2026年07月12日

ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 アバド/ベルリン・フィル 2002年ライブ


ドヴォルザークの交響曲は第8番の方が手持ちCDが多い。第9番「新世界より」はDVDで持っている方が多い不思議な因縁のある曲です。ということでDVD(ブルーレイでも出てます)で。

ドヴォルザーク 交響曲第9番ホ短調「新世界より」
指揮:クラウディオ・アバド
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2002年 パレルモでのライブ録音

AMAZON → アバド パレルモライブ
41tvn4aFwjL._AC_.jpg

アバドはCDでもこの曲を録音していますが、このDVDの演奏よりかなり落ちます。
(そう、売却済みです)この映像はBSで見て、病後のアバドの痩身に驚きましたが、それより驚いたのがアバドが一層元気な演奏をしたことです。DVDで発売されることを心待ちにしており、発売後すぐに入手しました。

特にこのヨーロッパ・コンサートの「新世界より」は、最新の録音の中ではずば抜けていると思います。前半はいつものアバドですが、この曲とアンコールのヴェルディ「シチリアの晩鐘」序曲は圧巻です。


第1楽章からオーケストラから見事なカンタービレで聴かせます。タクト捌きでもわかりますが、アバドがかなり力を込めて演奏に臨んでいます。その気迫に押されてベルリン・フィルも見事に応えます。アンサンブルが素晴らしいことは言うまでもないのですが、そこに叙情的でありながらも鳴らすべきところは圧倒的で有機的な響きを生み出しています。
そこに絶妙なカメラワークとパッシモ劇場の美しさが加わり見る者を魅了します。

楽章が進むにつれて、アバドもオケも熱を帯びていくのがわかります。第4楽章は付け入る隙もないような流れで最後のコードに突入しします。壮絶に鳴りきったオーケストラの中から聴こえるトランペットの第1主題は、ドヴォルザークの阿鼻叫喚。ここまで燃えるアバドは珍しいです。

この演奏を聴いて同コンビのCDを購入したのですが、結果は残念。燃えていなかったですね・・
アバドの演奏はストレートで癖は無いですが、久しぶりに彼がイタリア人だったなということを思い出させてくれる名演奏です。
posted by 悩めるクラヲタ人 at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年05月30日

メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」 マーク/東京都so 1993年ライブ録音

メンデルスゾーンといえば、名匠ペーター・マークについて語らねばなりません。が、名演名高いロンドン交響楽団との演奏ではなく・・・

追記:ロンドン交響楽団との演奏も聴きました。
管楽器の香りなどはロンドン交響楽団の方に軍配があがりますが、録音の良さと低弦の分厚さなど総合的には都響盤かなと。カップリングの「真夏の夜の夢」の方が素晴らしい。

メンデルスゾーン
交響曲第3番イ短調「スコットランド」
指揮:ペーター・マーク東京都交響楽団
1993年 東京文化会館でのライブ録音
録音 4.35点 演奏 4.65点

AMAZON → マーク 都響 スコットランド
カップリングは、序曲「フィンガルの洞窟」、モーツァルトの「プラハ」
10_1100_00.JPG

マークはこの曲を得意とし、3度この曲を録音していますが、個人的に一番優れていると思うのはこのCDです。1回目の録音は若きマークの演奏で名録音と同時に名演奏で今でも語り継がれていますが、この晩年の方がそれ以上に熱気に満ちています。東京都響の質もこの時にはもう相当高かったです。今のインバルとの演奏レベルより少し劣るくらいじゃないでしょうか。

残念ながらクレンペラーの演奏と比べると管楽器・ブラスに+αの香りは感じられません。しかし、それを補うくらいのライブ特有の熱気があり、ぎりぎり崩れないヴァイオリンのアンサンブル、それを支える低弦の深い響きとティンパニの強打とクレンペラーに欠けていたものがこの演奏にはあります。

年代を考えるともう少しオン気味の録音でレンジが広ければ(特に高音部)、これがサントリーホールだったらと少したらればがありますが、マークがフルトヴェングラーに私淑していたことを思い出させてくれるのは、ロンドン響との演奏よりこちらの方が上。
こちらロンドン響とのyoutube。


特に第1楽章の前のめりで進むコーダ部分と第4楽章の圧倒的な迫力(特にコーダの低弦の効いた悠然たる進行)が見事。時にティンパニの強打やトランペットとホルンの咆哮が結構きつめで粗野な部分もあるので、ちょっとイメージするスコットランドと違うかもしれません。

でも力強い響きだけで勝負なのではなく、第2、第3楽章も緩急をつけながら、翳りのある音色を都響から巧みに引き出しています。各楽器が本当によく歌っています。

同時収録の「フィンガルの洞窟」も名演。フルトヴェングラーのような深い響きとアッチェレランド。クレンペラー盤と同じ組み合わせですが、こちらのCDの方に手が伸びることのほうが多いです。プラハも佳演ですしね。リマスタリングしてSACDで出ないかな。淡い期待。

晩年のマークはartレーベルというマイナーなレーベルから、イタリアやスペインの地方楽団とベートーヴェンの交響曲全集を含む数多くの録音をしましたが、この演奏より優れたものはありませんでした。オケが非力なのとぼやけた録音が残念です。
一例です。

やはり都響との 1990年のベートーヴェン 第9は録音もよく素晴らしい。フルトヴェングラーの演奏をいい録音で聴けたような喜びを味わえます。
510ieLEwj1L._AC_.jpg
最後のアッチェレランドも早い!都響とのライブ盤は結構発売されました。ブルックナーを除き基本はずれがない名コンビでした。ありがとう、都響。

しかし都響というと、はるか20年前に就職活動をしていたときを思い出します。東京まで面接を受けに行き、「新幹線だよね?」と交通費をもらったのですが、実は深夜バス通い。面接が終わって本屋へ直行してぴあを調べると、深夜バスが出るまでの時間にインバルと都響とのコンサートがサントリーホールであるのを確認し、サントリーホールへ。浮いたお金で当日券を買い、初サントリーホール。マーラーの第5、いい演奏でした。

隣のおじさんがアダージェットで見事に寝ていたのに、最後の和音と同時に「ブラボー」と叫んだのが一番印象に残っている。またその話を最終面接で話したが、他の質問にうまく答えられず不採用になり残念でした。(人生振り返ればその会社に採用されていなくて正解でしたが・・・電機メーカーですが、どこかは言えません(笑))

そんなことも思い出させてくれる大事な私のCDのひとつです。もし機会があればどうぞ。
posted by 悩めるクラヲタ人 at 21:44| Comment(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年05月03日

ベルリオーズ 幻想交響曲&ドビュッシー 「海」 ミュンシュ/パリ管弦楽団 1967年ライブ


あぁ、とてつもない演奏だな・・・と聴いた時に思ったCDの一つ。パリ管弦楽団とミュンシュはEMIに幻想交響曲を録音していて名盤として有名ですが、それがライブということで予想以上の激しさとピリピリした音の連続。

一般的にはこちらが有名。私は一度購入しましたが・・・

munch1.jpg
正直、名盤と言われるミュンシュとパリ管弦楽団のブラームスの第1番や幻想交響曲は録音が好きでなく、私は所有していません。ボストンso時代のミュンシュも大味であまり好きではありません。ただこの演奏だけは有無を言わせぬ魔力を放っています。
81FW0w8yByL._AC_SL1500_.jpg
ベルリオーズ 幻想交響曲
ドビュッシー 交響詩「海」
指揮:シャルル・ミュンシュ
パリ管弦楽団
1967年 お披露目ライブでの演奏
AMAZON ⇒ ミュンシュ パリ管お披露目ライブ


「海」から恐ろしいほどまでのピリピリした緊張感。ヒヤリとした「海」。録音がオンマイクで超デットのためそれがより伝わってきます。録音点は私は好みですが、人によってはこの残響が少ない録音は苦手かもしれません。残響は少ないですが、臨場感とその場に居合わせている感じは生々しい。ミュンシュの横にいる気持ちになります。D-509Eだとミュンシュの踏み鳴らす足音・息遣いが聴こえ、そしてオーケストラを叱咤激励する声がそこにいるように感じさせてくれます。

初めから最後まで緊張感が途切れない。「波の戯れ」ではEMI録音ではぼんやりとしか感じられなかったパリ音楽院管弦楽時代の木管(木管奏者は残ったメンバーが多い)と洒落っ気のある弦楽器の響きの美しさが近接マイクで感じられます。「むせ返るような」という言葉がぴったり。

「風と海の対話」ではミュンシュが興乗り腕をぶん回しているのが想像できます。前にミトロプーロスの「海」について書きましたが、あの演奏に勢いをさらに加えた演奏で、アッチェレランドに食らいつく最後のシンバルとティンパニの連打は録音がステレオのためこちらの方が圧巻。

ご存知の通りこの演奏会は、パリ音楽院管弦楽団を解体し国を挙げてベルリンpoに肩を並べるオーケストラをという目的でパリ管弦楽団として生まれ変わったお披露目演奏会。パリ音楽院管弦楽団のメンバーの3分の2は入れ替わりローカルな音色はかなり薄れてしまいましたが、精緻さは増したように思います。




その後、ミュンシュが2年で亡くなってしまい、その後の指揮者選定は失敗続きでとてもベルリンpoなどと肩を並べるオーケストラにはなっていません。なぜかクラッシャー的な指揮者ばかりを選ぶ。バスティーユの時と言い、何故かパリ音楽界は政治が絡む。

幻想交響曲はクリュイタンスとパリ音楽院管弦楽団の来日ライブと聴き比べることができます。過去記事↓
・ベルリオーズ 幻想交響曲 クリュイタンス/パリ音楽院管弦楽団 1964年来日ライブ
両方共に熱がこもった演奏ですが、若干趣が違います。クリュイタンス盤は後半になるにつれボルテージが上がっていきますが、ミュンシュ盤は最初からフルスロットルで終楽章でさらにアクセルを踏む。

なのでクリュイタンス盤は第2楽章はエレガントで瀟洒な味わいがありますが、ミュンシュだとすでに力こぶが入って瀟洒な部分が無く根源的な迫力で押してくる。第3楽章ですらうっとりとさせてくれません。常に前のめりでぴりついている。ただ第2楽章も第3楽章もそれゆえに歌うところが殊更印象的で美しく聴こえる。


2楽章のリハーサルですね。

第4楽章、第5楽章は血が煮えたぎるような演奏で、オーケストラがいつミュンシュが指揮棒をぶん回すか怯えながら演奏している。クリュイタンスとの演奏はセクションごとで徐々に熱を帯び、意外と冷静に加速していくクリュイタンスの棒に必死についていっているのですが、ミュンシュとの演奏では奏者一人一人が指揮棒に応えていこうとする気迫と推進力があります。似たような傾向の演奏ですが微妙に聴後の印象が違う。

クリュイタンスの演奏には最後までいい意味でパリ音楽院管弦楽団の田舎臭さのある興奮・踏み外しなのですが、ミュンシュの方にはそれが無い。それはパリ管に昔の音色が減ったのとあくまでミュンシュの音楽だからでしょう。第4・5楽章でのミュンシュの吠える声のリアルさと言ったら。最後の和音はスタジオ録音と違って、かなり引き延ばしています。


このCDに比べれば大人しく聴こえてしまう来日公演時の第4楽章。

このCDは何時も聴こうとは思いませんが、一旦CDトレーに載せると数日居座ります。しかしほぼ同じオーケストラにもかかわらず、なぜこうも音が変わるのでしょう。そしてこの両盤に比べると、他の幻想交響曲のCDの生ぬるさはいかんともしがたい。
posted by 悩めるクラヲタ人 at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。