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2018年02月22日

ビゼー 「アルルの女」「カルメン」組曲 クリュイタンス/パリ音楽院管弦楽団 1964年録音


昔から名盤の誉れ高いクリュイタンスとパリ音楽院管弦楽団のビゼー録音。ラヴェル録音よりも後の録音で、クリュイタンス最晩年の録音です。しかし、昔国内盤で聴いた音の悪さが頭から離れず、何度も「最新リマスタリング」と言われてもラヴェル同様国内盤には手が伸びませんでした。今回のクリュイタンス没50周年BOXでようやく本家が状態の良いマスターから24bit96khzリマスタリングしたということでようやく手が伸びた次第。
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結果は「彼らのラヴェル録音よりもオーケストラの状態がいいし、録音もこんなに良かったのか!」とこのボックスの中で一番感嘆の声を上げたした1枚でした。(同じくらいにドビュッシーの録音も良かったです)当然最新録音には敵いませんが、パリ音楽院管弦楽団のクセのある楽器群の数々の音色がラヴェル録音よりも効果的で鮮明です。目の前であの独特のファゴットやコールアングレの音が生々しく聴こえてくる。

ビゼー 「アルルの女」第1&第2組曲
    「カルメン」組曲(但し4曲のみ)
指揮:アンドレ・クリュイタンス
パリ音楽院管弦楽団
1964年 スタジオ録音
録音 4.30点  演奏 4.65点




国内盤で初めて聴いた時には、いい演奏だけど録音が当時のEMI独特のぼやけて靄がかかったような音で残念な気持ちになったのがかなりのトラウマ。このCDも最初に聴くときは不安でしたが、ラヴェル録音が1961年〜1962年なので2年後となり、その差はかなり明確。ビゼー録音の方がエッジが効いてティンパニや小太鼓の距離感もぼやけず適度な距離感でマイクが捉えています。低音はやはり音場型で緩いですが、高音は結構伸びている。国内盤の音の酷さは何だったのか・・・

演奏については私はこの演奏をフランス的だとはあまり思いません。クリュイタンスは比較的ゆったりとしたテンポを採用しています。風格のある音楽で所謂ポピュラーな音楽として捉えて演奏しているとは思えない。このテンポはパリ音楽院管弦楽団の音色を生かすためのテンポ設定ではないかと思う程各楽器の良さが耳に飛び込んできます。

有名でCMでも良く使われる第1組曲のメヌエット。カラヤンのように弦楽器を「ザッザッザッ」と整然とではなく、鍬ばさみですくように「シャッシャッシャッ」と始めるところも洒落っ気がありますが、その後の中間部のファゴットの土臭い音色が何とも言えない。実際にはこんなバランスで聴こえることは無いでしょうが、今だとフランスのど田舎のオケでも聴けるのだろうかという魅力的な拗ねた人間味のある音。

これは一例でその後のアダージェットの神妙ながらも気品があり、カリオンでは壮麗だけど豪奢になる寸前で抑える手綱さばき。この一線を超えるとこのオーケストラの良さが消えるとでも考えたかのようなクリュイタンスのしたたかさ。より魅力的な第2組曲も同様。メヌエットにおける透通るようなフルートと土臭いサキソフォーンの溶け合わず絡み合う響きが見事。

ファランドールも堂々とスタート。流石に最後は少しアッチェレランドしますが、日本公演ライブのアンコール程弾けず狂乱寸前で留まっています。

あくまでレコード芸術用仕上げ。流石にこの曲のように音数が増えると当時のEMI録音は多少混濁して曖昧になるのは残念ですが、国内盤(最近の国内盤は知りませんが)やartリマスタリングに比べたら十分改善されていると思います。

初版SAXの板起こし。初版はやはりこんなにいい音なのかしら・・・

「カルメン」組曲は、各幕の前奏曲のみなのが残念ですが、それでも十分。クライバーのようなスリルとドラマ、カラヤンのような壮麗さと精緻さとは違い、地元オペラハウス仕立ての何度聴いても味のある演奏。疲れず肩の力を抜いて「さぁ幕の始まりだな」と天井桟敷でどれどれと期待して聴くような趣があります。

総合的にラヴェルの楽曲よりもビゼーの音楽の方が音数が少ない分、各楽器の音がよく聴こえやすく当時のパリ音楽院管弦楽団の特色が色濃く出ているのがこの名盤の特徴だと思います。当然それを引き出したクリュイタンスも見事。クリュイタンスは「フランス音楽」の印象が強いですが、ベルギー出身なのでベートーヴェン・ワーグナーも得意としていたようにドイツ的な部分も持ち合わせていて、この演奏はその長所が一番発揮されているような気がします。フランス音楽の「佇まい」の中にドイツ的な腰の据わった音があります。

さて・・悩み事。このワーナーBOX、非常に優れているのですが、解説にもあるように最良のマスターから24bit96Khzリマスタリングしておきながら、CDフォーマットの16bit44.1Khzに収めたとのこと。で、日本では同時期にSACDシングルレイヤーでそのマスター音質で発売するといういつもの手法。当然高い。

買わないよ・・・

と思っていたら、e-onkyoサイトを覗いていたら、このBOXのモノラル録音分とステレオ録音分に分けてハイレゾ音源が配信されているではないか・・・24bit96Khzのマスター音源そのまま?価格がそれぞれ8,000円切るくらいの価格。小梅太夫ではないけど、何故か「チックショー」と叫びたくなった。
André Cluytens - Complete Stereo Orchestral Recordings, 1957-1966

モノラルは別にこのままで、ベートーヴェン交響曲全集、ラヴェル録音(フランソワとの協奏曲含む)、ドビュッシーとこのビゼー録音をSACDで買ったと思えば十分お釣りがくる。悩ましい。お前はCD持っているじゃないかと言われるでしょうが、車や外に持ち出すときにこれだけの音源をPCに読み込むのはかなりの時間と手間がかかる。

追記
で、ダウンロード購入してしまいました…悔しいけど音質もいい。今年はもう音は買わないと心に誓って。多分、ダメだろうけど。

クリュイタンスの録音は、本当はどのくらいいい録音で遺されているのかわからない。当時のEMI録音あるあるの一番の悩みの種。でも、このBOXでかなりクリュイタンスの再評価は進むと思われます。モノラルですがフィルハーモニア管弦楽団とのシャブリエ「スペイン」も良かった。全部でなくてもいいので、分売すればいいのに。ちょっと割高にはなるでしょうけど。

posted by 悩めるクラヲタ人 at 18:50| 管弦楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする