出せずにマイルド感がある。そしてそれが全て良い方向になるのが第3楽章アダージョ。弦楽器群の調子が本当にいい。ハイレゾになったせいかヴァイオリンを支えるヴィオラとチェロの伴奏型がクッキリと聴こえ非常に立体的な響きで、ステージから「音楽が立ち上る」という言葉が相応しい。気合いが空回りせず、人懐っこさも感じさせるチェロの音色が素晴らしい。木管楽器も調子がいい。第3楽章に関しては2001年の録音よりもいいと思ってかなり見直しました。

そして第4楽章ですが、今まで溜めてきたスタミナを全開させます。テンポは少し早めで緊張感が途切れず、力みも最小限で堂々と進みます。ホールトーンを多めに録った録音のため、総奏時には少し飽和してしまいますがほっこりとした気持ちで聴き進むことができる。細部にこだわった聴き方には相応しくないです。コンサートの中央席に座った気持ちで全体の流れに身体を委ねて聴く感じが相応しい。

やはりトランペットなど金管楽器が疲れてオチたり埋もれたり、弦楽器のアンサンブルにも綻びが目立つようになってきます。しかしそのおかげか力んだ爆演にはなっていない。常に柔かさを感じる雰囲気がある。最後のコーダ三和音のあとは残響が消えるタイミングで拍手が始まるのもいいタイミングです。(2001年録音ではすぐにブラヴォーでしたから・・・)15分の拍手トラックはやはりちょっと蛇足ですがね。

この討ち入り演奏前にホームで演奏した演奏会も映像で残っています。何種類あるんだと思ってしまう。

聴き終えてやはり今となっては・・・という気持ちもあります。ただ聴いている時はそんなこと忘れてしまいます。特に第3楽章は。逆に今の大フィルではこんな演奏はもうできないだろうなとも思ってしまう。オフ気味の録音も含めてコンサートに臨む気持ちで聴くならば素晴らしいし、聴き直したくなる演奏です。会場とオーケストラの調子、朝比奈の気力の3バランスが取れた演奏だとハイレゾで聴くに至り再認識。CDではここまで感じてはいなかった。私が歳をとったのか、オーディオ技術の勝利なのかは定かではありませんが。

キャニオンに遺した朝比奈/大フィルの交響曲全集では後はスタジオ録音で録音・演奏共に状態がいい3番と6番がお薦めでしょうか。他の交響曲は後年に優れた演奏があるので。なにより1,296円でハイレゾでブルックナーが聴けるのはCD買うよりお得かと。
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96kHz24bit 朝比奈 隆 ブルックナー交響曲全集 交響曲第3番
96kHz24bit 朝比奈 隆 ブルックナー交響曲全集 交響曲第6番
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珍しくflacだけでなく無圧縮のWAVファイルでダウンロードできるのも嬉しい。そこまで違いはわかりませんが。

晩年のエクストン録音だけがカタログに残りそうですが、このキャニオン全集もこういう形でリリースされ続けているのは嬉しいものです。キャニオン盤であまり・・・というのは5番・7番・9番でしょうか。朝比奈さんにはやはり第8番が一番に向いていたと思います。下記2001年録音もハイレゾ配信されています。セール時以外は高いですが。
過去記事
・ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈隆/大阪フィルハーモニー交響楽団 2001年録音

ラベル:ハイレゾ
posted by 悩めるクラヲタ人 at 06:40| ブルックナーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月23日

ブルックナー 交響曲第5番 ヴァント/ベルリン・フィル 1996年ライブ録音


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ブルックナーのCDは棚をかなり埋め尽くしているCD群なのですが、・・・個性的な演奏(シューリヒト・マタチッチ・クナッパーツブッシュ、そして朝比奈)が多い。ただ第5番に関しては録音も含め、やはりヴァントが鉄壁で妥当かと。ティーレマンはあまりでしたし、未だにヴァントです。

ブルックナー 交響曲第5番変ロ長調
指揮:ギュンター・ヴァント
ルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1996年 ライブ録音(SACD

録音 4.65点 演奏 4.70点


ハイブリッド盤なので、CDプレーヤーでも。


ヴァントとベルリン・フィルとのブルックナー録音集の第一弾として発売されたもので、凛とした佇まいがあり、尚且つ凝縮した響きで満ちています。ヴァントの体力・気力もまだ漲っており、ベルリン・フィルの演奏からもそれに応えようとする緊張感があります。
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後年の録音になるにつれ、神々しくなっていき深みを増していきますが、時に気力と緊張感が薄れアンサンブルが雑になるなど、綻びも目立つようになっていきます。同時期にミュンヘンpoやベルリン・ドイツso、北ドイツ放送soと演奏することが多く、その日の体調やホールによって演奏の出来が異なります。(当然、曲と楽団の相性も大事ですが)

ブルックナーの交響曲の中で一番とっつきにくいのがこの5番かと思います。ブルックナー自身が対位法を学ぶために、積極的に対位法を取り入れようとしているため、構造的には強固な曲ですが旋律の魅力・繋がりが少し薄く、難解。この演奏ではその部分が上手く整理されていると思います。

深い低弦の音にしっかりと支えられた中で、各旋律が明瞭に美しく紡ぎ出されていきます。CD層で聴くと少し凝縮されすぎて厳しすぎると感じられるかもしれませんが、SACDで聴くと非常にまろやかにブレンドされていることがわかります。


悪くないのですが、難解な曲がより難解に聴こえてしまうクレンペラー。ウィーンライブは録音の解像度がもう少しあればという大演奏。

このBOXは全て「すげえな」と思う一期一会的な演奏ばかり。

さてヴァントですが、第1・2楽章はまるでスコアを難解で細かな設計図でも読み解くように、各旋律を咀嚼してニュアンス豊かに表現。難解に見える部分を響きと音色で魅了してくれます。細かいところまで手を尽くしていますが、それを感じさせない上質なブレンド感。森を見てから木を見る余裕があるところが、若い頃(と言っても60歳位の?)のヴァントと違います。

第3楽章のスケルツォが一番見事。ベルリン・フィルの圧倒的な金管楽器が強奏しても全く混濁せずうるさくならないバランス・コントロール。ヴァントがスコアから読み込んだものを、しっかりとリハーサルで彫琢した賜物でしょう。

通常はオケがくたびれてしまう第4楽章フィナーレのコーダのコラールまで、全く弛緩することなく演奏するベルリン・フィルの技量もさることながら、当時アバドと演奏していた楽団とは思えない響きに一変させてしまうのはヴァントの神業。最後のティンパニ一撃も効いています。分厚い響きを寸断するような斬れ味するどいティンパニは、全楽章にわたって録音が明瞭に捉えています。

美しく響かせようという演奏ではないのですが、結果として美しい演奏になっているのが不思議です。凝縮の極みが達した美しさ。ヴァントとベルリン・フィルのブルックナーの録音の中で一番私が評価しているのは、この交響曲第5番です。ヴァントの第5番だけで同曲異盤が何枚あることか・・・・

こちらはミュンヘンpoとのライブ録音。ベルリンライブに比べ、ホールの残響とオーケストラのカラーにより、少し熟成された味わいがあります。

家には格安BOXのせいで、ヴァントの第5番が3種類もある…

第5番に関しては、上記2盤に演奏・録音ともにちょっと劣る。成熟前の金管の固さが気になる。

ブルックナーの交響曲第5番は苦手という方に、真っ先にお薦めしたいのはこのCD(できればSACDで)です。ブルックナーの交響曲の中でも対位法が駆使され、一番壮麗で立体的に響く第5番を好きになるかもしれません。

ラベル:名録音 SACD
posted by 悩めるクラヲタ人 at 07:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ブルックナーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする