中高年の健康管理には「サントリー健康食品オンラインショップ」

2017年09月23日

ブルックナー 交響曲第5番 ヴァント/ベルリン・フィル 1996年ライブ録音


20170923073510968.jpg
ブルックナーのCDは棚をかなり埋め尽くしているCD群なのですが、・・・個性的な演奏(シューリヒト・マタチッチ・クナッパーツブッシュ、そして朝比奈)が多い。ただ第5番に関しては録音も含め、やはりヴァントが鉄壁で妥当かと。ティーレマンはあまりでしたし、未だにヴァントです。

ブルックナー 交響曲第5番変ロ長調
指揮:ギュンター・ヴァント
ルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1996年 ライブ録音(SACD

録音 4.65点 演奏 4.70点


ハイブリッド盤なので、CDプレーヤーでも。


ヴァントとベルリン・フィルとのブルックナー録音集の第一弾として発売されたもので、凛とした佇まいがあり、尚且つ凝縮した響きで満ちています。ヴァントの体力・気力もまだ漲っており、ベルリン・フィルの演奏からもそれに応えようとする緊張感があります。
th.jpg

後年の録音になるにつれ、神々しくなっていき深みを増していきますが、時に気力と緊張感が薄れアンサンブルが雑になるなど、綻びも目立つようになっていきます。同時期にミュンヘンpoやベルリン・ドイツso、北ドイツ放送soと演奏することが多く、その日の体調やホールによって演奏の出来が異なります。(当然、曲と楽団の相性も大事ですが)

ブルックナーの交響曲の中で一番とっつきにくいのがこの5番かと思います。ブルックナー自身が対位法を学ぶために、積極的に対位法を取り入れようとしているため、構造的には強固な曲ですが旋律の魅力・繋がりが少し薄く、難解。この演奏ではその部分が上手く整理されていると思います。

深い低弦の音にしっかりと支えられた中で、各旋律が明瞭に美しく紡ぎ出されていきます。CD層で聴くと少し凝縮されすぎて厳しすぎると感じられるかもしれませんが、SACDで聴くと非常にまろやかにブレンドされていることがわかります。


悪くないのですが、難解な曲がより難解に聴こえてしまうクレンペラー。ウィーンライブは録音の解像度がもう少しあればという大演奏。

このBOXは全て「すげえな」と思う一期一会的な演奏ばかり。

さてヴァントですが、第1・2楽章はまるでスコアを難解で細かな設計図でも読み解くように、各旋律を咀嚼してニュアンス豊かに表現。難解に見える部分を響きと音色で魅了してくれます。細かいところまで手を尽くしていますが、それを感じさせない上質なブレンド感。森を見てから木を見る余裕があるところが、若い頃(と言っても60歳位の?)のヴァントと違います。

第3楽章のスケルツォが一番見事。ベルリン・フィルの圧倒的な金管楽器が強奏しても全く混濁せずうるさくならないバランス・コントロール。ヴァントがスコアから読み込んだものを、しっかりとリハーサルで彫琢した賜物でしょう。

通常はオケがくたびれてしまう第4楽章フィナーレのコーダのコラールまで、全く弛緩することなく演奏するベルリン・フィルの技量もさることながら、当時アバドと演奏していた楽団とは思えない響きに一変させてしまうのはヴァントの神業。最後のティンパニ一撃も効いています。分厚い響きを寸断するような斬れ味するどいティンパニは、全楽章にわたって録音が明瞭に捉えています。

美しく響かせようという演奏ではないのですが、結果として美しい演奏になっているのが不思議です。凝縮の極みが達した美しさ。ヴァントとベルリン・フィルのブルックナーの録音の中で一番私が評価しているのは、この交響曲第5番です。ヴァントの第5番だけで同曲異盤が何枚あることか・・・・

こちらはミュンヘンpoとのライブ録音。ベルリンライブに比べ、ホールの残響とオーケストラのカラーにより、少し熟成された味わいがあります。

家には格安BOXのせいで、ヴァントの第5番が3種類もある…

第5番に関しては、上記2盤に演奏・録音ともにちょっと劣る。成熟前の金管の固さが気になる。

ブルックナーの交響曲第5番は苦手という方に、真っ先にお薦めしたいのはこのCD(できればSACDで)です。ブルックナーの交響曲の中でも対位法が駆使され、一番壮麗で立体的に響く第5番を好きになるかもしれません。

ラベル:名録音 SACD
posted by 悩めるクラヲタ人 at 07:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ブルックナーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月19日

ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈隆/大阪フィルハーモニー交響楽団 2001年録音


b0082361_23305462.jpg
朝比奈隆さんが亡くなられてから早いもので15年ほど経ちます。晩年の凄まじい人気とCDリリースは今は昔、朝比奈先生のCDは忘れ去られつつあります。ヴァントもそんな傾向にあり、ライブ音源の発掘ももう下火。久しぶりに朝比奈先生のブルックナーをと新日本フィルとのDVD選集から第7番を視聴しました。

大阪フィルに比べ正直東京都交響楽団や新日本poとの演奏の方がオーケストラの精度は高い。この選集は当時の新日本フィルの名コンサートマスター 豊嶋さんのリードが素晴らしい。ただ先生が少し力が入りすぎたり遅すぎたりと選集としてはいまいち。第7番は一番両者の状態がよろしい。第5番は逆にシカゴ響との演奏もそうですが遅すぎて弛緩している。

で、次に第8番を視聴したのですが悪くないけど、この曲に関しては亡くなられる直前2001年の大阪フィルの演奏の方がオーケストラの状態も録音も良く、蝋燭の日が消える前のともしびの如く朝比奈先生渾身の指揮ぶりかと。1980年の覇気が戻って来たかのような演奏で数多い同曲異盤の中でも第8に関してはこの演奏か、NHK交響楽団との演奏かなぁと思った次第。
12_1101_03.jpg
ブルックナー 交響曲第8番ハ短調
指揮:朝比奈隆
大阪フィルハーモニー交響楽団
2001年7月23,25日 サントリーホール
録音 4.45点  演奏  4.55点


ハイブリッドSACDで音はさらに良くなりました。ちょっとマルチマイクっぽくなり粗も目立つようになったのはご愛嬌。ハイレゾ配信もされています。
e-onkyo 朝比奈/大阪フィル 92kHz24bit
3,000円と若干安い。

ちまちましたブルックナー演奏がこの10年多すぎる。朝比奈の演奏を久しぶりに聴いて「ほっ」とする自分がいます。細かいことを云々言いだしたらきりがない。管楽器に音色感が足りない、アンサンブルに瑕がある、金管楽器がだれるなど文句を言おうとすれば枚挙にいとまがない。しかしながら全体を聴き終えた時の至福というか「ブルックナーを聴いたなぁ」という充足感がそれをチャラにしてくれます。

細部を切り取ってミクロに見れば、ヴァントの精緻さや最近であればティーレマンなどの演奏に完敗です。徹底したリハーサルを行うのはヴァントと同じで、そのままブルックナーの音楽をいじらず音にするという行為は両名一緒なのですが、出てくる音楽はかなり違う。ヴァントも晩年はテンポが遅くなりましたがそれでも凝縮された響きは変わらなかった。細部に徹底的にこだわりぬいて、1音たりともオーケストラに委ねない意思が感じられ、その凝縮力が逆に時に窮屈さを感じる部分もある。でも素晴らしい。オーケストラの響きがそれを補う。



残念ながら朝比奈隆の演奏にはオーケストラの香りは絶対的に足りない。しかしそれをも補う余裕があるのがヴァントとの違いかと。ヴァントが縦にこだわったのに対し、朝比奈は「横」、何と言いますか全体的な流れの方を重視した演奏。朝比奈の演奏様式は今を思えば、1980年代が体力・気力のピーク、1990年代中盤までは人気はピークに達しましたが弛緩した演奏が多い時代、最後の晩年はテンポを速く設定したりなど「あれ?」という演奏もありましたが、調子がいいと1980年代の気力と大阪フィルの機能向上もあり1980年代の演奏を上回る時もある時代だったなぁと。ベームの晩年の異常人気と死後の評価の変遷は似ている。


朝比奈はシカゴ響よりボストン響に見初められた方が良かったと今では思います。機能より音色感の方が必要。でも小澤の息がかかっているから無理ですが。

この第8番の演奏は東京への討ち入り公演でもあり、かなり気合が入っており最後の一音の深さやここぞの力こぶはいつも以上に素晴らしい。大阪フィルの調子も良く、何とか朝比奈先生の棒にくらいついている。第3楽章後半のfffからの名残惜しそうなppでの回想は特に溜息がでる。第4楽章が一番瑕が多いしコーダももっと粘ってもと思いますが、堂々と鳴りきっている。最後の和音だけそ・ろ・え・る・ぞーというぞーが両者発憤興起の気持ちが音に乗っかっている。サントリーホールに残る響きが印象に残る、バカブラヴォーと早い拍手が余韻をぶち壊しますが・・・


N響とのCDのほうがNHKホールならでは(笑)の響きも相まって、直接的迫力や各楽器の巧さは流石と言うべきですが、全体的な印象としては2001年録音の方が記憶に残る。何が違うの?と問われると難しい問題ですが、NHKホールだとブルックナーには音が少し硬すぎる。だからマタチッチも・・・

N響とのブルックナーで変に記憶に残っているが晩年のブルックナー 第9の演奏姿。第2楽章 スケルツォ。ブルックナーのスケルツォはABAと提示部・トリオ・再提示部という形式ですが、朝比奈先生が再提示部を演奏し終えて楽章が終わった後に記憶違いで再度トリオに入ろうとする。トリオをまた始める腕の動きをするがオーケストラの団員は当然楽器を降ろしていて音が鳴らないのでハッと気づく。演奏の素晴らしさよりもその時のはっと自分に驚く顔が未だに忘れられない・・・

朝比奈隆のCDは乱発されすぎて価値が下がりましたが、レコード会社もこれが朝比奈芸術の最良の姿というのをしっかりと選んで後世に残してほしいと思います。ベートーヴェンなら新日本poとの演奏、ブラームスなら都響との演奏。

ブルックナーは録音が多すぎるし時期がばらばらで困るでしょうが。

私が全集として持っているのは1980年代のこれです。最晩年のキャニオン全集は演奏に波があり期待外れ。レコード芸術が朝比奈隆全録音を徹底討論・分析して残すべきCDを選定する特集でもやればいいのに。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 00:55| Comment(0) | ブルックナーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月07日

ブルックナー 交響曲第7番 ヴァント/北ドイツ放送交響楽団 1999年4月のライブ録音


すっかりFMを聞かなくなりましたが、たまに車中でダイヤルを合わすと(言い方が古い?)、思いがけない名演奏に出合います。
しかし、エアチェックなる言葉も死語になりましたね。

ブルックナー 交響曲第7番
指揮:ギュンター・ヴァント
北ドイツ放送交響楽団
1999年 4月のライブ録音(Profil盤



ヴァントのライブやブルックナーに食傷気味な人が多いのか、あまり話題になってないですね。

2014年、NHK‐FMのベストオブクラシックでヴァント/北ドイツ放送交響楽団のライブがまとまって放送されていました。帰りの車中でこの演奏を聴いたのですが、名演名高いベルリン・フィルとのライブとだいぶ違う印象で、「この日のヴァントは調子が良かったんだな。このCD出てるのかな」と思いました。その時はまだ出ていなかった演奏です。ヴァントのCDはBOXで買いすぎて、ブルックナーの第5番、第8番と第9番に至っては4種類の演奏が棚に合ってお腹満腹状態ですが、第6番と第7番の演奏は意外と少ない。

1999年にヴァントはブルックナーの第7番をまとめて演奏していた時期みたいです。4月にこのCDの演奏、8月にDVD(訳のわからん編集が話題)になっている演奏、11月にベルリン・フィルとの演奏が残っています。

ベルリン・フィルとの演奏は批評家はこぞって褒めちぎりましたが、私には「ヴァントにしては物足りない。らしくないな」と不満を感じていました。





これはジュリーニの第4楽章。
エアチェックして、テープでよく聴いた記憶があります。

この4月の演奏は、彼のベストフォーム。最初から最後まで緊張感が維持されている。凝縮した響きの第2楽章が素晴らしい。またヴァントの演奏でコーダの最後の和音をティンパニの一撃で〆るのはこの演奏だけ。
普通は「タッタッタッタラッタターターターータター」とトッティで締めくくるのですが、最後が「タッタッタッタラッタターターターータダン!」とこの演奏では乾坤一擲の一撃で終わります。カラヤンとウィーン・フィルの演奏も同じ締めくくりですが、あちらは力技。

沈黙の後、夢から醒めたように観客の拍手が始まります。全曲を通して、長い付き合いを通じて得た阿吽の呼吸が良い方向に作用しています。「今年はこの曲を中心に」と決めていた最初期の演奏だからでしょうか、綿密なリハーサルをした感じと、そこにライブならではの即興感と熱が込められています。

ベルリン・フィルとの時は、悪い意味で慣れが出てきてしまったのでしょうか。音はSACDで最高なのですが、意外とアンサンブルに綻びが見えるし、それを威圧的な金管でなんとかしようとする力技感があります。それだとヴァントの緻密で計算された響きとは程遠くなってしまいます。

上記CD、分売で国内リリースされましたが、輸入盤の方が2枚の値段で3,7,8,9番の4曲が聴けてしまいます。8番はちょっとアンサンブルに乱れ(終曲部でちょっと行方不明に・・・)がありますが、ライブそのままでつぎはぎしてあるより好ましい。

中古品なら、なおお得。新品ならHMVの方が安いです。

ブルックナーの第7番は意外といいCDに恵まれない曲ですね。シューリヒト(最近出たベルリン・フィルとのライブはどこかで書きたいな・・)、朝比奈も録音が悪かったり、演奏がベストフォームでなかったり。この演奏で、やっとという感じが私はしました。

曲がアンバランス(第1‐2楽章が長いが出来がよく、第3‐4楽章が短く軽い)なので、演奏でうまく補ってくれていないと満足感が得られない。ブルックナーの交響曲の中では聞きやすい名曲ですが、慣れてくるとそこが不満になる難しい曲ですね。

ラベル:ヴァント
posted by 悩めるクラヲタ人 at 18:52| Comment(0) | ブルックナーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする