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2018年01月19日

ブルックナー 交響曲第8番 クナッパーツブッシュ/ミュンヘン・フィル 1963年スタジオ録音とライブ録音


若いクラシックファンの方にはもうクナッパーツブッシュを知らないという方も多いでしょう。wikiで見てわかるように、超個性派の怪物指揮者です。

「クナッパーツブッシュは聴衆を、その解釈で魔術師のように虜にしたが、自分にそれが終わってしまえば、有無を言わさず刎ねつけるような身振りや口ごもった言葉で、魔法を破ってしまった。ある時「五番」の演奏が終わったところで、水を打ったような感動に沈む会場に、数秒後、ぶっきらぼうな唸り声が聞こえた、「おしまい!」」
なんて、面白いエピソードも数知れず。しかしツボにはまると(ワーグナー・ブルックナー)、他の追随を許しません。

ブルックナー 交響曲第8番
指揮:ハンス・クナッパーツブッシュ
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
19
63年1月のスタジオの録音
録音 4.00点 演奏 4.50点



昔から名盤の誉れ高い演奏ですが、さまよえるレーベル ウエストミンスターが録音したため、カタログから消えることがしばしば。昨年タワーレコードが、マニアの中で一番評価の高い日本ビクター盤を24bitリマスターして廉価で復活。前はユニバーサルからでていましたが、少し化粧し過ぎたリマスタリングに賛否両論。比べてみると、やはりビクター盤の方がデッドなマスターの味が出ていて好ましく感じます。

今でもタワーレコードさんが独自企画でリマスターして安定供給してくれています。これはビクター盤のオリジナルマスター使用、ハイビットサンプリングで素晴らしい復刻。
ブルックナー: 交響曲第8番(新規リマスター); <特別収録>ベートーヴェン: 《フィデリオ》序曲, 《レオノーレ》序曲第3番<タワーレコード限定>


遅すぎると言われていたクナッパーツブッシュのテンポも、朝比奈・チェリビダッケを聴いた今の耳にはそんなに遅く思わないのではないでしょうか。彼らと違いオーケストラを自然に歌わせているため、逆に粘っこい印象を与えません。凄いfffもありますが力づく感はないですし、呼吸が深い演奏です。
第3楽章だけは少し流れが悪くもたつく感じがありますが、弛緩はしていない。

この時期のミュンヘン・フィルは、まだドイツのローカル・オーケストラという響き。チェリビダッケが磨き上げたオーケストラと同じオーケストラとは思えません。リマスターのおかげで、古色蒼然とした風情が高まりました。(あらも見えやすくなりましたが)世界的にオーケストラの技術力は上がりましたが、楽団独自のカラーが無くなってしまったのは淋しい限りです。

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懐かしいLPのジャケット!このCD(正しくはLP)は、私がブルックナーの第8番を理解すると同時にブルックナーを理解する大きなきっかけとなったものです。この演奏を知った時にはすでに廃盤状態。中学時代に愛知県内の中古LP屋を探し回って、やっと出会えた時の喜びは一入でした。

ゴツゴツとした響きで、朴訥に演奏されていますが、何とも味わい深くスケールの大きな演奏です。ヴァントのような凝縮された厳しい厳粛な演奏を聴く前に聴いておくべき古典です。ブルックナー理解にヴァントの演奏は少し敷居が高いと思います。


長身痩躯の身体全体での凄い指揮ぶり。テンポなんて刻んでないですね。

伝説的な名盤 1962年のパルジファル。
SACD化されるみたいですが「SACDの長時間収録を生かし、各幕を1枚にして3枚に!」。騙されてはいけません。シングルレイヤーならDSDのまま全幕を1枚に収めることができます。



この演奏は、現代のブルックナーになれた耳にはびっくりすることも多い演奏です。ブルックナーの演奏になると楽譜の使用版の問題が出てきますが、この演奏はノヴァーク版でもハース版でもなく、改訂版と言われる大きく手を入れられた版を使用しています。テンポや強弱指定にも違いが多いですが、特に目立つのは第1楽章最後のトランペットのファンファーレがffでなくmpで演奏されること、第4楽章に一部カットがあること、終曲部分が(トッティでタターータータタタターと演奏される部分)ffでなくmfでスタートし徐々に音量を上げていくところでしょうか。

交響曲第4番や9番は編曲?というほど手が入っていますが、第8番はそこまでなので鑑賞に支障はありません。どちらかというと、この録音での問題は第4楽章の一部分で明らかにテープの継ぎ接ぎミスがマスターテープにあること位。かなりはっきりわかります。

ちなみに終曲最後の3つの和音(タタター)を、クナッパーツブッシュはダン・ダン・ダンと切って演奏していますが、これは改訂版の指定ではなく彼独特の解釈です。下の1962年とのウィーン・フィルとのライブ録音までは雪崩込むようにタタタッ!と演奏しています。


このスタジオ録音の直近に同じ顔触れのライブ録音があります。このライブでは、スタジオ録音と同じように最後の音をしっかり切ってます。どのように指揮棒を振ったのだろう?普通は最初のタで一回振り下ろし、棒があがって次のタ、再度振り下ろしてターなので2回ですから。どう考えても3回に振り分けていないと揃わないだろうと思われる切り方。

で、ライブ盤の演奏内容ですが、録音さえ良ければ、第3楽章含めて全体的な流れもよくスタジオ録音を越えたであろう演奏記録です。

ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
19
61月1月24日のライブ録音
録音 3.60点 演奏 4.65点


AMAZON は珍しく高い。タワーレコードだと2116円で買えます。
クナッパーツブッシュ ライブ録音集 Bruckner: Symphony No.3-No.5, No.7-No.9


私ごときが云々書くより、有名な新聞批評がありますので抜粋。
批評 ヴァルター・パノフスキー
「八番の解釈が、今回ほどこれまでの演奏と大きく異なったと思われたことはなかった。彼はこの作品を全く新たに洞察し、心に受けとめたのだろう。巨大な石造りのこの作品の荘厳な不協和音の尖角を、これほど鋭く切り出したことはなかった。これほど厳しくリズムを前進させたことはなかった」(1963年1月23、24日のコンサート)

最後の音が鳴り終わり、少し間がありパラパラと拍手が。しかし、一旦拍手は弱まる。呆気に取られていた他の観衆も夢が覚めたかのように拍手をはじめ、ようやく満場喝采となる部分まで録音がしっかり残っています。これが本当に感動的。

昔から海賊盤があり、KINGレコードから正規に発売もされましたが、冴えない音質で有名でした。その後、ドリームライフ社が放送局マスターを発掘しモノラルながら当時のライブとしては見事な音質で復刻。残念ながらドリームライフのCDは廃盤でAMAZON・ヤフオクでも高値状態ですが、廉価海賊レーベル メモリーズが同等の音質でおまけ付きで廉価再発してくれています。

昔はクナッパーツブッシュの録音を入手するのに本当に苦労しましたが、今はいい時代です。タワーレコードさん、メモリーズ、そしてveniasレーベルには足を向けて寝れない。

veniasのニーベルングの指環BOX。1956年から1958年のリングをまとめて、廉価で良質な音質で聴けるとは。昔、ゴールデンメロドラムだと単年で15000円はしてましたから。

両音源ともに最初に述べた理由により、またいつ入手不可能になるかわかりません。タワーレコードさんもなぜか最近はSACDにばかりご熱心になり過ぎていますし不安。

この両CDはブルックナー、そしてクラヲタへの入り口になるきっかけの良いCDです。(他のクナの演奏を聴きたくなります)
タワーレコードさんならハイビットサンプリングされたパルジファルも3086円で買える。Vol.2です。
“VINTAGE COLLECTION +plus”特別編 没後50年「ハンス・クナッパーツブッシュの芸術」Vol.1
VINTAGE COLLECTION+plus特別編〜没後50年ハンス・クナッパーツブッシュの芸術Vol.2
タワーさん、廃盤にしないで下さい!

技術が劣っていても、アンサンブルが揃っていなくても、名演奏を成し得ることができる。あらためて芸術とは人の手によって為されるものであることも、再確認できる演奏です。ミスがあるのも人間が行うことだから当たり前。今の時代、奏者も聴き手もアンサンブルに目が行きすぎではないの?もっと大事なこと忘れてない?と問いかけてくるような演奏・記録です。


posted by 悩めるクラヲタ人 at 08:30| Comment(0) | ブルックナーの交響曲名盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする